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フキゲン

体調が悪いから母はいつも不機嫌だった

わたしに当たる
わたしにしか当たりどころがない

わたしはそれを受け止められない

わたしはわたしで
母の気持ちが分からない

そばにいるのに
そばにいるからこそ  
腹が立った
かなしいくらい

ずっとそんな悪循環

でもそれは仕方がなかったこと
少し離れた人は言う

病んでる従姉は
わたしを傷つけるだけ
傷つけて
去って行った

あなたは何がしたかったの

やっぱり母を利用しただけ

母は強い人だから
あなたの言うことをフンと言って
相手にしなかった

姉のような母親のような存在だった母を
あなたは「友だち」といい放つ

やっぱりおかしい
自分勝手

わたしは傷つけられるのがイヤで
母がいなくなってからは
距離を置く

向こうから何の連絡も来ないことを言い訳にして

「もう放っておけ」
それでいい

母は生前言っていた
「わたしが死んだら、あの娘とは縁が切れるね」
母も分かっていた

昔から従姉は母に迷惑ばかりをかけていた
親でもないのに、叔母なのに

でも母は懐の大きなあたたかい人だから
「わたしもあの娘と話しをすると気が晴れる」と気にもかけない

近すぎる娘と少し離れる姪

どちらが安心出来るかは
娘に決まっているでしょう

だから母は安心して
あの世に旅立った

そう思いたい
そう思わせて
わたしの願い

もうすぐ一年

わたしの前ではフキゲンな母は
肉体がなくなって
わたしよりも若返り
今はいい顔をして神様の元にいるらしい

母が旅立ったあの日のように
見えないけれど最高の笑顔で
楽になったね
お母さん

本当はかなしいし、さみしいし
つらいんだ

今日もアゲハ蝶がやってくる
あなたの御魂は
わたしがちゃんとやっているか
見に来てる

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