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マゼンダ色

母が最後まで履いていたスニーカーはマゼンダ色

少し大きめのスニーカーは母の足を保護するため

わたしがネットで見つけて買ってみた
「イヤ」と言われたら
わたしが履けばいい

やって来たスニーカーは軽くて、色も可愛いくて
母は気に入ってくれた

どこへ行くにも履いていた
母の友達にも「いい色ね、わたしも欲しいの」と言われ、二人で顔を見合わせ困惑する

母が彼の世に旅立って
マゼンタ色のスニーカーはいつも玄関先に置いたまま

わたしが履いてもいいけれど
どうしても足を入れることは出来ない

赤毛のアンと呼ばれ、ヘナ染めで綺麗な髪色をしていた母
本当は目立つことは嫌いな筈なのに
いつの間にか
ちょっと有名

それは見た目だけではなく
母は優しい人だから
わたしの友からも人気者

玄関先で見守ってくれている母の靴

いつも私の側にいる
偉大なるもの

マゼンダ色は母の色


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