#4 バイトの後輩が突然いなくなった話。
今から約5、6年前、大学時代の話です。
バイトの後輩が突然職場に来なくなりました。
私のバイト
私のバイト探しの条件はこの2つ。
①家、大学からの距離が近いこと、
②友達と一緒に働けること。
通勤に時間が長くてもめんどくさい。
もともと仲がいい友達と一緒に働ける方が楽。
「とにかく続けるためにはこの2つが大事だ!」と思った私は、迷わず大学近くのコンビニを選びました。
給料が低い。
店長が愛想わるい。
立ちっぱなしがめんどくさい。
接客レジ打ちがめんどくさい。
お中元やクリスマス関連のノルマ。
夜勤による生活リズムの悪化。
成績への悪影響(いや、これは単に自分の問題)。
親から「なんでそんなバイトいつまでも続けてるの?」と怒られました。
でも結局、最後までやめませんでした。
いろんな不満はありつつも、大学のバイト生活のほとんどを過ごし、卒業間近と同じタイミングでバイトを辞めることができました。
居続けた理由
私が、環境がいいとは言えないバイトを続けられた理由は、やっぱり仲間が好きだったからです。
他に給料が高い、条件のいいバイトは探せばいくらでもあるのに、一緒に働く仲間が好きだったので、離れたいとは思いませんでした。
後輩が自分をしたってくれている(ような気がする)。
同期の仲間と時にふざけ合ったりする。
バイト終わりに一緒に遊びに行ったり、ご飯をたべたり。
嫌なお客さんや常連さんの話で盛り上がったり。
そんな仲間との居場所が好きでした。
これまで大事に作り上げてきた自分の居場所を、みすみす手放したくなかったのだとも思います。
今になって冷静に考えると、自分にとって、もっと有益な経験ができる環境や、現在の職業に生かされるような知識をつけられるバイト先に変えたりすればよかったのになあ、とは思わなくもないですw
それは社会人になった今だからこそわかります。
当時の視野の狭い自分にとって、そのコンビニバイトは、私の大切で、主なコミュニティでした。
後輩が来ない
しかし、ある日突然事件は起きました。
後輩が家にこもってバイトに来ないのです。
店長からの電話にも応じず、LINEにも反応はなし。
仕方がないので、直接家に行くことになりました。
24時間体制のコンビニバイトのシフトは、人数カツカツで回っています。
1人抜けると穴埋めが大変です。
店長としてはなんとしても引き留めたいところです。
私はただ、店側の事情などどうでもよく、後輩の事が心配でした。
予兆が全く感じられなかったからです。
今まで仲良くやっていた(と思っていた)後輩が、突然バイトに来るのが嫌になってしまった原因は、少なからず先輩の自分にあるのではないかと思いました。
会って直接、なぜバイトに来たくないのかを聞きたかったのです。
思い当たる節はいくつもありました(目次1参照)が、なんとか私達バイトの仲の良さで乗り越えようよ。という思いでした。
その仲の良さの押しつけ感が、彼にとって居心地の悪い要因になっている可能性もありました。
退職届
家の中にいることはわかっています。
何度もノックをしても、声をかけても反応がありませんでした。
しばらくして、しぶしぶ玄関のカギを開ける音が聞こえました。
何とか家に入れてもらい、話をすることができました。
彼は布団にくるまっていました。
何もかも嫌になって、逃げ出しているという様子でした。
このまま放っておいたらすごくまずいことが起きるような気がしました。
今思い出しても胸が痛みます。
彼から明確な理由を聞き出すことはできませんでした。
ただ、店の在り方に怒りを感じることはできました。
「もう二度とあそこにはいかない。」と言いました。
何が彼をここまでの状態に追い込んだのか、分かりませんでした。
直接出向いて辞めると店長に伝えることはおろか、これ以上一切かかわりたくない、という様子だったので、私は彼にせめて辞表を書いてもらうようにしました。
バイト仲間に、今でも「あの後輩を辞めさせたのはお前(私)」とネタにされます。
あの判断が良かったのか悪かったのかは分かりません。
でも、これ以上彼を苦しめる環境に居続けさせるほうが良くないと思い、辞めてもらうという判断をしました。
彼のためにできることはもっとあっただろうなと後悔しました。
正直彼のことが嫌いでなく、むしろ好きだったので今でもつらい思い出です。
その日以降、彼からLINEをブロックされたままです。
今はまた違う場所で仕事を頑張っているのかなあ。
別に仕事をしていなくとも、精神的に負担にならない範囲で人生を楽しんでいて欲しいと思います。
終わりに
現在、会社に所属している身として、つくづく会社の組織作りとは永遠の課題だと思います。
あまりに仲が良すぎてもダメ。
目標が浸透していないとダメ。
リーダーが信念を持っていないとダメ。
風通しが良くないとダメ。
経営の透明性が確保されていないとダメ。
利益を上げ続ける体制でないとダメ。
全員にとって居心地のよい空間は存在するのでしょうか?
私はせめて自分の周りの人には、居心地の良い物であってほしいと思います。
苦しい状態の人にこそ寄り添える、寄り添ってもらえる人間でいたいと思います。
私も朝起きて、仕事に行きたくなさ過ぎて、「これいかなかったらどうなるんだろうなあ。」と妄想したりすることもあります。
ふとすべての関係を取っ払って自由になりたくなることもあります。
結局信頼やいろんなものを失いたくなくて、怖くて出社することになるんですがw
たまにあの日以来ぱったりと来なくなってしまった後輩の事を思い出します、
私がこの経験から得た学びは「人生には時に逃げが必要なタイミングもある」ということ。
自分がどうしようもなく辛いとき、守ってあげられるのは自分しかいません。
できるだけ身近な人がそうならないように、もしそうなったとしても、その人にとって居場所で居続けられるような環境づくりができたらと思います。