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DMM新卒研修の設計を通した学びあえる組織づくり〜スクラム開発演習 online〜

DMMでは2018年よりのエンジニアの新入社員研修を完全内製化しました。開発の現場で活躍する先輩エンジニアを講師に、企画から開発・リリースまでフルスタックな技術領域に触れられるタフな研修「Engineer Bootcamp」を実施しています。

私も例年「チームビルディング研修」と「サービス企画・ソリューション研修」を担当させていただき、研修を通してエンジニアにもハイレベルな情報設計やユーザー体験設計のスキルを取得してもらえるに努めています。

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研修のオンライン化の試み

今年はパンデミックの影響もあり、例年DMM六本木オフィスで行われていた研修もオンライン化を試みました。従来的な聴講形式の研修はリプレイスはコミュニケーション面の課題を除き大きな支障はありませんでしたが、物理的なモノを扱ったワークショップは設計や学習プロセス自体を見直す必要が出てきました。

2019年時点での「チームビルディング研修」はレゴを活用したスクラム開発体験、「新規企画・ソリューション研修は」模造紙や付箋を活用したグループワークだったので、このリアルな学習体験の質を落とさず学習理解度と満足度を担保。さらに難易度は引き下げる工夫が求められます。

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オンラインツールの活用

今や定番のZoomをはじめdiscord、Remo、spatialchat。ホワイトボードの代替ツールとしてMiro、Muralなどこの半年で本当に多くのツールが台頭し、働き方のニュースタンダードが見えてきました。しかし、創造的なワークショップにおいては、講師やメンターだけでなく参加者である学生やそもそものワークに慣れてないユーザーにオンラインでのマルチなツールの操作や対話を求めるのは非常に難易度が高く、集中力と精神力の消耗が激しい傾向にあります。

そのため研修のモチベーションコントロールやメンタルのケアを含めた設計が必要不可欠となります。

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最適解がない中でしたので、僕をはじめとした講師人は外部のテストワークショップの実施や検証を繰り返し、研修そのものを再構築しました。既存の ワークショップの体験構造や会場のコミュニケーションをdiscordとmiroに集約し、ワークショップのアセットをデジタルテンプレートにリプレイスしました。

本来の学習で得られる体験の質の向上のためにはツールの選定も重要な要素でが、研修を円滑に進行する鍵として去年度の参加メンバーをメンターとして参加してもらうなどを行いました。その他、ポイントはこちら。

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チームビルディング研修

「スクラム開発演習 Online」は「Scrum Simulation with Lego brick」というLEGOブロックを活用した教材をベースに改良した内容です。まちづくりをサービス・プロダクトに例えて顧客/開発チーム双方の体験し、スクラム開発の体系的知見を獲得できます。

実際の現場でしか得られないような開発の一連の流れをレゴを活用したワークショップを通して体得し、技術習得でを通して個人の得意不得意を理解し、大きくて複雑なプロダクトを協力して創る意味を確かめます。

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DMMのチームビルディング研修ではスクラム開発の「正しい理解」は重要とせず、アジャイル開発スタイルの背景にある共創の楽しさを体感することに比重をおいています。

実際のオフラインのワークショップではワチャワチャとしたレゴを触る体験が楽しく良い意味でのカオスさを体感できるのですがコレををmiro上のテーブルに置き換えます。

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Discordチャンネルの活用

オンラインのワークではdiscordのボイスチャットルームをチームごとに作り、転換時のオペレーションとして取り入れました。miro上にはテンプレート資料を展開することでオンライン会場全体の進行状況を見える化したり、参加者がワークの手順に迷わないようにフォーマットにはチュートリアルを添付するなどで動線を設計しました。

マウスカーソルの動きとボイスチャットによる会話が思いの外、意思伝達がうまくいきます。ツールの操作や行動についての言葉を「アレ・コレ」など抽象的な示唆ではなく具体的な表現で相手に伝えるのがポイントです。

新卒研修を起点に学び合える組織文化づくり

「Engineer Bootcamp」はテクノロジーでこれからのビジネスをドライブさせていく、次世代のテックリーダーを生み出せるようなスーパーなカリキュラムではありますが、企画からリリースのすべての技術スキルを完璧にモノにできるわけではなく、必ず各々の特性やタイプで得手不得手が出てきます。

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大事なのはそれに気づき、モノやコトを生み出すために必要なことを知り、身につけることです。それによって自分の選べる選択肢が増えるということであり、さらに言えばチームでそれらを補えあえるなら更に大きなシステムを創ることができます。スキルは後天的にも気合いで育てることができますが、行動特性は認識を改めてからゆっくりとしか身につかないものです。

組織の中の研修設計は、受講者だけでなく僕をはじめとした研修講師、メンターにとっても認識をその世代に合わせてアップデートして学べる場として機能しており、学びのデザイン行為を通して更に成長できるのだと思います。

これらを持続してくことで、学び合える組織文化づくりが少しずつ醸成されていくのを感じました。



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