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フランス外人部隊への挑戦#6の続きです

お前は何処に行きたいんだ?

遂に、任地希望を聞かれるタイミングやってきます・・
順番に名前を呼ばれ、希望に満ちた声でみんながどこに行きたいんだ?
どこに行く?で話が盛り上がっています。

遂に僕の名前が呼ばれ、部隊隊長の面前で直立敬礼し名前と認識番号を叫びます!
目の前に居るのは、めったに顔を合わせない僕の部隊の士官。
え?あんただったの?ってくらい訓練中は馴染みが無く、ほぼ初顔合わせに近い感覚です。
お前は何処に行きたいんだ?

自分の未来に対し悩みに悩んだ僕の答えは・・・・

Je veux civil ! (ジュ・ヴ・シビル)私は民間人になります!
声が震え喉カラカラになりながら、絞り出した言葉。
そう、僕はこれからの20~25歳の5年間をフランス軍の兵隊としてではなく、世界を見て回る事に使いたい。
そう考えて、恐怖に震えながら「辞めさせて!」って言いました。

そんなに目つき変わらなくても・・そりゃ怒るよね(笑)

ははは・・怖すぎる上官の顔つきが一気に変わって
許さねぇぞ!こらぁ!って言ってる・・
他の世界を見てみたい!そんなふざけた理由フランス語で言えるわけ無く
ただただ、僕は茫然と言い続けた・・辞めますって。
もういい!あっちいけ!みたいなことを言われた後に、何人か他にも辞めたいと言い出したグループの中に入れられた。
不思議な事に、辞めたいと言ったグループの奴らは以下の国々だった
イギリス(自称イギリス特殊部隊SASの試験に落ちた陸軍)
アメリカ(自称海兵隊)
フランス(単純に無理だったらしい・・)
フランス(同性愛で辞めさせられたと言っている)
そして、日本人の僕。

一回かなり高級士官(多分医官)と日本人兵(通訳)とで面談が行われたが、僕は真実を述べた。
フランス外人部隊の訓練課程を終えた事で、新しい気持ちが出てきた。
もっと世界を見たいと強い想いが産まれた。

それを聞いた士官は「やれやれ・・」みたいな感じで面談を終えた。
今でも思うのは、フランスの皆様の税金で兵隊にしてもらったのに辞めてごめんなさい!

それからは、掃除と雑用の日々。
ある日、用意が出来たと言われ入隊時に没収されていたパスポートと所持品を突然返却された。

お前らもう自由だ!

そうして、辞めると言い出したメンバーと共に基地の門を後にした。
20歳の小僧には感慨深い出来事・・・
あれほど憧れたフランス外人部隊。
その基地の門を出て、一緒に訓練を受けた仲間と別れ、
ある者はその場でどこかへ向かい、ある者は一緒にパリまで向かった。
パリまでの電車の中はずっと複雑な感情だった。
言語化が非常に難しい、何とも言いようのない感情。
この選択は正しかったのか?間違いだったのか?せっかく・・でも・・
まぁ言葉にするのが難しい感情を抱いた電車旅だった。

パリに着いた僕らは、駅で硬い握手とハグをしてそれぞれの道を進んでいった。

仲間と別れたあと、僕はミリタリーバックを持ちながら近くのカフェでエスプレッソを飲んだ。
「カフェ・シルヴプレ!」それくらいもう言えるさ・・
カフェ店員が「お前、外人部隊か!?」って聞いてきたから「ウィ」って
答えたらスゲービビってた・・・辞めなきゃよかった(笑)(´;ω;`)ウゥゥ
こんなに肩書に影響力あるんかい外人部隊!
むしろどんな噂になってるんだ・・・・聞ききたかったけど、
当時ゴルゴ13のような寡黙で強い兵士に憧れていた僕は無言だった・・
カッコつけ満開です。しかも辞めてるし・・

4か月分の給料で帰国の途に

パリの安ホテルに泊まり翌日すぐANAに電話かけた。
日本語話せる人いますか?チケット手配できますか?そう尋ねた。
幸いにも日本人の方と話せて、なぜかチケットも取ってくれた。
(今なら考えられないですな・・)
パリから東京への便だ。
幾らだったか忘れたが、4か月分の給料殆ど消えたのだけ憶えてる。
(大体日本円で一か月16万円くらいだったはず)
そうして僕は複雑な感情を抱きながらパリを飛び立った・・
さようなら、そしてありがとうフランス外人部隊!

フランス外人部隊への挑戦#8へ続く

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