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ようやく旅を振り返りつつある今日この頃

温泉地での仲居のアルバイト生活も慣れてきて、大忙しの年末年始も過ぎ、仕事も覚えて楽々な日々になりつつある。
どこに行っても、そこでしばし共に生活をする人と、それなりに仲良くやれるようになっている自分に気づく。それがどこの国であろうと、言葉がちがってようと、年齢差があろうと。オードリー若林が言っていたように、人見知り人間も40代になると人見知りと言ってられないから、自然とそれは治る。
人間嫌いは基本的には変わっていないが、その分、相性の合いそうな人を見つけて共に楽しく過ごすということが、最短距離でやれるようになっている気もしている。自分と合わない人を察知するスピードが早いし、近づかない。危険察知能力と、短い付き合いの人とサッパリとお別れできるようにもなっている点は、11ヶ月間の旅暮らしのせいかも知れない。
そんな訳で、もはやホームみたいになってきた住み込みアルバイト。暇を持て余すようにもなってきた。

音楽を聴こうと思っても、チバユウスケ関連の曲を聴いていると辛くなるから途中でやめてしまう。無難に洋楽にしておく。チバの死に予想以上にダメージをくらってしまっている。
自分の中で昨年のハイスタのツネの死とチバの死で、完全に、10代後半からの今は亡き友と過ごした、音楽にまみれた青春に終止符が打たれてしまった。
チバに関しては、なぜこんなにもショックが大きいのか考えてみたが、チバは唯一、日本人のアーティストでデビュー前から今に渡るまで追い続けた人で、バンドが変わっても、20代のミッシェルガンエレファント時代の熱が冷めても、なんとなく最近の動向はいつも常に追っていた。常にカッコよくて、チバが使っているからという理由で、カメラはRICOHのGRを買って旅に連れて行った。彼の書く詩はもちろん、字も絵もデザインも写真も素敵だった。だが、この喪失感の奥のなんとも言えない辛さはチバ個人への思いだけじゃない気がしていた。
最近気づいたのだが、残された側の気持ちに勝手に立っているのかも知れない。
例えばヒロトくんとマーシー。例えばチャボと清志郎のように、チバユウスケとキュウちゃん(ドラムのクハラカズユキ)。
そういうペアの絆みたいなもの。
チバとキュウちゃんは大学時代からの仲間で、ミッシェルガンエレファントで共に駆け抜け、解散し、ミッシェルのギターのアベフトシの死を経験し、キュウちゃんは、バンドが変わってもまた、チバの後ろでThe Birthdayのドラムとして変わらず叩いていた。
アベの死を見送り、学生時代からずっと近くにいたチバユウスケという大きすぎる存在の友の死を体験したキュウちゃんの気持ちを、勝手に想像して辛いのかも知れないと思った。
そして、チバがガンが発覚して7ヶ月で逝ったこと。私の友も結婚して半年でガンが発覚し、あっという間に逝ったから、その突然の発覚からの辛さや無念さなどを勝手に重ねてしまう。
私もずっと一緒にいた友を亡くした時から、失うことが人生だと思っているし、ある種の諦念を抱いて生きている。
これから歳を取れば取るほどもっと、大切な人や物を失っていく。その覚悟を突きつけられているような気が勝手にして、くらっているのかも知れない。
20年前、ミッシェルガンエレファントのライブで毎回私の隣で見ていた友、そして、バンドメンバー4人のうち2人がこの世にいない。
どんどん失われていく。
思い出も薄れていくし、時間はどんどん過ぎていく。
世界多分一周旅の思い出も、時間が経って遠くなっていく。
今過ごしている仲居の生活もあっという間にきっとすぐ過去になり、薄れて消えていく。



チバは、絶望に絶望してるヒマなんて俺にはねえと言って、本当に大事なものは目に見えない、悲しみは捨てていいよと歌ってた。
「音楽は、音は、ずっと君に残るよ」という言葉も遺してた。
音楽を聴けば、そこにはいつも横で笑っていた私の友もいて、チバがいてアベもいて、みんないる。幕張のミッシェルラストライブのDVDの中には、私も友もそこにいて、チバもアベもキュウちゃんもコウジくんもいる。
キュウちゃんも、「音楽は残る、その中には、誰1人欠けることなくいる」って書いていた。
文章も同じだと思う。旅の思い出は薄れてはいくけど、書いた文章を読めば、そこにはあの子がいてあの人もいて、それを読めばいつも笑っているような。
そういう思い出を綴っておきたいと改めて思った。

さて。
自分のnoteを振り返ってみたところ、アジア編は完結しており、ヨーロッパ編のドイツ、フランクフルトからパリ経由でルピュイの道の歩き旅を再開させるところから書けていない。
まずは、弾丸パリの写真と記憶を掘り起こして書こうと思う。
ルピュイの道の歩き旅で出会ったナタリーとパトリックと、フランスの田舎町でピザをテイクアウトして食べた夜を、今ふと思い出してほっこりした。
早くまた、文章の中で彼らに会いたいと思う今日この頃。


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