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幡野広志さんの写真のワークショップ「いい写真は誰でも撮れる」

写真家 幡野広志さんの写真のワークショップに参加した。「いい写真は誰でも撮れる」という名のワークショップ。参加した人たちの喜びの声といい写真をたくさん目にしながら、いつか参加しようと心待ちにしていた。

そして、当日。
晴れた気持ちのいい朝だった。

よく見るもの タンク

ワークショップでは、外に出ての撮影タイムがある。経験上、家を出てから写真を撮るまでの時間が早ければ早いほど撮る枚数が増えるので、電車の中でも撮ったりした。

GATOR
プリントが気になった


ワークショップはじまり、はじまり。

「質問はどんなに小さいことでもしましょう」

軽快に話が進んでいく。
さくさく軽やかに進んでいく。

たくさんうなづき、たくさん笑いながらメモを取っていった。時々、落書きをした。


午前の座学が終わり、外へ出ての撮影タイム。

建物を出る前から撮った
しわしわのシャツ
下り坂も好きだけど、上り坂のほうが好き。


散髪屋の人と少し話をした。
「店の看板を取った人は、はじめてだよ」と、何かのはじめての人になった。「新東京」なんていい店名、たぶん、はじめてじゃないと思う。

「新東京」
手に新聞。胸ポケットにハガキが入っていた。



Xで教えてもらった「東京ジャーミイ」へ行った。今回は道の向こうからそっと撮った。

オスマン様式。後で調べたのだけど。
高い尖塔。光に透けそうだった。


お腹が減り、戻ってきたのは2番目だった。

and recipe 小池さんの美味しい昼食を食べて、午後からは現像タイム。

いただきます。ごちそうさまです。
とっても美味しかったです。


お腹が満たされ和やかな雰囲気で現像が進む中、わたしはというとPCが動かなくなり、泣きついた狩野さんのPC(狩野さんのMac、動きがとても速くてこれが欲しい!)を借りることに。

「あと5分ですよー」からやっとセレクト開始。他の人を待たせるわけにはいかないと必死で現像をしたため、そこからの記憶は途切れ途切れで、家へと帰った。

涙でぼやけたわけではない。


それから数日後。

「幡野さんから現像の写真が届きました」と小池さんからのメール。すぐに開いて、自分の現像と見比べた。(上が自分/下が幡野さん)

奥に鏡が見えたので近づいた。少し怖かった。
怖さもあったけど、ワクワクもあったのを思い出した。
掃除をしている人→赤い靴の順番で見た。
この人に好感を持った。それがちゃんと表現されていた。
おしゃれな髪。この写真の現像は難しかった。
「何を見たのか」→そう。髪を見たんです。

以前、Xの「#誰かの写真を現像して恥ずかしいコメント一緒に返送した」で、幡野さんに現像してもらった時の感想と同じだった。

なんで撮った時のわたしの気持ちが分かるんだろう。撮りたいと思った時の気持ちにより近いのは、幡野さんが現像した写真のほうだった。

それから、考えた。
現像に必要なことは、なんだろう、と。

何か言いたそうな手


ワークショップの次の日は、大磯うつわの日に出かけた。うつわの日の現像をしていると、ふっと幡野さんの声が聞こえてきた。

「姿勢良くしてー」

ノートを見てもメモしていなかった。でも、現像の説明の時と、固まったPCと格闘している時の2度、確かに幡野さんが言われていたことだった。

なんで姿勢が関係するんだろうと思いつつ姿勢に気をつけて現像してみた。
そうしたら、ちょっといい感じに現像ができた。
そして現像後の疲れがないことにも気がついた。

そうだ。いつも現像を終えると少し疲れていた。現像をしていると、顔がどんどんPCに寄っていく。背中が丸まる。肩が上がる。数値ばかり気にしだし、写真から心が離れていた。


逆に姿勢を良くすると、肩が落ちる。
お腹に力を入れつつも、余分な力が抜ける。
写真を撮った時の気持ちに近づく。

リラックス

そして思い出した。
ワークショップに参加する日の朝、持参したノートを見返していた。

偶然揃ったneconosさんのバッグとノート


町の図書館で開かれた、とある作家さんの文章講座の時のメモ。
その中で、ひとつの言葉に注目していた。

「アクセルを踏みながら、ブレーキを踏んでる状態でみんな来る。わたしがやることはリラックスさせることだけ」

ワークショップではアクセルとブレーキについて注意して聞いてみようと、向かったのだった。

ワークショップが始まるとすっかり忘れていたのだけど、ワークショップの最後に幡野さんが、「運転がうまい人は写真もうまい」と言われていた。車間距離を例に話されていたけど、アクセルとブレーキも関係あるなぁ、と勝手に納得した。

アクセルの踏み方。ブレーキの踏み方。
カーブのどこでブレーキを踏み、どこでアクセルを踏むか。運転がうまいということは、同乗者や周囲への配慮がなされているということだから。

でもふと、わたしが運転する時に一番大事にしていることってなんだろうと考えてみた。

それは、リラックスすることだった。
直前にトラブルがあった時も、身内の手術に向かう日も、まずはリラックスしてからハンドルを握る。特にここ1年は、そうやって無理にでも心を落ち着けて運転することが多かった。

リラックス

たぶんこれは、あらゆることに通じる。
大谷翔平さんの試合中の振る舞いを見ていても分かる。ほどよく力が抜けているからこそ、いい結果につながる。

「わたしがやることはリラックスさせることだけ」

「いい写真は誰でも撮れる」

幡野さんのワークショップの名前は、最初から安心させてくれていた。軽快に進む話、居心地のいい場、美味しいご飯を食べ、現像ではバタついたけど、それでも冷ややかな目で見られたり、怒られたりすることはない、という安心があったし、実際そうだった。


朝から動いていたのにワークショップの日は疲れがぜんぜんなかった。それよりワクワクした気持ちでいっぱいだった。

飛び立つ前のリラックス、かな


もうひとつ。
ワークショップで印象に残った言葉。

「写真のための社会ではない」

これも、写真だけじゃなくあらゆることに通じる言葉だと思って、自分の中で受け取めている。

写真のワークショップだから、もちろん写真の話が盛りだくさんだった。でも、ほんとうに大事なことは、写真だけじゃなくあらゆることに通じる話だった。


11月15日に幡野広志さんの新刊『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』が出ます。

写真の本だけど、写真だけじゃなく、あらゆることに通じる話が散りばめられているはずなので、カメラを持ってないよーという人にも、安心して手に取ってほしいと思います。

『うまくてダメな写真とヘタだけどいい写真』



さいごに。
幡野さま、小池さま、狩野さま、わたしの参加日には不在でしたが 辻さま、楽しいワークショップを開催いただき、ありがとうございました。
大変、お世話になりました。
これからもたくさん写真を撮っていきます。



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