大映4K映画祭終了 雷蔵1年生とRRR

 ずっと阪妻と、その名前“阪東妻三郎”(田村三兄弟の、田村正和のお父さんか〜)とだけしか知らなくて、これまた題名しか知らなかった「無法松の一生」(1943年。稲垣浩監督)を、大映4K映画祭の最終週で観た。大スターの阪東妻三郎主演の名作と謳われる、それについては語り尽くされているので割愛するけれど、戦中の1943年に作られて上映されたことが、かなり大変なことだったらしい。阪妻が密かに思いを寄せる陸軍大尉の未亡人、園井恵子(まるで松村松園か何かの日本画から出てきたような、うっとりするような別格に品のある超超美人。終戦前の慰安に行った広島で、原爆にあって亡くなったそう。そんな悲劇が)に思いをよせるような表現は、当時の検閲でかなりカットされたらしい。フィルムはカットされても、それでもうっすらと漂う阪妻の未亡人への思いや、母子(子役は、長門裕之らしい)に献身的に尽くす阪妻。明治時代の日本(舞台は九州小倉)の様子や、特に運動会の場面は印象深い。やはり阪東妻三郎の大スターだったのが納得の、役になりきる圧倒的な存在感。戦後の三船主演でヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を取った「無法松の一生」(1958年。稲垣浩監督)と合わせて、映画館でもう一回観てみたいと思わせてくれた、阪妻の無法松の一生。だから映画はやめられない。

 「雪之丞変化」(1963年。市川崑監督)も大映4K映画祭見納めに映画館へ。長谷川一夫の300本記念作品。長谷川一夫も上手すぎてさすが〜。雷蔵もチラッと出ていたし(ウキウキ)、勝新もいた。若尾文子はいつでもかわいらしさ全開。

 「山椒大夫」(1954年。溝口建二監督)。何回映画館で観たことか(4、5回くらい)!もう何回観てもそのスケール、平安時代の様子が大掛かりに細やかに描かれている大セット、白黒の美しい映像と要所要所に響きわたる音楽(和楽器)と演じる役者達に呑み込まれていった。今回の大映4K映画祭では雷蔵の作品にも5本付き合わせたけれど、この国宝級の映画は映画館で観ないと、と息子(小2)も一緒に。素晴らしすぎて、映画館で上映されていたらまた観に行きたくなる、日本映画の至宝。素晴らしい!!息子もどっぷりのまれていた。溝口凄い、凄すぎる!

 雷蔵については結構本が出ていて、雷蔵自身が雷蔵を語る本もあり(文に雷蔵の人を感じる、雷蔵が自分でちゃんと書いているのがわかる)、本屋さんやアマゾンで7、8冊購入。知れば知るほど、まだまだ雷蔵1年生な私。今まで時代劇は全く興味なく、ほぼ観たことがなかったけれど、雷蔵の時代劇には大ハマり。推し雷蔵は更に加速していきそう。映画は映画館で観たいので、また雷蔵の映画(特集)が上映されますように期待あるのみ。

 と、1月下旬から大映4K映画祭を観るために角川シネマ有楽町に通い詰めていたので、RRRも同映画館で上映されることを知り、RRR (2021年。S.S.ラージャマウリ監督)を観に有楽町へ。満員の映画館は久しぶり(嬉し!)。RRR、やられた〜。映画好きならば観るべし。コロナ禍の直前、2019年2月に初めてインドに行き(バラナシとブッタガヤ。衛生概念がぶっ飛ぶ世界があった。凄いもの見た感。衛生観念、宗教や物、命に関わることやその価値が、日本を含む他の国とは全くもって違い、今でもそれらインドの価値観が守られ、その生活が何百年と続いているのをビンビン感じる世界に衝撃を受けた。一瞬でインドの虜になった)、生のインドの洗礼を多少なりとも受けた身としては、RRRはボリウッド映画だと、ボリウッド映画はまだ観たことがなかったけれどボリウッド映画だとすぐに感じた。RRRの時代背景もあるけれど、生のインド感は薄かった(個人的感想)。けれど、RRRの爆風はかなりのかなりのもので、あんな映画を作ってしまうボリウッドなんだ、大いなる驚きと喜びが炸裂。スクーリーンから目が離せない3時間だった。


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