大映4K映画祭 2023 雷蔵に会えた
炎上(市川崑監督。三島由紀夫原作。1958年)を観に行ったら、4K技術について、映画を残す意義というタイトルでのトークイベントがあり、1969年から大映で働き始めたという、撮影監督の宮島正弘さん、映画人の熱いお話を聞けた(2023年2月4日。角川シネマ有楽町にて)。感謝。
古いフィルムが4Kのフィルムになり、昔の映画のバチバチ、ザーザーの画面でないことは、始めのタイトルが出てくるところから明らかわかった(身震い)。映画にとって、その映画の中の色合いや陰影が、どれほど重要かということも、素人ながらわかる。そんな4Kになった大映の映画を映画館で観られる幸せ。
炎上は、白黒だから余計に、最後の炎上、火の粉の陰影、美しさが際立ち、やはり雷蔵。吃音症の青年僧の内面的苦労をよく表しているので、雷蔵がその青年僧に見えてきた。これでいくつもの賞を受賞したのも全くうなずける、唯一無二の雷蔵だった。
大菩薩峠(三隅研次監督。1960年)、大菩薩峠龍神の巻(三隅研次監督。1960年)、大菩薩峠完結編( 森一生監督。1961年)で、ほぼ時代劇初体験だったが、雷蔵ありきで雷蔵の時代劇をずっと映画館で観たかったので、念願が叶って雷蔵の剣姿を拝めた。また雷蔵の相手役を何役もこなした演技も上手くて声もよくて、魅力的で艶っぽい女性も気になっていたら、中村玉緒だった。あんなにもチャーミングだとは知らなかった。素敵だった。中村玉緒の出演する映画も観たくなった(炎上の中村玉緒もよかった)。
斬る(三隅研次監督。1962年)の雷蔵もとびきり美しい。
剣(三隅研次監督。三島由紀夫原作。1964年)のひたむきで、死を選ぶほどの純粋さが昇華していく青年になりきった雷蔵。現代劇でも雷蔵の美が光る。また、雷蔵を惑わす役の女性が、雰囲気はまるでアヌーク・エーメで、あの日本のアヌーク・エーメは誰かと思ったら、名前だけは知っていた藤由紀子だった。背も高そうでスタイルがよくて、洗練された超美人でとても素敵だった。
雷蔵への思いは、「写真集 市川雷蔵」(ワイズ出版)へ横尾忠則が書いた寄稿文の通りで、“ 雷蔵の霊気” そのもの。私も雷蔵に霊気を感じ、時を超えて雷蔵の魔術の虜になっている。
来週の剣鬼、映画館で眠り狂四郎を初体験するのが楽しみ!
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