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プールの温水化に伴う利用促進策は?(R6.6一般質問)

令和6年6月周防大島町議会、一般質問で、
「プールの改修に伴う利用促進策は?」
という質疑を行いました。
質問した背景と、執行部(教育委員会)からの回答、それを受けて考えたことなどを綴ります。


一般質問の背景

プール改修工事の背景

本町には、昭和57年にオープンした、B&G海洋センタープールがあります。

B&G財団は、モーターボート競走法20周年を記念して1973年に設立。「施設づくり」をはじめ「指導者づくり」「組織づくり」「海洋性レクリエーションの提供」を柱とする活動計画=「B&Gプラン」を基に、第1フェーズとして、活動の土台づくりを進めました。
特に、施設づくりでは 1,400億円におよぶボートレースの収益金により、全国480市町村に地域海洋センター(プール・ボートハウス・体育館)を建設し、地元自治体に無償譲渡しました。

B&G財団ウェブサイトより

周防大島町海洋センタープール

町内には、プールのほか、体育館、艇庫があります。
B&G財団により建設され、無償譲渡され、町が管理運営しています。
”指導者づくり”として、水泳やカヌー体験の指導者も、役場職員の中で要請されています。

学校以外の公設プールは、現在ここ一つだけです(竜崎温泉の施設内にもありましたが、故障により2019.12月から休止中)。
修繕しながら活用してきましたが、プール槽の漏水等、大規模工事の必要性が出ていたそうです。

また、以前より、温水化の要望もあり、それも併せての大規模改を行うこととなりました。令和5年度に設計、本年度、プール槽の入れ替えと温水化するための工事が実施されます。


工事の予算規模とその財源

当初予算ベースでは、工事と管理業務を合わせて総額2億8800万円の工事となっています。

B&G財団では、自治体に無償譲渡した施設の修繕事業に対する助成も行われており、今回の工事には、1億円の助成をいただけることになりました。

「地域海洋センター修繕助成」は、海洋センター建設後10年を経過し、経年劣化等により老朽化した施設の機能保全やバリアフリー化などの機能向上を目的とした修繕に対し、改修費用の一部を助成する制度。
 通常修繕、災害復旧修繕に加えて、艇庫・プールの建替や移設等に対する特別措置、10年・15年連続「特A評価」の海洋センターに対する優遇措置などがあり、海洋センターの安全性と快適性を高め、地域住民の健康・コミュニティづくりの拠点として、利用者の拡大を図ります。

B&G財団ウェブサイトより

残りの1億8,800万円は、町の財源でやりくりするのですが、今年度適応が最終年度になっている”合併特例債”を最大限に活用する計画になっています。

合併特例債とは、合併した市町村が新しいまちづくりに必要な事業に対する財源として、「新町建設計画」に基づき、借り入れすることができる地方債のこと。事業費の95%まで借り入れでき、毎年度返済する元利償還金の70%が普通交付税によって措置される、超お得な財源。

ざっと試算すると、事業費の5%にあたる940万円を今年度の一般財源でねん出すれば、1億円はB&Gからの助成金、1億7,860万円は借入、さらにその元本返済の7割にあたる1億2,506万円は将来国から交付金で充当されるので、町が将来返済するのは残りの3割の5,358万円と、利息の部分ということになります。

質問の狙い

B&Gの助成金や合併特例債のフル活用により、事業の規模に比べて町の自主財源の負担はとても少なくすみます。
しかし、温水化によって毎年の維持管理費(加温のための燃料費やボイラーのメンテナンスなど)は今までの維持管理費に上乗せされることになります。
ちゃんと利用者が増えて利用料収入も増え、町民の生活向上に活かされるために、町として計画があるのか、確認のために質問をしました。


一般質問ダイジェスト

Q:機能強化したプールを町政運営にどう生かしていくの?

 本会議初日に建物と機械設備の工事契約に関する議案審議がありましたが、 予算ベースでは、工事と管理業務を合わせて総額2億8800万円の工事となります。
 この改修工事には、B&G財団の海洋センター修繕助成1億円の助成をいただけることとなっており、これは、これまでの本町の海洋センターの管理運営状況が 高く評価された証でもあり、大変ありがたいことだと思っております。
 また、この改修工事の目的が、

老朽化した施設の機能保全や機能向上を目的とした修繕により、海洋センターの安全性と快適性を高め、 地域住民の健康コミュニティづくりの拠点として利用者の拡大を図る

というB&G財団の助成の目的に合致しているからだと考えます。

 今回の改修により、施設の利用期間が伸び、活用頻度も上がるということですが、 温水プールの運営には、これまで不要だった加温のための燃料、ボイラーの維持管理が新たに必要になります。

 そこで、このプールの施設をどのように町政運営全体に生かしていこうとお考えなのか、 また、どのようにより一層の活用を今後行っていくのか、執行部のお考えを伺います。

A:子どもたちの健全育成と一般利用者の健康づくりの促進

 現在、三蒲小学校(B&Gプールと同じ集落内に位置)が水泳学習で利用していますが、 開館期間を延長することにより、学校のカリキュラムの設計にも幅が広がり、 複数の学校が調整をして水泳学習を合同で行うなど、指導の充実を図れるよう、運営体制の構築を図ります。

 また、教育委員会が主催する水泳教室等(現在は児童対象)に健康づくりに関する内容を加えるなど、地域住民も参加できるよう取り組みの改善を図ってまいります。

 これに加えて、現在柳井市のプールにおいて活動しているスポーツ少年団や競技志向の 町民の方々に地元にある本施設を利用していただくことで、これまで以上に交流の機会を増やしていきたいと考えています。

 できるだけ早い時期に広報やホームページ等を活用してプールに関する必要な情報を町民にお伝えしたい。


Q:現在のプールと温水化した場合のプールの経費比較と利用者見込みは?

現在の加温機能がない状態でのプールの利用実績、
例えば利用期間や日数、利用者数、利用者層、利用料や利用料収入、 水道光熱費をはじめとした維持管理経費、
それを温水化した場合の利用計画や想定、維持管理経費の試算は?

A:地域の住民の皆様の健康づくりに寄与できる施設となるよう利用促進



答弁時の実績と試算

 これまでのプールの利用実績についてですが、 例年6月下旬から9月上旬までを開館期間としており、夏休み期間は家族連れの方が多く利用され、また夜間は競技志向の方にもご利用いただいております。
 直近の令和5年度は51日間開館し、利用者は2537人、使用料収入は12万3490円です。
 維持管理経費については、令和5年度実績が159万7931円で、そのうちの半分の額が人件費、そして 水道量、電気量が続き、この3経費で維持管理全体の8割を占めます。 残りの2割は、消防設備や浄化槽の保守点検量、水質検査の手数料など。

 工事完成後は5月から10月までの半年間開館することを計画しています。 
 開館期間の延長により 人件費、水道量、電気量が増加するとともに、温水化により燃料費が新たに発生しますが、類似施設を参考に試算し、約550万円の支出増を見込んでいます(精査中のものもあり、変動する可能性あり)。
 工事完了後の利用者数につきましては、現在の2倍の5000人を見込んでおり、これは、 開設期間の延長や、これまでは比較的少なかった高齢者等の新規利用者、利用者層の獲得を勘案したものです。

 子供たちから高齢者の方まで、地域の住民の皆様の健康づくりに寄与できる施設となるよう、利用促進に向け努めてまいります。

提案:学校の授業での活用促進も

 学校教育の中で、現在、全国的に学校に設置されているプールの維持が課題になっているとききます。

 本町の小学校、中学校にあるプールもかなり老朽化が進んでいるところもあると伺っております。
 実際に、今年度、東和小学校のプールは改修が予算規模で8680万円計上されていたかと思います。
 また、近年の酷暑や豪雨という天候不順で、屋根のないプールではなかなか計画通りに授業が実施できないという状況もあるのではないかと推察しております。
 プールを使用する前の掃除でありますとか 水をためたり水質の管理ということも、先生方や地域の方々含めてかなりの労力になっているのではなかろうとかと思います。
 答弁にもあったように、是非、学校のプールの授業の効率化も含めた形で活用を検討していっていただけたらと思います。

Q:指導者の確保・育成は?

 以前は、竜崎温泉のプールで、特に高齢者の方々などが健康づくりという視点で定期的に通い、指導者の方も おられる中で、健康作りに励んでおられたように記憶しています。
 そういう利用促進もするとなってくると、指導をする方も確保していく必要があるのでは?
 先ほど、 町外のスイミングスクールに通っている子どもや、町外プールでトレーニングされている方も取り込みたいというお話がありましたが、そういった指導する立場の方々をどのように確保、育成していくのか、計画があれば教えてください。

A:現在の指導者の活用のほか、今後の課題

 現在、 小さい子供への教室等は実施しています。開館期間が延びるということで、今、年7日程度やっているところのものを、前半と後半、2回実施するということも考えられます。
 また、健康づくりに関して、 皆さんが気軽に使えるような形ということで、今後どうしていくかというのは検討課題ではあるんですが、水中で歩けるように、プール槽にに入れて水深を浅くするような機材もあるので、そういったものをうまく活用してどういったことができるかというのは今後の課題として取り組んでいきたい。
 可能な限り前向きな形で考えていこうと考えています。

提案:強化する機能をしっかり活用できるように!

 島にUターンしてからというもの、私もプールで泳ぐということに全く馴染みがないものですから、今までプールを使っていなかった方々をどう取り込んでいくかというのは、相当な企画、働きかけがないと難しいのではないかと心配しています。
 今回、B&G財団の方からかなりの額の助成金をいただけるということではありますが、本町の負担も決して少なくはないという面と、先ほどのお話ですと、ざっくりと言って毎年の維持管理費が 550万円ほど上乗せになってくるということなので、施設ができてそれでよかったということではなくて、それをしっかり生かして、色々な波及効果を生んで、本当に温水化にして良かったと町民の方々が思えるような運営をしっかりと考えていっていただきたい。


反省:もっと早い段階で質疑すべきことだった

工事契約の段階になってからこの質問をしましたが、本来、一年半前の設計費の予算段階、可能ならばさらにその前(どう情報をつかむかという課題はありますが)に、行うべき質問だったと反省しています。

これまでの利用実績や、活用による効果の検証、それを踏まえて温水化することによる利用見込みや効果の試算、経費をどうねん出するのか(通常の利用料だけでは賄いきれない)など、設計前に具体的数値や想定利用者の分析、学校プールの統廃合検討など、やっておくべきことはもっとあったのではと思います。

新たに建設したり建て替えたりする際は、基本構想や基本計画を策定しているところが多いので、そういったものを参考にしたり、

温水プール建設基本構想(東かがわ市教育委員会)

検討段階から情報をオープンにしたり

プール改築のあり方に関する町の方針 (案)(池田町)

町内のプール全体を公共施設運営という観点から方針を整理しておくことも、重要だと思います。

現市営プールの適正化基本方針 - 津山市


これから間に合うこととして、利用開始までの間に、利用者増に向けた取り組みや、学校教育での活用計画をしっかりやってもらいたいと思います。

まあ、プールだけではなく公共施設をどう管理運営していくのか、ちゃんと計画を持っておくということは、全体の課題だと改めて再認識しました。

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