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FBライブを"ポチッ"から癌サバイバーに 第11話

お水を1滴 口から飲むことができ感激


最後の放射線治療日。小さいお子さんをもつ美人女医さんは私に、

「もうあなたには、ここでは会いたくない」

「ええ、私も先生に、ここでは2度と会いたくないです」

素敵なお別れの言葉に涙がこぼれた。

治療は木曜日に終わった、激痛は続いたものの、週明けの月曜日には少し良くなり、1週間後は、さらに良くなった。過酷な治療をなんとか生き抜いた、治療が終わった安堵。喉の痛みも喉のただれも日に日に少しずつ良くなってきた。人間の治癒力は、改めてすごいと痛感した。

10月12日、お水を1滴飲めることができた!唾液を飲み込むことができた!!食べ物を口から少し食べることができた!!!シャワ-ができた!!!!娘と抱き合って喜んだ。こんな日がまたくるなんて、、、口から飲食ができるってなんという幸せなことなんだと感激と感謝で涙があふれた。

10月15日、腫瘍学の先生とのアポイントがあった。病練はかわって中央病練だった。待っている半数の人は、スカ-フを頭にかぶっていた。腫瘍学の先生は、とどめの抗がん剤を私に薦めた。そして今回のは以前のより強くなリ、髪の毛やまゆは以前の以上に抜けるという。そういえば主治医のフライッシュマン先生に最後の抗がん剤は体が弱って無理だと言った時、了解をして下さったが、とどめの抗がん剤は投与するように私に言った。美人女医さんも、「たくさんの人はしないが、これは良くない、受けた方がよい」と。フライッシュマン先生に、「とどめの抗がん剤は今の抗がん剤より強いんですか」と聞いた時、先生の顔は一瞬硬直したが、「もちろん強くないですよ」と微笑んで答えたのを思い出した。思えば身体が弱くなっている私を労わった優しい先生の答えだったと思う。腫瘍学の先生は、この抗がん剤を投与した場合、7-10%の再発は防げると言った。『たったの7-10%に、抗がん剤を!?、さらに強いのをまた?!?』先生は続けて話した。私が90歳代なら、しなくてよいと言う。30歳代なら、しなさいと言う。51歳の私には、した方がよい、としか言えない、このとどめの抗がん剤を投与しても再発する患者もいれば、しなくても再発しない患者がいると。私は先生に、私はシングルマザ-で、これ以上娘をほったらかしにできない、抗がん剤を投与すれば、また動けなくなると説明した。私は先生に「ご経験の中で、このとどめの抗がん剤を投与しても再発する人、しなくても再発しない人は何が違うんですか?」と聞くと、先生は「運命だ(Schicksal)」と答え、私に1週間考える時間を与えて下さり、来週、答えを聞かせてほしいと言った。

『私はとどめの抗がん剤はしない、私は再発しない』心の中で繰り返した。

家に戻り、近所の背筋のピンとしたおばあさんに、どうすればいいのか相談した。彼女は、「今あなたの状態で抗がん剤を投与したら、癌ではなく、抗がん剤で死にますよ」と私に言った。彼女は私の顔色がとても黄色いと指摘した。翌日私の郵便ポストには彼女からのビタミンDの錠剤がはいってあった。気遣ってくださる優しさに感謝した。

クリスチャンの私は祈った。教会の牧師先生も私と祈ってくださった。

翌週、私の答えは、とどめの抗がん剤は受けない。書面にサインをした。




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