的野紀子

韓国映画、韓方(韓国の漢方)、韓国の歴史好きが故に、ちょっとマニアな韓国旅を楽しむフリ…

的野紀子

韓国映画、韓方(韓国の漢方)、韓国の歴史好きが故に、ちょっとマニアな韓国旅を楽しむフリーライター。渡韓回数は100回以上。最近は月イチペースで、地方をめぐり、新しい韓国を探しています。

最近の記事

 【エッセイ】「マルモイ ことばあつめ」

 私たちにとって、「言葉」とは何だろう。  私たちは、生まれてからある程度生きると言葉を覚え、人と互いに意思の疎通を図るようになる。機能的な面から考えると、「言葉」は、人と人とのコミュニケーションツールと断言できるだろう。しかし、この映画を見て、「言葉」は決して、それだけの意味を持つものではないことを改めて知った。  時は1940年代初めの日本統治時代、舞台となるのは、朝鮮の京城(現在のソウル)。朝鮮の人々は、だんだんと朝鮮の言葉を禁じられるようになり、朝鮮の言葉で

    • 【여행에세이】한겨울의 경주에서 만난 온기

      만물이 얼어붙듯이 추운 어느 한겨울 날에 나는 경주에 있었다. 나는 중학생 시절, 역사 교과서에서 본 석굴암의 석불에 격하게 마음을 빼앗겨 어른이 되면 반드시 한국으로, 그리고 경주로 가보겠다고 마음을 먹은 적이 있다. 그러다가 십 수년 후, 오랜 세월이 걸려 버렸지만 나는 드디어 동경했던 도시, 경주의 흙을 밟게 되었다. 한국사에 관심을 가지는 친구는 거의 없었고 여행일정을 연말연시 휴가에 맞추었기 때문에 자동적으로 〝한

      • 【旅エッセイ】真冬の慶州で出会ったオンギ(ぬくもり)

         すべてが凍てつく、ある真冬の日、私は慶州にいた。私は中学生の頃、歴史の資料集で見た石窟庵の石仏に激しく心奪われ、大人になったら必ず韓国へ、慶州へ行こうと決めたのだ。それから十数年、長い年月がかかってしまったが、ようやく憧れの地・慶州の土を踏むことになる。韓国の歴史に興味を持つ友人はおらず、また、年末年始休暇に合わせたため、自ずと「真冬の慶州、女一人旅」となってしまったが、まあ、それも粋で格好いいじゃないか、などと思いながら、初めての慶州へ思いを馳せていた。   しかし、そ

        • 【エッセイ】明太子がつなぐ福岡と釜山の絆

           福岡で生まれ育った私にとって、明太子はかなり身近な食べもので、私がものごころついた頃には常に食卓に上っていた。子どもは辛いのが食べられないからと言って、まずは「辛子明太子」ではなく、「たらこ」という名の食べものを白いごはんと一緒に食べていて、そのまま食べるのも好きだったし、少しあぶって食べるのも好きだった。子どもながら、「たらこ」は私のお気に入りのごはんのおともで、我が家の冷蔵庫には欠かさずあった、いわゆる常備菜だった。高校生ぐらいになると、もう辛いものも食べられるだろうと

         【エッセイ】「マルモイ ことばあつめ」

          【旅エッセイ】忘れられない味

           私が韓国を旅するようになって、かれこれ二十年以上になるが、初めて韓国を訪れ、食べた料理が忘れられない。当時、韓国に行って楽しむグルメと言えば、「カルビ」と言われる牛カルビの焼肉が主流で、私もご多分にもれず、「カルビ」が食べられれば、それで充分だと思っていた。  初めての韓国、私が訪れた街は釜山。美味しいものを食べるには、やはり地元の人に聞くのがいちばんと、その辺りを歩いている人に、果敢にもカタコトの韓国語で話しかけ、なんと親切なことに、店まで連れて行ってもらう。ロッテホテ

          【旅エッセイ】忘れられない味