先生

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211217/k10013391971000.html

大阪の診療内科で火事があったとニュースで知る。この病院の院長が患者とトラブルになっていて、その人がもしかしたら犯人かも知れないとネットで知って悲しくなった。

鬱の頃、新宿の診療内科に通っていた。

会社に復帰するまでのプランを先生と考えながら治療をしていた。焦る自分に、焦る必要はないからゆっくり治しましょうと治療していた。

3ヶ月を過ぎた頃、突然先生が亡くなった。

亡くなった原因は知らされなかったけど、自殺なのかもしれないと思った。

本来なら休職して半年で復職を目指していたけど、先生が亡くなってから、病院は混乱していて、何しろ個人経営の病院だったから。

病院を存続させるのか、無くすのか、先生と共同で病院を運営していたカウンセラーさんのお陰で、病院は存続できた。

でも、新しい先生を探すのに時間が掛かったし、紹介状を書いて貰って、他院に行く人もいた。

自分も、他院へ行くか、新しい先生が見つかるまで待つか、見つからない可能性もあると言われ、混乱し更に病んだ。

そして、先生を殺したのは自分なんじゃないかと思った。

病院が再開されても、待ち合い室で泣いている人もいた。皆悲しさと、自分が殺したんじゃないかと自分を責めていたのかもしれない。

初めて先生に会ったのは、伊勢丹の産業医から紹介された心療内科の１つで、診断書を貰う為に行った。

その当時先生は40代くらいだったのだろうか…。

まつ毛エクステを付けて、ネイルもして、肌の白い黒髪の先生を見て嫌悪感を抱いたのを覚えている。こんな先生が心療内科の先生なんてバカげてる。診断書を書いて貰って、会社に提出したら休職をするように言われてしまって、先生を恨んだ。

診断書に何て書いたんですか？？誰に言われたんですか？

休職して初めての診察で、そんな事を言った気がする。

今の貴女には休みが必要なんだから、ゆっくり治療しましょう。犯人探しをしたってしょうがないのよ。

先生は自分にとても合っていたと思う。診察の時は本当に話しを聞いて貰えている気がした。

先生と一緒に治療していこうと思えた。

その矢先、亡くなった。

ネットで調べなきゃいいのに、先生の情報が何か無いかと探したら、ネットの掲示板みたいな所に、先生の悪口が書いてあって、泣いた。ますます精神を病んだ。先生はそんな人じゃなかったのに。

今回の事件みたいに、逆恨みした患者さんは居るかも知れない。

何故なら、通院中に、受付の女の人に

金がないんだから、薬代出せないんだよ！！！死ねって言うのかよ！！！！

髪の色がカラフルで、スカートの短い若い女の人が喚いていた。受付の女の子は、淡々と丁寧に受け答えしていた。患者の女の子は項垂れ、捨て台詞を吐いて病院を後にした。

うん…心療内科だもんね…。

待合室は、一見貴女どこが悪いの？ってくらいに綺麗にしてる女の人、明らかに精神を病んでいそうな身なりに気遣っていない人、本当にさまざまだった。

自分は、身なりを綺麗にしていた。変な人と思われたくなかったから。心療内科に通ってる人間と思われたくなかったから。

初めの頃は、そう思っていたけど、結局一年半通って、そんな思いは消えた。偏見みたいなものは。

私みたいに、先生に感謝する人も居れば、逆恨みしてしまう人も居るかも知れない。

最近思うのは、そういうのって精神を病んでるとかそういうんじゃなくて、もう産まれた時から何かが欠損してるんじゃないかなと思ってしまう。

亡くなられた人たちを思うと、本当にやり切れない。言葉に詰まる。

最近また心療内科に通うべきか悩む所もあるし、通うのもありと言われたけど、以前の鬱の頃と違うのは、明らかに問題が明確にあって、その事が自分の中の負担・モヤモヤになっていると感じているから、そこがクリアになれば解消されるんじゃないかなと思っていて。まだなんとか1人でやれそう。

あとは今、自分には話しを聞いてくれる人がいるから。とても助けられてる。1人じゃない。

他人と関わる事で孤独を感じる事もあるし、1人じゃないって思える事もある。

結局自分の気持ちの持ちようなんだろうな。整え方か。

今でも先生の事を思い出す。綺麗な人だった。先生と一緒に病院卒業したかったな。

先生私まだ生きてます。しぶとく。