沢山のお誕生日メッセージありがとうございます。
お誕生日は黄泉がえり、甦りの聖地と呼ばれる秘境の山々を歩いて来ました。
そこでまたしても不思議でかけがえのないご縁をいただきまして。
決して忘れることはないけれど、人生のうんと幸福で優しい思い出として書き留めておこうと思います。
携帯も繋がらない険しい山道を延々、おまけに先だっての土砂崩れで通行止め、大きく迂回路をまわって数時間後にやっと辿り着いた神域には、ひとつだけぽつんと茶屋があります。
参拝後、ふらふら一休みに入った私に店主のおじいちゃんが声をかけてくれて、しみしみほそぼそ楽しくおしゃべり。
店主「お姉ちゃん、でもなんでまたこの大雨の季節に2回も?」
私「お誕生日に神恩感謝するご祈祷で。去年のお札もお返ししたいし」
「ほう!そりゃめでたいな。23歳おめっとさんやで!」
「おっちゃん、お世辞に根拠がなさすぎるわ」
「いやいや、お世辞は根拠いらんから成り立つんやで」「なるほど…!」
「ちなみに、お姉ちゃん家族は?」「誰もいません。もう一人なんで」
「そうか。お姉ちゃん、ここの山好きやろ」「はい、大好きというか惚れこんでる」
「なあ、いきなり聞くけど商売したことあるか?お姉ちゃん、客商売得意なんちゃう?」
「得意かはわからんけど好きですねえー。こう見えて働きモンで(笑」
「ここにおいで。住んだらええやん、好きな山に。この店、継いだらどうや?」「は?」
「お姉ちゃん絶対、商売向いとるわ。この山にも好かれとる。全部教えたるからおいで」
「来年のお誕生日またおいで。そん時に細かい話しよな」「えっと、あの」
「おっちゃん、お姉ちゃんが生まれた年はもうこの店で働いとって、ずーっとここに立って、色々見て来たからなあ」
「…23年前から?」「その倍以上やろ(笑」
おじいちゃんが言う商売向きが何を指すのかは直接聞かなかったけれど、他のお客さんと向き合う姿をそっと見てて、なんとなく言わんとすることはわかる気がします。
お客さんになる・ならないの前に一人ひとりが大切な時間を生きる他生の縁だと、個性的な人の顔をして見えていること、
一期一会の互いの学びと幸を祝福し感謝すること、自分が扱う大切な商いに、いつもずっと飽きないで愛せること。
これは昔、経営に悩んでた私が商売の神様から「もしいつか人が自分のために動くのっぺらぼうやお金に見えたら、やってることに飽きたら事業はすぐやめろ。やる資格がない」と厳しく教わったことで、
おじいちゃんは何十年もずっと倦まず弛まず飽きず、ほがらかに商いとお客さんを愛してきたように見えたからです。
そんな尊い命の時間がたっぷり詰まった歴史ごと、優しい約束を不意打ちでぽんと手渡されて、やわすぎる私のハートはとりあえず来年も参拝とおじいちゃんに会いには必ず来る、と涙声で約束するのが精一杯だったのですが。
こつこつ働いて帰る故郷はない旅をして、一人でご飯を食べて一人で明かりを消して眠る、そんな日々が私の人生の当たり前で、この先もきっとずっと続くのだと、そう思い込んでたのに無条件にあったかい居場所が差し出されるとか、
なにより、事業やってく原点のように大事なことを改めて背中で教えてくださったこと、
ただただ好意だけで結ぶ約束は、明日をほがらかに生き延びる愛と希望を生み出すことや、
去年と今年たてつづけに大切な仲間を亡くし、彼らをはじめ敬愛する仲間たちが長年に渡って疑わず夢という約束を結んでくれている、その幸運と幸福をつくづくと改めて思い知らされた機会で、帰り道ずっと想いと涙が溢れて止まりませんでした。
おじいちゃん、最高のお誕生日プレゼントをありがとう。
生んでもらった時から測り知れない恩恵を与えられ続けてることに感謝するはずのお誕生日にまで、やっぱり私は返しきれない贈与を受けていることに感謝の言葉を尽くしても足りません。
大切な仲間たちにも、周囲で支えてくださる皆さまにも。いつも本当にありがとうございます。
皆さまの今宵も、明日を明るく待ち遠しくする優しい約束や大事な夢が、正夢になるのを助けてくれますように。
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