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「副業」「GiG Worker」は貧乏のスパイラルになるか?

【副業が推奨される資本主義社会に変わった】
最近は、日本だけでなく、世界的に「副業」が当たり前になってきている。日本でも、終身雇用がなくなった社会になった(「崩れた」と言うけれども、実際には「なくなった」)。Aという企業に勤務しているが、その企業が出せる給与がどんどん低下している。その給与の低下が社員の生活を脅かすほどのものになると、Aという企業は自ら社員に「副業」を推奨する。そういう企業が増えてきた。「成長」はもう望めない「資本主義」の社会だが、ピケティによれば、もともと資本主義になった世界で、「成長」していた時期のほうが短い、という。社員個人の給与低下は、日本の戦前から戦後にかけての「サラリーマン」「ホワイトカラー」、戦後生まれた「終身雇用制」の採用競争の時代を経て、今は低成長の時代に入った。その間隙を縫って「副業」という言葉が生まれたが、もともと「副業」は可能だったのだが、企業としてそれを社員にされると「困る」ことが多かったから、していなかっただけだ。今は低成長社会に突入し、社員に出せる給与は少なくなり、会社が社員を「囲う」ことはなくなってきた。「会社」という組織の求心力が「お金(富)」というリアルなパワーではどうしようもなくなってきた。

【就業者個人としてどう生きていくべきか。どう収入を得ていくか】
就業者個人としては「終身雇用では食えない」となると、終身雇用で食える別の働き先を探すか、あるいは終身雇用で食えないのであれば、現在の仕事はそのままに、「食えない」ことを理由に会社の許可を得て「Bという会社の仕事もする」ということになる。つまり、これからの世の中は、社会全体のお金の不足が始まるから「終身雇用」はもちろんなくなっていくし、副業は増えていく。副業はたくさんあるが、減った給与の補填になるほどの収入がある場合は少ない。しかし、就業者個人の収入は、副業をしても、減っていく。こんな社会でどう生きていくか。ここに重点を置いた「身の処し方」が、これからの給与所得者の生き方の中心になる。

【「副業でYouTuber」は成功しないことがほとんど】
「収入」という面だけ見れば「YouTuberが儲かるかも」という人がいるが、それは、大きく稼げているほんの一握りのYouTuberを見ているだけだ。夢を見るのを悪いとは言わないが、食えなくなることは確実だ。つまり、YouTuberで儲けている、という人は「例外」である。自分がそうなれる確率は非常に低い。また「食えている」YouTuberの話を聞くと、みな「食えないとき」を持って、そこから別の戦略を考えている。つまり「食えない時期になんとか食える蓄え」も必要、ということになる。あなたに「それ」はありますか?なによりも、蓄えがあったとしても、そこから計画を立て、X月X日までに食えるようにする、という「計画」を作り、実行し、結果を得て、結果を検証しつつ先のプランも考える、ということができるかどうか?計画性も重要なのだ。

【「どこかに就職すればOKな世の中」は消えた】
日本の大企業、それも製造業が「副業OK」のニュースリリースを出したとき、日本の終身雇用制による会社への忠誠と組織の堅固さを要とした、高度経済成長期の日本の企業の姿が霞んで、見えなくなってきた。そこからここまで来るのは、すぐだった。多くの就職前の学生や、終身雇用をあてにしていた人たちが非正規雇用の海に多く浮き始めた。恐ろしいことに、数十年、終身雇用の会社で勤めてきたその社会に慣れ親しんだ「サラリーマン」が、会社の都合で「裸で世の中に放り出される」時代がやってきた。「外部での仕事」に対応する訓練が全くされていない人たちが、これから日本にあふれる。

頭を切り替え、「自分で生きていく」覚悟ができた人だけが、生き残る。

そういう世の中に変わった。



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