見出し画像

「ウィルスを除菌」?

【「ウィルス」と「菌」は違う】
新型コロナウィルスで話題となった「ウィルス」だが、ウィルスは「生き物」ではない。基本的には遺伝子のかけらを主体としたものだ。「菌」は「生物」に対して言う。「菌」は小さくても「生物」なので、なにか食べ物を補給し、運動し、排泄する。

【不正確な表現は訴訟リスクを含むだけではなく信頼を下げる】
専門家にとっては「ウィルス」と「菌」の違いなどは、基本中の基本で、これを間違える専門家はまずいない。だから、専門家から言わせれば「ウィルスを除菌」という表現は「ウィルスと菌を一緒くたにしている不正確な表現」となる。また、専門家から見れば「よくわかっていない、訴訟リスクなどもあるかもしれない、文言のチェックをちゃんと受けていない表現」とも言える。おそらくそういう製品を売る、この文言での広告を考えた会社に、チラシ等の文言への専門家のによるチェック体制が無いのだろう、と思うわけですね。つまり、そういうチェック体制の無い会社の製品の信頼は低い、ということになる。

【素人には「人間に害する見えない小さなモノ」なんだけどね】
こういう表現の不正確さは、訴えられたときなどに必ず精査されることになるので、そういうネガティブな騒ぎを起こさないためにも、正確な表現が必要だ。しかし、こういう不正確な表現がなぜあちこちで見られるのかというと、専門家ではない人にとって「目に見えない小さなモノで人間に害するもの」は「ウィルス」でも「菌」でも、どちらでもいい、ということになるからだね。ただし、どこかしら「刺す人」は、この世の中に公になるものであれば、必ずどこかにいるわけです。だから、こういう表現は気をつけて使わないといけない、ということになる。実際、大手の企業がこの種のもので製品を売り、広告を出すものでは必ず「ウィルス」と「菌」を分けて表現している。社内でちゃんとした専門家のチェックを受け、訴訟などのマイナスのリスクをできるだけ低くする、というコンプライアンスが働いているからだろう、と想像できる。つまり、そういう会社の製品は信頼されるが「ウィルスを除菌」というのを広告で打つような会社は信頼されない、ということになるわけだ。言葉での表現である以上、公になることが前提のものは、やはりきちんとしたチェックが必要で、そのためのコストもしっかり払う必要がある、ということだね。

【言葉をできるかぎり正確に】
人間のコミュニケーションの基本は「言葉」なので、その言葉の最小単位である「単語」の定義には、やはり慎重になるべきだなぁ、と、最近のコロナでの「コロナ対策商品ブーム」についても、思うわけです。正確ではない表現がわかったら、すぐに訂正する、という態度も必要なんだろうな、と思います。その方がトラブル防止にかかる経費と、トラブルで払うお金を天秤にかけると「安い」んですよね。ビジネスとして考えるとね。

大手メーカーは「ウィルス」「菌」を分けた表記が当たり前だ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?