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「DX」を阻む日本の「決定的な問題」

【言われたことをやれば食っていけた時代は終わった】
いま、日本では完全に高度経済成長期もバブルも終わった。それは「言われたことをやっていれば食える」時代が終わった、ということだ。日本という地域では国際的サプライチェーンや安価な物流などの登場で、国境は関係なく、世界で戦うことを強いられているが、日本の組織のほとんどに、世界で戦える力はないのではないか?

【日本人の給与が上がらない】
日本人の給与は世界的に低い水準にある、というのは良く報道される。いま、東京の平均給与は韓国・ソウルの後塵を拝する状況だ、という調査もある。このままでは数年で東京人の給与はベトナムにさえ抜かれるだろう、と言われている。

【人の能力を「測れない」日本】
日本という地域では長く「豊かな時代」が続いた。お金を出してくれる人や組織の言う通りにしていれば食えたから、下請け会社などの組織の利益を上げるには、人件費をいかに抑えるか、しか、考えなくて良かった。だから、「この人は多く利益を産む人材だから高給で雇う(その代わりウンと稼ぐ働きができる)」ということに考えが及ばない。能力があり、数字でそれを考えることができる人材は限られており、多くは資本が豊富な大企業にしかいない。多くの日本の中小企業は全企業数の80%という日本では中小企業の多くは、大企業の「下請け」として生きてきたから「自分で考え、自分で計算し、自分で決定し、実行する」ことができない。それができる人をどのくらいの給与で雇うのか?ということもできない。世界的な企業の標準から言えば「無能」と言われても仕方がない。

【「ITで人件費削減」。で、いくら削減するの?】
そういう「人の能力を測る」計算ができないから、DXができない。DXで必要なのは「システムを入れたら削減される経費」と「システムを作り運用するのにどのくらいの費用がかかるか」をそれぞれ数字にして、天秤にかける、という「算数」だ。それが出来なければ、なんとなく「高い人件費が払えないから給与の高い人は雇えない」というだけだ。「システム導入で毎年2000万円の利益が出る予定だから、システム導入管理者に年収1千万円と、システム開発費に5千万円+αをかけても、運営費は毎年150万円ほどだから、1年めは赤でも、X年めから利益が見込め、X年めから黒字になる」などの計算をしている「中小企業」は日本では少ない(「全くない」とは言わない)。豊かな時代には仕事の発注先の言うことを聞いていれば食えた、という「幸せな会社」が多かったからだ。当然だが、そういう計画が立てられなければ、与えられる仕事をこなしていく、ということになるから、ひたすら「人件費削減」しか考えられないので「事業」はジリ貧にならざるを得ない。優秀な人材は来ないし、経費削減ができるシステム導入さえままならない。この「人の能力を含めた算数ができる頭脳」こそが「企業が自立するための頭脳」であり、経営者が行わなければならないことだ。経営者ができない場合はそういう人を経営者が雇う必要がある。

【企業の成功と不成功は全て「数字」だ】
結局、企業や組織が儲けを出して税金を払うにも、数字の計算で全て判断される。「数字が全て」だ。これはあらゆる組織に言えることだ。「成功」「不成功」という結果を表す基準は数字でしか組織の外部には示すことができない。「自分個人の判断では、私は成功していると思う」という話は「個人的な意見」であって、それはまた話が別だし「公的なもの」としては認められない。やはり数字である。数字が全てではないが、数字でなければ多くの人を納得させることができない。

「自分の判断では会社は続けるべきだと思う」は結構だが「数字の計算では明日会社がなくなって、取引もなくなります。それでも続けますか?」という「唯我独尊」では「経営」とは言わない。それって「あなただけの宗教」なんじゃないの?ということになってしまう。世の中の全ての人や会社はそんなあなたの組織になにも期待しなくなる。あなたの組織は「なかったこと」にされて「終わる」。

【日本の組織のDXは「数字」から始めよう】
「当たり前」のことだが、日本の組織のDXは数字で決めよう、という当たり前の話になる。「安い人件費」をボーッと期待しているだけの「下請け経営」は終わらせないと、日本人の給与は上がらない。

実はDXというのは、そういう「経営の当たり前」をする、ということから始めることだ。

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