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【東大理転激闘記0】大学で理転する話

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大学の進学選択(通称「進振り」)で後期課程の学部が決まり、工学部の電子情報工学科(以下電情)に進学する。
私は東京大学の文科二類に入学したから、理転するということになる。
これからするのは、なぜ大学で理転しようと思ったのか、そんな話。

面白そうだったから

理転した一番の理由は面白そうだったから。輝いていたから。
つまるところ、直感

 理転することを決めるまでの間にいろいろなことを考えたけど、結局最後は今一番自分がやりたいと思うことをやるべき、という先輩の言葉を信じて直感で決めた。

 ただこれだと話として情報量が0なので、ここに至るまでの紆余曲折を追ってみる。

「経済学部でしょ」

 中学入学当初は法曹系に興味があったが、やがて興味は経済・経営系へと移り、東大も経済学部に行きやすい文二で受けた。科類の75%と同じように経済学部に行くという選択は当然だったし、1S(1年前期)の成績的にもこのままなら経済学部には行けるだろうと思っていた。
 「後期課程は経済学部に行って学部卒で就職でしょ
 そんなことをテキトーに考えていた。

工学部という選択肢との出会い

 そんな状態で迎えた1年生の夏休み。友達に誘われ本郷テックガレージの Summer Founders Program でテック系のプロジェクトを回した時に、周りの人たちがハードウェア・ソフトウェアを使いこなして誰かの助けとなるようなものを創り出している現場を目の当たりにした。その時自分の中に風が吹いた。
 「自分もこんな風にものづくりをしてみたい。」そう思った。

 そのプログラムの最後の懇親会で大学の先生とお話しさせていただいた時に、

「電情来なよ」

と言われた。いや、言われてしまった。あれは、半分冗談だったのかもしれないし、半分くらい本気だった気もする。
 なにはともあれ、自分の中に進振りで工学部に行き理転するという選択肢が突如として現れた瞬間だった。

(その方は文系の学部卒で、理系の大学院に社会人枠で入ったという方だったので、おそらくもっと早くに理系に行っていればという想いがあったんじゃないかと勝手に想像している。)

進振りってチャンス!

 もともと進振りで経済に行くこと以外考えていなかった僕にとって、考えもしなかった工学部への進学を視野に入れ始めたことは、ほぼ全ての学部学科を視野に入れることに等しかった。

 農業にも興味あるし経済に行かないで近い内容をする農業経済に行くのもいいかもしれない。いや、経済だけじゃ物足りないから教養学部の相関社会科学コースで経済と社会学あたりを一緒にやるのがいいかもしれない。でも経済より社会学の方が実は興味がありそうだから、文学部社会学専修に進むのがいいのか…。教育から社会を見るのも面白いかも!

 もちろん理系の電情以外のところも見て行った。(ただここに関してはリサーチ不足なところも否めないので、もしこれを見ている後輩がいたら徹底的にリサーチかけて欲しい。)情報系のことをやるところで言えば、工学部の計数工学科とか教養学部の総合情報学コースも面白そう(理学部は要求科目的に不可能)。あるいはもっとハード・メカよりの機械B(機械情報)もあるし、理系の内容をどう社会に応用するかについても学べるシステム創成(C)も良さそう。

 そんなことを考えつつも、とりあえず電子情報を念頭に、要求科目の数学1、数学2をしっかり取れるようにしつつ、履修点や重率も意識して1Aは情報システム工学概論などを取ったりした。

自由は選択する責務を負わせる

 1年の成績が出て、0点参入なしで平均点は80点ちょいあり、ある程度学部学科を選択する自由があった。これは同時に自ら選択する責務を負うことを意味する。
 基本的に選択肢は工学部電子情報工学科か、教養学部教養学科総合社会科学分科相関社会科学コースの2つ。

 工学部電子情報工学科はまず理系ということで、これまで文系で生きてきた自分にとってあまり触れてこなかった世界にがっつり浸かることで視野が広がるのではないかということ。電情に興味を持ったきっかけはソフトウェアとかメディア系だが、趣味としてやっているカメラやオーディオ、パソコンの仕組みなどハード面についても興味を持っていて知りたいこと。最近は底点も比較的高く、理系の優秀な人間が集まってくるというイメージがあった。また、授業で忙しいという話も、これまであまり授業に全力をかけるということをしてこなかった自分にとっては強制力がありいい環境だと考えた。機械Bなどに比べ文系出身の先輩がいてサポートシステムもあるというのは心強い。

 教養学部教養学科総合社会科学分科相関社会科学コースは国際関係論コースと同じ総合社会科学分科の枠での進学になるため底点が高く、優秀な人間が電情同様多い印象がある。「障害者のリアルに迫る」ゼミを受ける中で、自分の興味分野が社会学系であることに気づけたため、社会学を学べるという点で魅力的であった。そして文学部社会学科との違いは他の社会科学(経済学、政治学など)も一緒に学べるため知識を体系的に得られそうである点。自分が研究をしていくのならば、専門としてやっていくのならば社会学の障害科学の分野だろうなというのはなんとなく感じていた。教養学部ということで思想系の授業や、それこそ総合情報とかの授業を履修しやすいというのも魅力的であった。

 この2つ、説明を聞かなくてもわかるようにあまりに違う。めちゃ理系のところとめちゃ文系のところだ。それぞれの志望理由も「理系に飛び込んで世界を広げたい」と「社会学をより深く学びたい」というベクトルがまさしく90度違うものであるし、論理的に考えても決められるわけがなかった。

 おかげでいつまでも考え続けていたし、実際7月くらいまでは本当に50/50だった。そんな僕が工学部電子情報工学科に最終的に決める要因となったであろういくつかのイベントを紹介する。

学部ガイダンス

 1年の12月あたりと2年の5月あたりの進学選択にあたってのガイダンスが各学部・学科・コースによって行われるのだが、5月のガイダンスは大きな影響を与えた。

 自分が参加したのは以下の5つ

・教養学部学際科学科総合情報学コース
・教養学部教養学科総合社会科学分科
・工学部全体及び電子情報工学科
・経済学部
・農学部農業·資源経済学専修

 総合情報学コースは情報の扱い方というか、理論よりも応用を幅広く取り扱っている感じで面白そうだなあと思った。相関社会科学コースがある総合社会科学分科はガイダンスというより質問会みたいな感じであったので、特に新しい情報があるという感じではなかったが、卒業論文を重視しているという内容は魅力的に感じた(大変そうだが)。

 大きく心が動いたのが工学部のガイダンスである。実は4月ごろに結局自分の今の興味分野って社会学だよなと思って冷静になれば文系に行くべきだよなと思って、傾いていた頃だった。とりあえず参加してみるか、ぐらいのノリで参加したのがこのガイダンスだったのだ。
 しかし事前の期待値が低い方が、良かった時のインパクトは大きいというものだ。「工学部ってかっこいいな」、そう思わせる話だった。ちゃんとプレゼンの下には字幕がついていて配慮がなされているし、そして何より話している人の目がキラキラしている、楽しそうなのだ。

 これでもう完全にわからなくなった。あーもうまた一から悩み直すのかよ、って正直思ったけど、同時にワクワクもしていた。

 そのあと工学部丁友会というところがやっている相談会的なのにも参加して、文系から行ってもなんとかなりそうだということも改めてわかった。

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ちなみに経済学部は卒論がないことを売りにしていたり、農業経済はみんなでワイワイやってますみたいな感じでちょっと緩すぎないか、、、って思ってしまったので行く可能性がここら辺で0になってた。

ものゼミ

 工学部電子情報工学科の川原先生が開いてらっしゃる主題科目に「ものゼミ」というものがある。micro bit:というマイコンボードを使って簡単なプログラミングをして手軽にものづくりを体験してみようという授業である。

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 例の「電情来なよ」と言ってきた先生にオススメされたので取ってみたのだが、これが楽しかった。これまでプログラミングに挑戦しようと思ったことは何度かあったが、なんせ目標がなくて最初のステップで躓いてしまっていた。
 ただこの授業は最初に集中的に教えてくれたあと、実際に一つオリジナルのタイマーを作ってみようというものだったので楽しんで一つの完成形を作るところまで持っていけた。

 そして実際に作ったタイマーを発表した際に賞をいただいたりしたので、単純な僕は「やっぱりものづくりって楽しいんだな!」って思ったりした。

いざ進学選択

 進学選択の第一段階の志望登録は7/1までにとりあえず登録して、それを成績が出る8/21から8/26までの間に修正できるというものである。
 あとからでも変えられるだろうし、とりあえず工学部電子情報工学科にしておくか、みたいなノリで7/1の段階で出した。(ちなみに一度決めてしまうと、それを変えるのには相当大きなエネルギーが必要だから、ここで選択したやつは変えられるけど実際変える可能性は低いので慎重に選ぼう。あと自分はこのことを自覚していたが、勢いで決めた。)

 成績は8/21に出る予定だったのだが、8/18あたりにUTASを開いたらなんか成績が見れてしまった。(これは情報学環の教育部というところに所属しているかららしい。みんなも入ろうね!)ただ成績の内容は想定から大きく外れるものではなかった。

 8/26の朝10時40くらい。実はこの時修正の締め切りが27日だと勘違いしていたことに気付き、危ねえってなってUTASで登録がとりあえずできているか確認。変わらず電情で登録できていた。

 んーどうしようかな、って30秒くらい考えて、また別のことを初めてしまった。

 気付いたら12:30だった。締め切りは12時だったので、もう終わっていた。なかなかにあっさりだなと思った。

 ちなみに7/1の時点で志望した人の中での順位が確認できて、そこでは志望すればまあ問題なく行けるだろうみたいな順位だったので、志望すれば行くのが確定するという状況だった。(総合社会科学は多分無理)
 だから志望登録が確定したと知った時、「あ、俺ほんとに理転することになるんだ」って思った。それまではなんかワクワクした感じで楽しんでたけど、その事実が結構重みを持って自分を覆ってくるような感じがした。

 振り返ると、学期中はずっと考えていて50/50かそれに近い状態が続いていたけど、夏休み入ってあまり考えずにいたら自然と電情の方に傾いていって最後は80/20くらいでもう電情かなという感じになっていた気がする。

新たなステージの始まり

 そして8/31、クラスの友達と奥多摩にBBQに向かう車内、高速での運転を終えてドライバー交代し助手席にいた僕は通信制限に引っかかったスマホを使って格闘し、なんとかUTASを開いた。

 そしてそこにはこう表示されていた。

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 あ、理転じゃん。

 そんなこんなで理転することになった。

 ここから先どんな大変なことが待ってるかはわからないし、潰れちゃうかもしれないけど、定期的にnoteに書いていこうと思います。

 ここまで駄文を読んでいただいたみなさんありがとうございました。

最後に

 書いてて思ったんですけど、自分結構テキトーだなって(笑)。ノリで決めてるし、あえて冷静にならないようにしてるし、ひどいなぁって。でも後悔はないので頑張っていきます。周りに頼って支えられながら、なんとか自分らしく生きていければと思います。

 あと進振りにあたって色々と周りには相談させてもらいました。特にむら塾で同期なんだけど大学院生の方にはとってもいろいろなことを教えていただきました。考えるきっかけとなるSFPに誘ってくれたり一緒にやってくれたメンバーにも感謝。他にも関わっている全ての方によって今の自分がいるなと思うので感謝は尽きません。

 高校の時に「理転しなよ」ってずっと言ってきていた某先生によってずっと頭の片隅にその選択肢があったのかもしれないなあって思ったりもしましたが、多分これはないですね(笑)。でも実際理転するという選択肢をあり得ないと拒絶しなかったのはあるかもしれません。

 みなさん、これからも応援よろしくお願いします。

お知らせ

こちらの記事の続きを書きました!理転した後の話を書いていきますので、ぜひ読んでください🙇‍♂️

また、連載をマガジンとしてまとめてありますので、こちらもご覧ください。


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