トランジットで訪れたインド
ずーっと昔、初めての海外旅行。行先が遠かったので、トランジットで、インドに1泊することに。なので、初海外の地はインドと言うことになる。
到着したのは深夜。翌朝には、また飛行機に乗ってインドを出国する。ほんの数時間だけ、滞在する予定だった。
でも、何かに使うかも知れないと思い、1ドル分だけ、空港で現地通貨のルピーに両替した。
空港を出ると、スパイスの香りが漂う。現地のガイド兼運転手の方と合流し、ホテルまで車で移動。ホテルまで、オレンジ色の街灯が連なっていて、日本とは違う独特の雰囲気。着いたのは、インド洋に面した、大きなホテルだった。
私たちはモニターツアーの安いツアーを使っていて、持っている荷物も少し大きめのバックパック1つ切りだった。でも大きなホテルだけあって、フロントで鍵をもらうと、ポーターの男性が荷物を持って、部屋まで案内してくれた。
部屋に着き、そのポーターさんが客室、各所の説明してくれた。
「ここがトイレで、隣にはバスタブがある。部屋の鍵はこれで。。。」
宿泊中に使用する箇所の説明は終わったので、部屋から出ていくのかと思ったら、さらに説明は続き、
「バルコニーからの眺めは。。」とバルコニーに置いた手の上に顎をのせて、少しくつろいだ様子で話し始めた。
半分以上は何を言っているのかは分からなかったけど、たぶんインド洋に面しているので景色がいい、と伝えたいのだろうということは分かった。夜だったので、黒い海に白いしぶきが少し見えるだけだった。
海外では景色まで説明してくれるんだと感心していたが、翌朝も早いので、そろそろ寝るための準備もしたい。
ただ、ポーターさんは出ていかない。
そこでふと、思い出した。
海外は『チップ』という文化がある。もしかすると、このポーターさんはチップを待っているのかも知れない!
インドは通り過ぎるだけで、何も調べてなかったし、当時はインターネットも普及してなかった。だからすぐにチップの相場を調べることはできなかった。けど、テレビなどで見聞きした自分の記憶では、「アメリカで1ドル」だったはず。ということは、現地通貨の最小の数を渡せばいいのか?
ということは、「インドは1ルピー」で良いはず!
と自分で納得し、そのポーターさんに1ルピーを手渡した。「喜んでくれる!」と思っていた。
が、ボーイさんは手のひらのルピー硬貨を見つめ、黙り込み、部屋から出ていった。
日本に帰って来てから、あんまり嬉しそうではなかったインドのポーターさんをふと思い出した。1ルピーは日本円でいくらなのだろうと調べてみた。「1円」だった。
安すぎた。。。
インドの出国時に、余ったルピーでガムを買った。よくよく考えてみると、その時も50ルピーぐらいはしたな、と。
ポーターさんが元気が無くしたのは、「たったこれだけ?!」という思いだったのだろう。次からは、泊まるだけの国のことも、きちんと調べていかねばと、反省した。
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