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祖父の法事は爆笑の渦
私が幼かったとき、祖父の家に行ったときのこと。わたしは人見知りが激しく、親戚の家に行ったときは石像のように、しゃべらず、じっとしていた。
ただ祖父母の家は別だった。
祖父はあの手この手を使って、孫である私の緊張を解きほぐしてくれたからだ。
ある日のこと。
祖父母の家に行って、両親は叔母や祖母は、姉が話す内容で盛り上がっていた。私はいつも通り、人見知りを発動。すると何か視線を感じる。見ると祖父が私を見ている。
私も見返すと祖父は、口を使って入れ歯を、出したり入れたりし始めた。それも周りに気付かれないよう、黙って続けている。
最初は何をしているのかと思ったが、だんだんとおかしくなってきて、目が離せない私。祖父は続けて、入れ歯を出し入れしている。そして入れ歯を出したときのタイミングを外し、祖父は入れ歯を自分のひざに落としてしまった。
私はたまらず、ぶーっと吹き出し、爆笑してしまった。私の笑い声で、両親や叔母や祖母がこちらの方に目を向けようとしたとき、祖父は慌てて、入れ歯を口の中に押し込んだ。
あまりに素早い対応だったので、入れ歯を出し入れしていた事実は、私しか分からなかったみたい。
祖父がいなくなってしまったあと、法事で思い出話として話したら、親戚一同も大爆笑。その話を皮切りに、親戚の1人1人が、祖父の面白エピソードを話しだし、法事なのに楽しい集まりになった。
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