見出し画像

27. ダイバーシティを活かす

■Keynote

重要なのは多様性。世界に今以上の均質性は要らない。
byピーター・ドラッカー 『ネクスト・ソサイエティ』

■ダイバーシティマネジメントは企業の競争力の源泉となり得る

日本で「ダイバーシティー(多様性)」と言えば、「女性活躍推進」を意味することが殆どであった。男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法など、「性別」にフォーカスされた施策が目立つのが日本におけるダイバーシティの議論の特徴だった。だが最近では、人種や性別以外にも、国籍、宗教、障害、性的志向、年齢など、集団の中で多数派と少数派を生み出す可能性の高い要素について取り上げられることが多くなってきた。世界的に「ダイバーシティー(多様性)」が着目される理由として、多様な発想から生み出される商品、サービスが、企業の売上向上に貢献し、企業間の競争力の源泉となっていることが挙げられる。
ドラッカーは「多様性は重要である」と述べている。さらに「必要なのは多様なモデル、多様な成功、多様な価値観である」とも述べている。

■働き方の多様性を高めて、組織に多様さを生み出す

従来、日本の企業は「日本人」「男性」「正社員」が中心を占めていた。第二次ベビーブーム以降、少子化が進んでいるため、従来の「日本人」「男性」「正社員」中心のマネジメントでは、労働人口が不足することが明白である。そこで、まず企業が取り組み始めたことは「女性」の雇用促進だ。しかし一方で、まだまだ性別による職種や給与待遇などの格差が残った。それらを排除するために男女雇用機会均等法が制定された。この法律により徐々に日本企業は女性が社会人として活躍できる社会に変化してきた。だが、次に問題となったのは、戦力となっている女性社員が結婚や出産をきっかけにフルタイム勤務が難しくなり、仕事を諦めるケースが増えてきたことだ。その問題を解決するために最近、企業は様々な工夫を重ねている。例えば、短時間勤務制度、テレワーク(在宅勤務)、地域限定社員など、各社の業種、業態と女性のライフステージに合わせた働き方が提唱されるようになってきている。

■多様性を受け入れる文化をつくる

日本では、当初「女性活用」の視点から始まったダイバーシティーの取り組みだが、最近では「女性」に限定せず、エルダー活用(定年延長・再雇用)や、障がい者雇用、外国人雇用など、従来の「日本人」「男性」「正社員」にこだわらず、各社の業種、業態に合わせた柔軟な雇用スタイルへと進化してきている。
一方で、マイノリティーに対する「ハラスメント」の問題が社会で大きく取り上げられることが増えている。背景には雇用は多様化を遂げているものの、働く人々の意識までは多様化が進んでいないことが考えられる。今、日本の企業に求められているのは働く人々の意識変革であり、多様性を受け入れる企業文化だ。そしてますます重要度を増してきている。

■Let’s Think!

 □ あなたの日常生活の中で感じる「多様性」にはどのようなものがあるだろうか?


 □ これから自社がさらに発展するために取り入れたい多様性として、どのようなものがあるか?

 □ 多様な人材を受け入れ、活かす組織をつくるためにできることして、どのようなことがあるか?

 □ 自社では、性差や障がい、年齢に応じたふさわしい労働機会の均等は図られているだろうか?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?