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不可視の光

光を失う
光の中で
僕は走っている
空を仰いで
もうすぐ夕日は沈むから

ふいに見知らぬ人の肩に
さえぎられ
光は影を映し出した
その真っ黒な影の中心に
僕は飛び込んでゆく
それもまた光
不可視の光

でっかい山だな
僕はそこに到達できない
もうすぐ爆発するだろうから

その滅びの瞬間
光を吸い込んできた山は
不可視の閃光を解き放つ
巻き添えにはなりたくないが
関わらずにはいられないだろう
僕は祈る

すべて光で満たされますように
光は見えていないだけ
気づかれていないだけで
僕たちの身体は
光そのものをさえぎり
身体の辺縁に七色の光を織りなし
影と闇を映し出す
近接すればするほど
闇は深い

だが不可視の闇は
究極的には不可視への光と
転換するだろう
その一瞬を
見逃さないようにと
僕は祈る

Photo by Pixabay
https://www.pexels.com/ja-jp/photo/247195/

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