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畏怖をいだいて

すらっと伸びた雑草に
雀の子が止まるとたわみ
また雀の子が止まるとたわみ
さらにまた雀の子が止まると
たわむ

カメラを向けると
雀の子は一斉に飛び立ち
後には何も残さない
そんな小さなものたちの
私という人間への恐怖
私をそんなにも大きなものに
してくれる臆病さ
それが私への敬意や
優しさであるかのように
私は思い違いをしてしまう
それを可能にしてくれる
小さなものたちの存在に
私は畏怖をいだく

夜の恐怖は
夕日を見届けた
万人に訪れる
外には獣がうようよしている
夜行性の動物たちは
隙をうかがっては
私の寝床を襲おうと
暗闇を徘徊している

雀の子たちが
カメラに収まってくれなかったのを
残念に思う暇もなく
朝日が脈々と昇り
夏の日は鬼の形相で
強烈な力を放ち始める
昨日見た夕日と同じ容貌で

小さな虫たちが
黄金色に光って
私の周りを取り囲む
まるで私を畏怖するように

彼らが私の存在に
何かを感じているのは確かだ
私の肌は陽光で
やはり金色に輝いていた

虫たちは私を承認してくれる
太陽の光とそれを反射する私の肌を
運動の参照点としている
そんな
小さなものたちの存在に
私は畏怖をいだく

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