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落星

一筋の星が光線のように現れ
今にも落ちてきそうだった
私は奇妙な夢を見ている
そう言い聞かせ
動揺を必死に隠そうとして
それを絵に描き
壁に掛けた

どうしてこんな狂った構図にしたんだい?
まるで飛び跳ねるボールのようじゃないか
あなたは言った
私はお前の夢のなかで
お前を煩わただけだったのか?

いえ全然
結局のところ
私はあなたの正体を
何も知らなかったのです

あなたが私に与えたものは
まったくのところ
あなたに返すことのできないものです
それは空気のようなもので
燃えさかる炎に養分を与えるが
とらえることは決してできないから

あなたが私に与えてくれたもの
私はそれを他の誰かに差し向けるしかない

あなたが私に与えたものは
あまりにも大きくて
結局のところ
私はあなたに返すことなどできないのだから

まったく
結局
私は
何も
一人では
なしえなかった

その答えを聞いて
あなたは満足して
姿を消した

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