ダークサイドはサイコロの1・野田昌宏の日本語訳は凄かった
スターウォーズ最初の三部作のノベライズ。
その翻訳はSF作家の野田昌宏が一手に担っていた。
そこではフォース”the Force”は「力場」と訳されていた。
そしてフォースのダークサイド”dark side”は「暗い側面」と訳されていた。
よくある日本語訳の「暗黒面」ではなく「暗い側面」。
スターウォーズの最初期、まだ用語や訳語が定まっていない時代だった。
日本語訳はおろか、本家の英語でも”the Force”が何か、”dark side”がどういう意味か誰もわかっていなかった当時。
その時代でもこの「暗い側面」という訳語は結構ダサいと感じた。
でもこの一見ダサい訳語が、とても本質をついていることを発見した。
よくある訳語の「暗黒面」だと平面に感じる。フォースには裏と表があるだけ。
フォースは薄っぺらい板のライトサイドとダークサイドの2面というモデル。
このモデルをイメージすると、善か悪かといった勧善懲悪の単純な解釈をしてしまう。
しかし「暗い側面」。暗黒じゃない。「暗い」。
暗さは相対的だ。何かに比べて暗いのだ。
そして「側面」。面ではなくて「側面」とすることで立体的になる。
「フォースの暗い側面」という表現からは、サイコロのような直方体をイメージする。
サイコロの6面、6つの数字は直方体に張り付いている。
だから光の当たる方向で、明るくなったり暗くなったりする数字が変わる。
この解釈でダークサイドを1とする。そしてライトサイドをその反対側の6とする。
数が少なくて他と色の違う1は、人数が少なく他の多くの人と哲学が違うシスだ。
数が多くて他と同じ色をしている6は、多くの人より力があり多くの人の善意を代表するジェダイだ。
20年ぶりに最初のノベライズを読んで、暗い側面という訳語に感動した。
言葉の解釈は人それぞれ。
訳語ひとつで大昔の映画の解釈が変わる、広がることがある。
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