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息苦しいって気軽に言ってないか

「本当の息苦しさも知らないくせに」

重度の身体障害を持つ作家市川沙央さんのデビュー小説の一節。
身体的な息苦しさに対応し続けなければ生きられない主人公が、世の中の人に宛てた言葉だ。僕たちは気楽に「息苦しい世の中になった」なんて言う。

言ってる当人は、本当に息苦しい人がいるということを予測も想像しないしできない。
この小説のタイトルは「ハンチバック」。
ハンチバックとは「背骨が弓のように大きく曲がっていること、またそうした人のこと」を言う。

そうした人の中には日常的に呼吸の補助が必要で、本当に息苦しい人がいる。
聴覚障がい者のためのマジック教室の依頼を受けた。
音声言語を使わずに観客にマジックの不思議に誘導する。

聴覚障がいの日常への想像は難しい。
そのかわりに、サイレントでマジックを演じることは想像できそうだ。
それを手掛かりに講座を組み立てている。

でも自分の想像力を過信してはいけない。


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