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凄さと不思議さは別もんだ 〜ルービックキューブのマジック〜

ルービックキューブを一瞬で揃えるマジックがある。
仕掛けを使ったものと、普通のルービックキューブを使ったもの、両方がある。
なんてことを本当は書いてはいけない。

昔からマジシャンは知っている。
カードマジックをする時に「普通のトランプです」と言って初めてはいけないと。
そのトランプに仕掛けがあってもなくても、「普通のトランプ」という単語は観客に「普通じゃないトランプ」の存在を思い浮かべさせる。

そんなことを言わなければ、観客はトランプ自体に仕掛けがあるかどうかなんて疑いもしなかったかもしれないのに。
この現象に対して上手い格言がある。
「追われてもいないのに逃げてはいけない」

さて、話をルービックキューブのマジックに戻す。僕は最近このマジックをできるようになった。
あえて禁忌を犯すけれども、僕ができるようになったのは仕掛けのないルービックキューブを使う方。
マジック初めてそろそろ40年になるし、ルービックキューブもやっていたことがあるのに、どうしてこれまでルービックキューブマジックをしなかったのか。

その理由は明白だ。僕が観客としてルービックキューブのマジックを見た時に、全く不思議に感じなかった上に、面白くなかったからだ。
自分が面白く感じなかった、自分が憧れなかったマジックには食指が動きにくい。
だって、ルービックキューブって揃うもんじゃん。それが早く揃ったからって何が面白いの?って。

マジックというのは予想外のこと、異次元の現象が起きることだと思っている。
手順沿って回せば誰でも揃えられるルービクキューブが一瞬で揃う。そこに予想外はない。
速度の差でしかなく、次元の違いとは雲泥の差だ。

ということで、自分のルービックキューブマジックの手順を組み立ててみた。
結局、自分が思うマジックではなくって、曲芸になった。凄技の披露である。
ただ、みている側が楽しめる手順にはマジックの魅せ方を活かしたつもり。

僕は目にも止まらぬ速度では揃えないし、揃えられない。観客の目に止まる速さで揃える。
めっちゃ早いのはスゲーかもしれないけれど、それは魔法ではないし不思議でもない。
魔法は目に見えなきゃね。と思っている。


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