シリーズ企画「広葉樹は雑木ではない」の12名の多彩な講師陣
4月11日から5月31日まで開催するセミナーシリーズ「広葉樹は雑木ではない」では、森づくりから、伐採、加工、流通、モノづくり、手工業、レジャー、ハンティング、教育に至るまで、第一線で活躍されている多彩な12名のゲスト講師を招きました。科学的な知見から経験論まで、実務・実用的な話から哲学・人生論まで、皆さんの意識の中に、多彩な未来の明かりを灯します。
講師の紹介をします。私が直接会ったことがあるのは3名のみで、残り9名の方は、FBや拙著がきっかけで、この2、3年の間につながった方々です。
横井秀一さん 岐阜県森林文化アカデミー特任教授 / 造林技術研究所 代表 / 飛騨市 広葉樹のまちづくり推進アドバーザー
日本では数少ない広葉樹造林学の研究者です。岐阜県職員として、森林研究所、森林文化アカデミーで働いてこられました。森林行政、研究会、林業実践教育会と幅広く活躍されてきた方です。2021年に退職後は、造林技術研究所を主宰 し、造林分野の技術指導・技術相談に勤しまれています。私は、自分がコーディネーターを務めた2007年のドイツ林業視察のときに、横井さんと知り合いしました。広葉樹の森づくりのことを深く話せる日本の研究者に出会えて、嬉しかったですし、その後も交流を続けさせていただいています。
第1回【広葉樹を利活用する上で知っておきたい広葉樹の生活・生態】
4月11日 17:00〜19:00 https://koyoju1.peatix.com/
第2回【広葉樹の材を得るための森づくり】
4月14日 17:00〜19:00 https://koyoju2.peatix.com/
中嶋潔さん
キノコアドバイザー・森林インストラクター
大谷大学文学部哲学科卒業後、長野県の標高3106mにある山小屋の小屋番、北海道の森林組合での造林作業員等を経て、現在はニセコのリゾート運営会社で自然ガイド業務に従事されています。学生の頃、ニーチェを学ばれた、思慮深い哲学者でもあります。2021年に出版した拙著『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』に素敵な書評をいただいたことが縁で繋がりました。本の中で使っているキノコの写真に関して「これは菌根菌ではないですよ」と指摘してくれた方でもあります。改訂版では、中嶋さんからいただいた「本物の菌根菌」の写真を掲載させていただく予定です。
第3回【キノコと樹木・林業の関わり】
4月19日 17:00〜19:00 https://koyoju3.peatix.com/
香山由人さん
株式会社山川草木 代表取締役 / 長野県指導林業士・林業技師(林業経営部門)
私は香山さんとは2008年に、大町で事業の案内をしていただいて以来、10年以上の付き合いです。香山さんも中嶋さん同様、森の哲学家。上智大学文学部哲学科を卒業されています。民間海外協力団体(NGO)アジア井戸ばた会で日本の古い井戸掘り技術「上総掘り」をフィリピンンに普及する活動にかかわり、その後、参議院議員堂本暁子事務所で地球環境問題などにとりくまれ、94年に長野県大町市(旧八坂村)に移住し、多様な森林づくりを目指す大町市の自営林家荒山林業で林業の基礎を学んだ後、2000年に仲間3人と山仕事創造舎を設立。素材生産事業を中心に長期受託による民有林の集約的経営管理を実践されてきました。並行して2013年㈱山川草木を設立し、森林林業コンサルタント、森林環境教育、木材製品開発などをてがけられています。現在、地元産木材による製品などを紹介する「木材の移動販売」を実施するなど、ユニークな活動を展開中。今回のセミナーでは、なぜ川上の「木こり」を香山さんが、川下の「材木屋」までやるようになったのか、長年の現場経験と思考に基づいて、林業の問題・課題、未来へ向けたソリューションを語っていただきます。
第4回【なぜ木こりが材木屋をやるのか?】
4月21日 17:00〜19:00 https://koyoju4.peatix.com/
岡田明子さん 飛騨産業(株) 代表取締役社長
岐阜県高山市の木製家具製作の老舗・飛騨産業(株)を2021年12月より若社長として牽引されています。2011年に入社され、2020年の創業100周年を機に、自社の方向性を定めたいという想いからブランディングプロジェクトを立ち上げ、企業理念の言語化・体系化を進められてきました。
「国産の広葉樹材も使って家具製作をしている会社の方を紹介して欲しい」という要望を、高山市の友人・長瀬土建の長瀬雅彦さんに出したところ、岡田さんを紹介いただきました。ミラノやケルンの家具の見本市にも参加されている国際的な老舗企業の、国産材を使うための革新的な製品開発、健全な森づくりへの関与など、興味深い話をしていただきます。
第5回【森と歩む家具製作】
4月25日 17:00〜19:00 https://koyoju5.peatix.com/
夏井辰徳さん (一社)九戸山族-夏井蔵 代表
音楽制作、映画制作を中心に、多岐に亘る約30数年の活動を経て、311震災直後、「真の復興も、我が国の諸問題も、本丸は山林にあり」と、真の山守りとして、地元の岩手県九戸市の広葉樹の森で、森づくり、素材生産、木材利用の活動をされています。
私が夏井さんと知り合ったきっかけは、九戸山族で一緒に活動されている鎌田さんから、拙著『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』に、自分達が考え、行っていることと繋がる部分が多く感銘できる、と真摯な感想をいただいたことです。九戸山族のyotubeビデオを紹介いただいたのですが、そこには「生き方」に繋がる、森づくりの哲学が、美しい映像と素朴で心に沁みる音楽で、語られていました。代表である夏井さんとは、オンラインで1時間ほど、お互いの考えや経験を交換し合いました。自然と共にある生き方から、そこから導き出される森づくりの具体的な施業方法、そして木材利用まで、夏井さんの深い話を聞くのが楽しみです。
第6回【「自然の理」を理解する心得 ―「自然の理」から導き出される死生観―】
5月9日 17:00〜19:00 https://koyoju6.peatix.com/
第7回【「自然の理」を理解する心得から導き出される具体的な施業方法】
5月11日 17:00〜19:00 https://koyoju7.peatix.com/
第8回【「自然の理」を理解する心得から導き出される木材利用】
5月13日 17:00〜19:00 https://koyoju8.peatix.com/
多田千尋さん
東京おもちゃ美術館館長 / NPO法人芸術と遊び創造協会理事長
乳幼児から高齢者までの遊び・芸術によるアクティビティケアの実践に取り組まれている方です。木育推進施設 「おもちゃ美術館」を全国に10館創設し、経済専門誌で「日本の社会起業家30人」の一人に選出されている方です。
拙著『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』の出版をきっかけに、岩手盛岡市の恩人に多田さんのことを紹介してもらい、繋がらせていただいています。
木育という活動から、日本の森を守り健全にすること、地域の文化・経済を活性化することを目指され、活動されている多田さんの話は、森林大国・日本に欠かせないものだと思います。
第9回【森林大国に相応しい 子どもの遊び環境を考える ~木育ミュージアムを目指す東京おもちゃ美術館の挑戦~】
5月16日 17:00〜19:00 https://koyoju9.peatix.com/
後藤めぐみさん
リバーカヤックのトレーナー
富士山麓の標高1000メートルの寒冷地、山梨県忍野村生まれ。針葉樹に囲まれて育ったそうです。24歳からリバーカヤックにはまり、全国各地の川を下り、1997年から東京都奥多摩(多摩川上流)で、リバーカヤックの講習や体験を開催されています。7年前から大地の再生講座と林業に出会い、2019年から森のお仕事株式会社と共にチェーンソー講習や林業体験イベントを企画開催されています。
後藤さんとは、FB繋がりです。拙著『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』にも丁寧なレビューをいただきました。
川と森がつながっていることを体感的に理解されている後藤さんに、自身の体験と学びに基づいて、川にとっての森の大切さ、特に広葉樹の大切さについて、語っていただきます。
第10回【川の上から考える、森のこと】
5月18日 17:00〜19:00 https://koyoju10.peatix.com/
伊藤史彦さん
ドイツで森林作業士の職業資格取得者
伊藤さんは、鳥取大学大学院農学研究科修了後、航空測量会社に入社し、 リモートセンシング技術を活用した森林解析業務に従事され、2016年3月に単身渡独。同年9月よりバーデン・ヴュルテンベルク州シュトゥットガルト市森林管理署にて森林作業士の職業養成カリキュラムで学び、2018年に修了試験に合格し、ドイツの森林作業士の職人資格を取得されています。その後、シュトゥットガルト市森林管理署で市有林の管理に従事し、現在は三井物産フォレスト株式会社に勤務し、森林管理業務に携わられています。
私はドイツで伊藤さんと直接会うことはできなかったのですが、私が2019年に東京で講演した際に、伊藤さんが聴講しに来てくれて、それ以来、交流を続けています。
シュツットガルトの森は広葉樹が多く、市の重要な財源で、都市のエアコン、空気清浄機でもあり、都市住民の貴重な憩いの場、環境教育の場でもあります。そのような多機能な広葉樹林で現場教育を受けた伊藤さんに、難易度の高い広葉樹伐採作業の重要なポイントについて語っていただきます。
第11回【~現場経験者が語る!~ ドイツの林業職業訓練と広葉樹伐採作業の実際】
5月23日 17:00〜19:00 https://koyoju11.peatix.com/
杉野賢治さん
タチキカラ・代表 (素材生産から製材、製炭まで)
名古屋生まれの杉野さんは、列車運行管理システムのSEの技術者として働いておられましたが、39歳の時に愛知県設楽町の「三河炭やき塾」へ通い、出会った斎藤和彦氏、杉浦銀治氏の指導を受け、42歳で会社を辞め、ガソリンスタンドのアルバイト、NPO職員などを経て、伐採・搬出・製材・製炭の個人事業主として2019年「タチキカラ 北三河」を立ち上げられます。
大学生の頃から漠然と、「頑固だが、楽天的な爺になりたい」と考え続け、それを実現するために「炭やき爺」になられたそうです。
杉野さんとは2年前からのFBつながりで、メッセンジャーで色々知見の交換をさせていただいています。拙著『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』には、杉野さんの地域製材業に関する印象深いコメントを引用させていただきました。
頑固で楽天的、でも繊細でセンチメンタルでもある杉野さんに、森から製材、そして炭焼きまで、話してもらいます。
第12回【木挽き(こびき)】
5月25日 17:00〜19:00 https://koyoju12.peatix.com/
第13回【炭焼き】
5月27日 17:00〜19:00 https://koyoju13.peatix.com/
田坂恵里子さん / 脇島里江さん
一般社団法人Japan Hunter Girls
猟友会の女性ハンターが集い構成された狩猟グループ「Japan Hunter Girls」。2020年9月2日に一般社団法人化され、 狩猟を通じてのSDGs、地域活性化、女性・若手ハンターの活躍の場を提供している、注目の団体です。田坂さん、脇島さんは、その中心メンバーで理事。狩猟は、森の天然更新にとって欠かせない業です。また、社会、自然保護、倫理の観点からの議論も盛んなエモーショナルなテーマでもあります。男中心の分野に、女性の方々が新しい風を吹き込まれていることをネットのニュースで知り、今年になってから私の方からコンタクトを取り、オンラインで日独の狩猟や女性と狩猟について情報交換させていただいています。
狩猟を通じた、健全な山づくり、生態系マネージメント、地域の食文化の創造など、実体験に基づいた、幅広く興味深い話をしていただきます。
第14回【女性ハンターの目から見た日本の森の恵み、問題・課題、生活文化】
5月31日 17:00〜19:00 https://koyoju14.peatix.com/
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