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自然の多様性を人間らしく抱きとめるからシンプルになる

自然は多様なで複合的に絡み合って生きてきる。人間もその一部。

しかし自然から分離独立した人間は、自然のなかのつながりや連関性は意識せず、自然を分解分離し、必要なものだけ搾取的に抜き取って、もしくは多様な自然を単純なものに改変することで、経済成長してきた。一方で、少数であるが、自然の多様性や複合性に敬意を払い、自然の許容範囲のなかで自然の恵みを活用し、自然と共に生産活動や創作活動をしている人たちもいる。

前者は視野の狭い唯物論と近代合理主義に基づいていて、人間力よりも機械や技術に価値をおく場合が多い。後者はホリスティックな思想にもとづいていて、理性と同様に感性も重視し、機械や技術はあくまで、大きな目標を達成するための手段として使い、「結びつき」や「意義」や「美しさ」といった機械やAIにはない人間らしさを求める。

前者と後者でつくられるものを比べると、逆説的な面白い現象に気づく。自然を分離分解し、単純化して利用する前者でつくられるものは、さまざまなパーツからなり、ごちゃごちゃしている場合が多い。自然の多様性を受け入れる後者でつくられるものは、シンプルな場合が多い。多様性をパーツごとに分解してものをつくるから、複雑になる。多様性を人間らしく抱きとめるからシンプルになる。

僕は自然が持つ多様性を抱きとめるホリスティックな森づくりを心から推奨し、実践サポートしてきたので、後者の創作や生産・製造をしている人たちに共感がもてるし、自ずとつながっていく。7月9日に北海道の砂川市にあるSHIROの「みんなの工場」で一緒に対談する建築士の佐藤欣裕さんと、コスメティックブランドSHIROの創設者である今井浩恵さんも、そのようにしてつながりました。

多様性を抱きとめるシンプルな「森づくり」「家づくり」「ものづくり」について、具体的な事例をもとに、専門的・実務的なものから、哲学や思想まで、歯に絹をきせずに、飾らずに、率直に誠実に話します。3人ともアドリブが得意なのでワクワクしますし、参加者の方々にとっても有用で楽しいイベントになると思っています。



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