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春の訪れ −復活と再生

欧州は今(4月中ば)、イースターです。クリスマスと共に大切な里帰りの期間。日本のお盆と正月に相当します。

イースターは復活祭。私たち家族が住むシュヴァルツヴァルトの麓の人口2万人の小都市ヴァルトキルヒ市を流れれるエルツ川に架かる歩道橋が「復活」しました。駅と中心街をつなぐ大切な橋です。1935年に建設された鋼鉄製で木の板が敷いてある橋は、ここ数年、老朽化が問題視されていて、2020年より定期的に検査が行われていましたが、2021年の春の検査で「危ない」と判断され、すぐに閉鎖、そしてに撤去され、新しい橋の計画が進みました。新しい橋は、木構造に。2021年の暮れに完成しました。この場所に最初に橋が架けられたのは、文献によると1895年で、その時は木造だったそうです。ほぼ1世紀の時を経て、木造橋が「復活」というわけです。

街の名前はヴァルトキルヒ(森の教会)なので、木が合っています。しかも今回の橋は、屋根付き。中世の頃からある木造橋のデザインです。これの長く荘厳なバージョンはスイスのルツェルンにあります。木も鉄も、日照りや雨風によって老朽化します。ベタベタ塗料を定期的に塗ってマテリアルを守るという方法と、このように屋根をつけて守るという方法があります。

後者の方が初期投資は大分高くつきます。でも濡れた木の上で足を滑らせて転ぶリスクは少ないでしょう。優秀なエンジニアや職人も、その腕前を披露することができました。構造設計は大型木構造の建設物に強いフライブルクの構造設計事務所が担当し、橋の建設は大型木造建築物を専門にするシュヴァルツヴァルト高地の工務店、基礎工事は地元ヴァルトキルヒの土建会社が請負いました。昔の木造床の鉄橋より美しいし、市民に末長く愛されるでしょう。職場や学校、自宅へ向かう市民、犬を連れて、乳母車を押して散歩する市民の気分をリラックスさせます。それら間接的な経済•社会効果はどれくらいあるでしょうか? 最近、一輪車にはまっている私の末娘は、春日和の夕方、その赤い愛車で快適に川越えしました。美はよりサステイナブル。

先週、仕事で訪れたケルンでも、ホームのシュヴァルツヴァルトでも、フライブルクでも、気まぐれな4月の天気を様子見しながら慎重に、新芽や花が芽吹き出しています。

昨日ガーデンセンターに行ったら、広い駐車場がほぼ満杯でした。花を咲かせ、なおかつ食べることもでき、冬の凍結にも強い多年草の苗数種類と洋梨の苗木を、娘と一緒に買ってきて、家の小さな庭に植えました。家の裏に広がる市有林(=市民の税金で所有・管理されている森)から少し拝借してきた落ち葉と腐葉土を土壌改良剤として混ぜ込みました。

イースター(復活祭)のテーマは「再生」です。自然は、環境の変化に賢く適応しながらも、毎年同じリズムで再生を繰り返しています。人間もサステイナブルな適応力を持ちながら、毎年繰り返しても、飽きずに安心感を得られるリズムを備えた生活文化を創造する力があると、希望を持って、春の訪れに感謝しています。


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