ラヴィット!出演者を独自の視点で寸評してみた(2) 〜火曜レギュラー編〜

・ビビる大木(ワタナベエンターテインメント)

 芸歴年齢ともにMC川島より上のベテラン芸人。さらに言えばこうした情報バラエティ番組の経験も随一だ。負担が大きい川島に安心して仕切ってもらうためには必要不可欠な存在。そうした番組のバランスを考えれば、大木さんをレギュラーに採用することは至極当然なこと。少なくとも僕はそう考える。
 歴史、野球(巨人ファン)、プロレス、音楽など、その趣味や知識を活かした話術はもちろん、芸人としての技量も申し分ない。とはいえ、このラヴィットでの立ち位置はどちらかと言えば少し控えめというか、やや自重気味という感じにも見える。積極的にツッコミやガヤを入れるというより、スタジオで起きる喧騒を大外から見守っているという印象だ。絡みに入れないのではなく、あえて入らない。そうした余裕さえ感じる。たまに演じるスベリキャラ的なモノも、言ってみれば番組としての形作りにも見える。自らがそうした役を演じることで、難しい朝の生放送を可能な限り盛り上げようとしてくれているわけだ。いわゆる実力不足でスベッていないところに、この人の懐の深さが見て取れる。
 MCと隔週レギュラーを除くと、本当に毎週火曜に出演するのは大木さんと若槻千夏さんの2人だけだ。この2人がいわば火曜日の顔。目立ちやすいのはよく喋る若槻さんだが、代役がいないのは実は大木さんのほうではないか。
 その落ち着いた佇まいに自信の程が伺える。大木さんはラヴィットを安定させる影の功労者。いなくなられては困る存在だと思う。

・若槻千夏(プラチナムプロダクション)

 アイドルとしてデビューしながら後にバラエティタレントになる人は昔もいまも多く存在する。そうしたなかで筆者の知る限りでは、若槻さんは初めてテレビで目にした時からいわゆるバラエティタレントだった。その最初のブレイク時期は2000年代半ば。俗に言うおバカ系のタレントとして多くのバラエティ番組で活躍していた印象が残る。その特徴を言えば、やや強気というか生意気というか、少なくとも真面目な優等生タイプではなかった。周りの空気を読んだ発言よりも、歯に衣着せぬ発言のほうが似合うタイプ。あえて強引に言えば現在のみちょぱに近い感じか。女性タレントではあるが、ある程度の面白さも期待される存在。若くして多くの芸人たちと絡みながら当時のバラエティ番組を席巻した姿が記憶に鮮明だ。
 その後詳しいことはわからないが、私生活(結婚や出産)や自ら設立したアパレルブランド関連の仕事など諸々の事情により、テレビでは目にしたりしなかったりという時期が長く続いた。その間4年ほど芸能活動を休んでいた時期もあったと聞く。だが少なくともここ数年は比較的露出が多く目に付くようになっていた。ラヴィットのレギュラー抜擢はそうしたなかでの出来事になる。
 現在39歳で2児の母。こうした情報番組には欠かせない、いわゆる「ママ枠」も兼ね備える若槻さんだが、かつて培ったバラエティタレントとしての腕前ももちろん健在だ。ママタレントというよりはむしろバラエティタレントとしての側面の方がこの番組においては目立っている。火曜日の盛り上げ役としてうまく効いているという感じだ。その活躍度を踏まえても、そう簡単にレギュラーを降板することはないと見る。

・ミキ 昴生 亜生 (吉本興業)

 お笑い業界内での評判はあまりよく知らないが、筆者の彼らに対する芸人としての評価は決してそれほど高くない。ひと言でいえばそうなる。アインシュタインとの隔週レギュラーだが、どちらのほうが番組内における活躍度が高いかといえば、軍配は断然、アインシュタインに上がる。
 ミキの2人が出演したラヴィット(火曜日)をこれまで何十回も観てきたつもりだが、出来映えがよかった放送を目にした記憶がほとんどない。川島がいるからどうにかなってはいるが、彼ら兄弟が行うボケの大抵は空回りする。なかには鑑賞に耐え難いレベルのモノさえある。正直なところ、芸人としてあるレベルに達していないコンビとは率直な印象だ。
 ミキはそれなりに知名度のあるコンビだが、正直、若さと勢いで売れたというか、かつてブレイクしたときの貯金で今を暮らしている芸人にも見える。兄弟という要素以外、これといった強力な武器も見当たらない。M-1で再び決勝に進出する姿も、今のところ想像することは難しいと言わざるを得ないのだ。
 はたしてミキはこの先もレギュラーの座を守り続けることはできるだろうか。最近では準レギュラーのインディアンスにさえ存在感で劣って見える。レギュラー陣の中でもいわゆる冠コーナーを持っていなのはこのミキくらいだ。それはいわばスタッフからの評価がそれほど高くないからだと考えるのが自然だ。このままでは近い将来、レギュラーの座を追われても決して不思議ではない。少なくとも僕にはそう見える。

・アインシュタイン 稲田直樹 河井ゆずる (吉本興業)

 ミキとの隔週レギュラーだが、この2組のうち、どちらがいたほうが番組が面白くなりそうかといえば、筆者は迷わずアインシュタインと答えるつもりだ。ボケの稲田とツッコミの河井。両者の役割がハッキリしているところもミキと違って見ていて安心する理由のひとつだが、個人的に外せないのは、“ゆず兄”こと、河井ゆずるの存在だ。
 アインシュタインと言えば“稲ちゃん”こと、見た目のインパクトが強烈な稲田を真っ先に想起する人は多いと思われる。だが彼らが全国的にブレイクしてから数年が経過したいま、どちらの活躍が目立つかと言えば、ツッコミ担当・河井のほうではないか。ひとりでダウンタウンDXやアメトーークに出演したりするなど、事務所の先輩である陣内智則などに通ずる、俗に言う「MC横芸人」としてのポジションを確立しつつある。そうした河井の裏回し的な持ち味は、このラヴィットでも存分に発揮されている。その存在感は相方の稲田をも上回っているとは率直な感想だ。ひな壇に置いておくには少々贅沢な存在と言ってもいい。優れたボケ役である稲田はもちろんのこと、コンビともども非常にうまく機能しているという感じだ。
 賞レースでの実績はイマイチながらも、芸人としての筋は上々。少なくともミキに比べればレギュラーの座は当面安泰のように見える。

・Snow Man    宮舘涼太 佐久間大介 (ジャニーズ事務所)

 お互いに交代で隔週で火曜日に出演中。彼らが属するSnow Manというグループ自体は音楽番組などでちらほら目にすることはあったが、その個人名や詳しい人となりを認識したのは何を隠そう、このラヴィットが初めてのことだった。
 Snow Manの9人というメンバー人数は、他の同系統のグループに比べれば少し多い。ゆえにメンバーの顔ぶれはバラエティに富んでいる。映画やドラマでの活躍が目立つ俳優系もいれば、バラエティ番組での出演が多いお笑い系もいる。Snow Manに特段詳しいというわけではないが、ラヴィットの正式なレギュラーとして選ばれるくらいならば、たぶんこの2人はどちらかと言えばバラエティ系なのだろう。
 特に“だて様”こと、宮舘涼太にはそうしたお笑い色を強く感じる。おっとりとした優雅な王子様風のキャラで放つその言動は、いわゆるボケ役として、こうしたバラエティ番組ではとりわけ効いているように見える。華のあるルックスはもちろんだが、お笑い的にもキチンと機能しているところがこの人の強みだと言えるだろう。アイドルが陥りがちな、俗に言う番組の「お飾り」になっていないところに高い価値を感じる。
 そんなだて様をボケ役とすれば、“さっくん”こと佐久間大介はどちらかと言えばツッコミ役だ。アイドルの割にと言えば少し失礼だが、時折見せるそのツッコミはあっさりしているというか、意外と悪くない。だて様を優雅な王子様と言うならば、こちらは笑顔が似合う活発な王子様。よく笑う、いわゆる笑い上戸という感じだが、こうした特徴もまたバラエティ番組では大きな武器の一つになる。木曜レギュラーのギャル曽根さんにも言えることなのだが、よく笑う人、笑顔が似合う人は見ていて気持ちがいい。視聴する側もなんとなく幸せな気分になりやすい。朝ならばなおさらに、だ。
 Snow Manメンバー内における両者の立ち位置はあまりよく知らないが、少なくともそれほど低いものではないのではないか。このラヴィットへの出演が、両者の知名度及び好感度アップに大きく関わっている。アイドルとしてはもちろん、お笑い的にも及第点以上の活躍を見せているこの2人がそう簡単にレギュラーから外されるとは思えない。両者とも現在30歳だが、少なくとも今後もまだまだ活躍は期待できると考える。

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