“馬鹿”になりきれるのはどのグループか。キングオブコント2022ファイナリスト10組を寸評する

 先日、決勝の舞台に立つファイナリスト10組が発表されたキングオブコント2022。その翌日には決勝戦の日程(10月8日)、さらにその翌日には審査員も発表されるなど、決勝が近づく足音を感じさせるニュースが立て続けに舞い込んできた。

 今回のキングオブコント。決勝戦2週間前の現時点における世間的な盛り上がりはいまいちよくわからないが、少なくとも筆者個人においては、決勝への期待値は間違いなく過去一番だと断言できる。その理由は簡単だ。9月3日、4日の両日に配信された(実際に行われたのは9月1日、2日)、その準決勝の戦いを見てしまったからに他ならない。もし準決勝の戦いを見ていなければ、いまの段階でこれほどワクワクした気分でいることはなかっただろう。

 今回勝ち上がったファイナリスト10組の顔ぶれについて言えば、概ね予想通りというか、比較的順当だったとはこちらの見解になる。「これは行ったかな」と思わせるネタを見せたグループは、漏れなく確実に残っている。決勝でも弾けそうな匂いのするグループ、優勝が狙えそうなグループは、少なくとも6〜7組はいる。昨年のファイナリスト10組に比べると、その知名度では劣るかもしれないが、ネタでは決して負けていないとは、ファイナリスト発表直後に抱いた率直な感想だ。

 準決勝でファイナリストたちのネタを含む、多くのネタを見て思ったのは、その色とりどりの“馬鹿馬鹿しさ”だ。これだけの人たちが面白いこと、言い換えれば、馬鹿馬鹿しいことを考えていて、それを見る人に伝えようとしている。これは他のお笑い賞レース、もっと言えば、ほぼ全てのお笑い芸人たちにも当てはまることだが、彼らは皆、自分がどれくらい馬鹿なことを表現できるかを競っているわけだ。最も面白いことを表現できる、お笑い馬鹿は誰か。そのことを職業とし、そしてそうした人たちのなかの日本一を決めるのが、M-1グランプリであり、R-1グランプリであり、キングオブコントであるというわけだ。

 面白いというより、馬鹿馬鹿しいという言い回しの方がしっくりくる。これが今回僕が初めてキングオブコントの準決勝を見て抱いた一番の感想になる。

 “馬鹿”になりきれるのはいったいどのグループか。今回のファイナリスト10組について、大会の展望を含め、それぞれの印象や現在の状況などを筆者個人の主観で述べてみたい。

○グループ名(所属事務所)[決勝出場回数]

・いぬ(吉本興業 東京)[初出場]

 芸歴は13年目。同期はニューヨーク、鬼越トマホーク、横澤夏子、おかずクラブなど。売れっ子を多数輩出している東京NSC15期出身の隠れた実力派コンビだ。最近では同期のニューヨーク紹介による「ラヴィット!」(TBS)での体を張ったネタが記憶に新しいが、それよりもこちらの印象に強く残っているのが、「水曜日のダウンタウン」(TBS)での『30-1グランプリ』という企画での活躍ぶりだ。そこで彼らは30秒のショートネタをこれまでいくつか見せているが、そのいずれもがセンスを感じさせる面白いネタだった。そこで松本人志さんやバカリズムなどから高く評価されていた姿がこちらには印象深い。準決勝2日目に披露したネタはややいまひとつだったが、1日目のネタのインパクトは十分。これを決勝の1本目に持っていけば、大会はそれなりに面白くなると見る。こうした大舞台に立つのは今回がおそらく初めてのはず。優勝は難しそうだが、爪痕を残す可能性は高い。今回の決勝進出を機に、その露出がもっと増えることを期待したい。


・かが屋(マセキ芸能社)[3年ぶり2回目]

 準決勝1日目。3組目という早い出番に登場したかが屋はそこで、大会に火をつけるかのような爆発を起こした。1日目に限れば、おそらく全体の1位か2位の出来だったと見る。そして2日目のネタも上々。彼らの決勝進出を予想するのはとりわけ簡単だった。だが、すでにある程度名前が売れているかが屋にとって、この決勝進出はあくまでも通過点に過ぎない。問題は決勝での戦いだ。前回の決勝戦出場は2019年。すでにその当時から前評判の高かったかが屋だったが、初めて出場した決勝でその魅力が全開になったとは正直言い難い(決勝6位)。3年前は消化不良に終わった感じだったが、おそらく今回はその心配はないだろう。少なくとも前回以上の成績を残すと見るが、一方で優勝しそうかといえば、こちらも簡単に頷くことはできない。彼らに漂うムードというか、ある種のこだわりがありそうなそのスマートさが、こうした賞レースの場合、どちらかと言えば足枷になりやすい気がするのだ。いい意味で本当の馬鹿になりきれないというか、思い切った力技でやってくるライバルたちに競り負ける姿の方が、あえて言えば想像しやすい。前回彼らが出場した2019年、どぶろっくが優勝した大会がまさにそんな感じだった。しかし繰り返すが、今回のかが屋のネタは悪くない。1日目で爆発したあのネタを、はたして決勝のどちらに持ってくるのか。個人的には決勝のトップバッターに彼らを登場させれば面白くなると思っている。そこで大きな笑いが起これば、大会の盛り上がりは必至。エンタメ性やレベルという点でも、前回大会を上回る可能性が高くなる。彼らがどこで出てくるか。その出番順が勝敗を左右すると見る。


・クロコップ(ケイダッシュステージ)[初出場]

 準決勝を有料配信で視聴した筆者にとって、このコンビの決勝進出には正直驚いた。というのも、彼らのネタを配信で目にすることができたのは、2日目のネタの1本のみ。1日目のネタは諸事情なのか、配信リストからは外れていたからだ。さらに加えて言えば、その唯一目にすることができた2日目に披露したネタが、個人的にはあまり面白いものには見えなかった。ゆえにその決勝進出は全くの予想外。1日目に披露したネタが相当に面白いものだったと想像するしかないが、彼らの決勝進出そのものは、ある意味では快挙だと言える。その理由は所属事務所にあり。ケイダッシュステージ所属の芸人がキングオブコントの決勝に進出したのは、過去15大会で今回が初。過去にM-1決勝に出場した芸人もオードリーとトム・ブラウンくらいに限られるように、比較的マイナーな事務所からこうした大きな賞レースのファイナリストになることは、それだけで大きな価値が発生することになる。そこでそれなりの好成績やインパクトを残せば、その株はさらに一気に上昇することになる。オードリー、トム・ブラウンがその良い例だ。こんなことを言うのは申し訳ないが、このクロコップのネタをキチンと見たのは、筆者は今回が初めてだった。その情報はほぼゼロに近い。間違いなく今大会1番のダークホース。配信では拝めなかった準決勝1日目のネタを、決勝の舞台で是非とも見てみたい。


・コットン(吉本興業 東京)[初出場]

 芸歴は11年目。同期は空気階段、オズワルド、蛙亭などだが、何年か前までは、そんな先述の売れっ子同期たちよりもコットンの方が、その活躍度や期待値は大きかったと筆者は記憶する。彼らがコットンではなく、まだラフレクラン(2021年4月1日コットンに改名)というコンビ名だった頃の話だ。だが、大きな賞レースではなかなか結果は出ないまま、気がつけば同期たちに大きな差をつけられることになった。今回の決勝進出は、そんなブレイク一歩前の彼らにとってはまさに千載一遇のチャンスになる。準決勝で見せたネタは2本とも上々。わかりやすさに加え、センスも感じさせる面白いネタを2本揃えてきた今回は、まさに文句なしの決勝進出と言えた。ある程度運に恵まれれば、優勝も十分に狙えると見る。個人的に興味深いのは、元地方局のアナウンサーという珍しい経歴を持つ、ネタ作成者の西村真二の方になる。芸人として高い野心を持つ彼が、この大舞台でどんな姿を見せてくれるのか。そんな西村と(テレビやラジオでこれまで何度か見せている)オードリー・若林正恭による面白い絡みを、大会後にまた見てみたい。


・最高の人間(プロダクション人力舎)[初出場]

 今回のファイナリスト10組中、その1番の注目はどのグループかと言えば、おそらくこの最高の人間の2人だろう。前回大会から出場が認められたいわゆる“即席ユニット”としては、大会史上初の決勝進出。これだけでも十分快挙と言えるが、この2人に関して言えば、賞賛はこれだけには止まらない。メンバーの一人、女性ピン芸人の吉住は直近2大会のR-1グランプリファイナリスト、なおかつ2020年のTHE W 王者だ。今回の決勝進出により異なる3つのお笑い賞レースで決勝に進出する、いわゆるトリプルファイナリストを達成(R-1、THE W、キングオブコントでの達成は史上初)。さらには、あいなぷぅ(パーパー)、アンゴラ村長(にゃんこスター)、イワクラ(蛙亭)に次ぐ、大会史上4人目の女性芸人ファイナリストというおまけまでついている。今回の決勝進出により、芸人としての市場価値、及びそのカリスマ性はまた一段と上昇したと見る。そしてもう一人、岡野陽一もまた珍しい記録を作ることになった。最近では持ち前の話術を活かしたエピソードトークやそのキャラクターを武器にピン芸人として活躍中だが、彼はかつて「巨匠」というコンビでキングオブコントの決勝に2度(2014、2015年)も進出したことがある、お笑い界では名の通ったコント師だ。コンビ解散後はピン芸人として活動しているが、それでもR-1の決勝に進出するなど、ネタに関してはこの世界では一目置かれている存在でもある。そんな実力者2人によるユニットは、お笑いファンの心を擽る、まさに期待度の高いグループ。今回の準決勝でも、その纏う雰囲気は他の組とは大きく違っていた。両者ともにピン芸人としてのキャラが浸透しているため、ネタがスムーズに入ってくるのだ。だからウケる。その役柄を素直に受け入れることができる。準決勝で見せたネタは2本ともいい意味で非常に馬鹿馬鹿しいネタだ。もう少し詳しく言えば、両者のキャラを活かしたややサイコパスなネタ。だが、それでも面白い。その決勝進出には何の文句もない。ネタの内容的に優勝は少し難しい気がするが、彼らの存在そのものが大会の盛り上がりに一役買うと見てまず間違いない。できれば準決勝2日目に披露したネタを決勝の舞台で拝みたい。同じ事務所の先輩・飯塚悟志(東京03)がどんな審査をするかも楽しみだ。


・ニッポンの社長(吉本興業 大阪)[3年連続3回目]

 今回唯一の前回大会からの連続ファイナリスト。しかも3大会連続だ。だがその割にと言うか、ニッポンの社長の全国的な評価はあまり高そうには見えてこない。たとえば今回は落選した蛙亭やミキの方が、その知名度や評価はニッポンの社長よりも高そうに見える。大阪にいることがその全国評価が高まらない大きな要因のひとつになるが、それはともかく、少なくとも筆者は前回と同様、今回も彼らを優勝候補の筆頭だと見ている。その理由はわかりやすい。ニッポンの社長が準決勝2日目に披露したネタが、今回筆者が準決勝で目にした2日間で最も面白いネタだったからだ。このネタが決勝で失敗することはおそらくない。老若男女に伝わりやすい、最高に面白いネタ。まさに優勝の2文字が見えてきそうなネタとも言えたが、不安要素もけっしてないわけではない。問題は1本目。準決勝1日目に見せたネタは、その2日目とはかなりテイストが異なるネタ、人によっては評価が分かれそうなものに僕は見えた。決してつまらなかったわけではないが、このネタで優勝が狙えそうかと言えば、答えに詰まる。また、出番順も少し心配だ。過去2回のニッポンの社長の出番は8番(2020年)と5番(2021年)。確率的に次は早めの可能性は高い。優勝を狙うニッポンの社長にとって、理想的な順番は6〜9番だ。1〜3番だと優勝は厳しくなる。彼らがどこで出てくるかによって、大会の流れは大きく変わりそうな気がするのだ。だが繰り返すが、こちらの評価が相当高いことに変わりはない。少々大袈裟に言えば、ネタに関してはかまいたちよりも面白いんじゃないかとは個人的な意見になる。3度目の正直に期待したい。


・ネルソンズ(吉本興業 東京)[3年ぶり2回目]

 決勝進出は今回で2回目。初の決勝進出は2019年。この時はまだ新参者、知名度の低いダークホース的な存在だったが、今回は違う。この3年で彼らの知名度及び活躍度は確実に上がっている。トリオのエースでもある和田まんじゅうのキャラクターはお茶の間にも広く浸透した状態にある。つまり今回はチャンス、と言いたいところだが、準決勝を見たこちらの期待は正直それほど高くはない。優勝候補に押されてもおかしくはない存在だが、その準決勝の戦いぶりは、率直に言えばイマイチ物足りなかった。2日目のネタはまずまずだったが、1日目のネタはあまりよくなかった。個人的には準決勝でのネルソンズに優勝の匂いまでは特段感じなかった。だがそれでも決勝では何が起こるかわからない。運良く3位辺りに食い込み、もうワンランクブレイクする可能性は高い。キャリア的にもベテランの域に入りつつあるため、脂の乗ったいまがまさに優勝へのラストチャンスか。ライバルでもあるジェラードン不在の好機を活かすことはできるのか、注目だ。


・ビスケットブラザーズ(吉本興業 大阪)[3年ぶり2回目]

 吉本興業(大阪)に所属する2011年結成の12年目。同期は霜降り明星、コロコロチキチキペッパーズ、ZAZY、男性ブランコ等々。言わずと知れた売れっ子多数の黄金世代のその一組。決勝進出は今回で2回目ながら、その全国的な知名度は限りなく低いと言っていいだろう。初出場だった2019年の決勝では6位。もちろんこの結果にもよるが、この2019年大会で話題をさらったのは、優勝したどぶろっく一組にほぼ限られる。それはイコールその他のファイナリストたちの印象が薄い理由になる。ビスケットブラザーズも例外ではない。見た感じキャラクターは濃いのだが、イマイチ印象には残りにくいのだ。その理由は両者のキャラクターにある。大雑把に言えば、2人ともパッと見た感じガタイのありそうな、いわゆるポッチャリタイプ。早い話が似たもの同士だ。両者ともにキャラが被る。そのために、なんとなくネタがワンパターンというか一本調子に見えてしまうのだ。空気階段やニッポンの社長のような両者のキャラが異なるコンビの方が、ネタに深みや彩りが生まれやすい。だが、そうした要素がビスケットブラザーズにはあまりない。もちろんそれが全てではないが、それはともかく、今回準決勝で見せたネタは僕的にはあまり面白いものには見えなかった。準決勝を視聴した直後に筆者が予想したファイナリストの中に彼らは入ってはいなかった。その決勝進出は個人的にはサプライズに相当した。個人的には下位候補だと予想する。


・や団(SMA)[初出場]

 2007年結成、SMA(ソニー)所属のお笑いトリオ。メンバー3人の平均年齢は約40歳。これは今大会の最年長グループになる。いわゆるベテランというわけだが、その認知度は限りなく低い。「や団」と言われて、その個人名や特徴などをサラッと答えることができる人は、おそらく相当なお笑い好きに限られると言ってもいいだろう。この「や団」と「クロコップ」の2組が、おそらく知名度的には最も低い、早い話が今大会のダークホースになる。SMA所属とあってか、バイきんぐ・西村瑞樹が仕掛けるドッキリのターゲットとして「水曜日のダウンタウン」でこれまで何度か見たことがあるが(トリオの1人・本間キッドのみ)、何を隠そう、個人的にはつい最近、彼らの名前を耳にしたばかりだった。その情報源とはズバリ『アメトーーク! CLUB』(人気バラエティ番組「アメトーーク」の公式ファンクラブ&動画配信サービス)。そこでつい先日配信された「地上波ではできないプレゼン大会」という企画で、ハリウッドザコシショウがプレゼンした「売れる率0% 手詰まり芸人」の1組として、このや団が紹介されていたのだ。メンバーの平均年齢が40歳を超えた燻っているトリオが今後売れるわけがない。同じ事務所の先輩・ザコシショウがそう断言した1週間後に、や団は今回のキングオブコント決勝進出を決めた。僕はもちろんだが、事務所の先輩ザコシショウはおそらくそれ以上の驚きだろう。「売れる率0%」と紹介したトリオが、その直後にブレイクする最大のチャンスを掴むことになろうとは。SMAの芸人がキングオブコントの決勝に進出したのは2018年のロビンフット、だーりんず以来。そんなSMA芸人の最高成績は、言わずと知れた2012年バイきんぐの優勝だ。や団が今回優勝できそうかと言われれば難しいと答えるが、それでも可能性は10%程はある。なにより彼らが準決勝1日目に披露したネタは滅茶苦茶面白かった。1日目に見たネタの中では個人的には1,2を争う上等なものだったと思っている。1日目のネタのみで審査を行えば、彼らの決勝進出に驚きは全くない。当然の結果に見えるが、2日目のネタは、そんな1日目に比べると大きく落ちた。1日目に得た貯金で決勝進出を決めたとは筆者の率直な印象になる。はたして決勝の1本目に見せるのはどちらのネタか。1日目のネタであれば、マックス3位通過もあり得ると見る。それで爪痕を残すことこそ、いまだ無名の彼らにとっては一番重要なことではないか。変に気負う必要はない。思いっきり行け。審査員のバイきんぐ・小峠英二(SMA所属)も、たぶん筆者と似たような思いではないだろうか。


・ロングコートダディ(吉本興業 大阪)[2年ぶり2回目]

 2度目の決勝進出。初の決勝進出は2年前の2020年で、結果は10組中7位。決してつまらなかったわけではないが、ロングコートダディの魅力が全開になったとは言えない、いわゆる消化不良に終わった感じだった。だが、今回はたぶんそうはならないだろう。少なくとも彼らには良い風が吹いていると筆者は見ている。2年前よりネタの質がパワーアップしていることはもちろんだが、かつてより知名度が上がっていることがやはり一番の理由になる。記憶に新しいところで言えば、昨年のM-1グランプリ決勝だ。結果は惜しくも4位。最終決戦にこそ進めなかったが、ロングコートダディのネタは決して悪くなかった。今後に期待が持てそうな、良い散り方を彼らはした。大阪に拠点を置いているため全国的な露出がそれまであまり多くなかったが、昨年末のM-1以降、その露出は少なからず増えている。M-1からの連続ファイナリストは、まさにその実力の証と言えるだろう。さらに異なる角度からの話をすれば、同じ大阪吉本に所属するニッポンの社長との争いにも個人的には注目したくなる。ともに漫才とコントの二刀流。賞レースでの実績もほぼ互角だ。芸人としての現在の立ち位置も同様。ニッポンの社長とロングコートダディ。先にスターになるのははたしてどちらか。準決勝で見せた2ネタのうち、筆者が見たいのは1日目の方になる。これを1本目に出せば上位が狙えると見るが、問題は2本目だ。このコンビもニッポンの社長と同じく、ボケとツッコミは明確には定まっていない。準決勝で披露した2つのネタでも、役割はそれぞれ異なっていた。ボケとツッコミが入れ替わるこのスタイルが、果たして決勝でうまくハマるか。優勝を狙っていそうなロングコートダディにとって、それが唯一の不安要素だと筆者は見る。


第1グループ(優勝候補)=ニッポンの社長、かが屋、コットン、最高の人間、ロングコートダディ

第2グループ=ネルソンズ、いぬ、ビスケットブラザーズ

第3グループ(ダークホース)=クロコップ、や団

 準決勝におけるネタの印象に基づけば、個人的にはファイナリスト10組を上記のように分類する。

 スターはいないが粒ぞろい。これが今回のファイナリストを見て思う一番の感想になる。

 これは賞レースの決勝直前に筆者が毎度述べていることだが、お笑い賞レースは常に今が一番面白い。現在こそが最高レベルにある。今大会も同様。期待値は滅茶苦茶高い。馬鹿になりきれるのははたして誰か。

 唯一、これだけは起きてほしくないことを言えば、決勝で欠場者が出てしまうことだけだ。ファイナリスト、審査員、そして司会者。彼らが無事、決勝の舞台に顔を揃えることを祈りたい。

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