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どうしたら、ウチの会社で働いてもらえるのか?パートさんと話して感じたこと

どうしたら、ウチの会社で働いてもらえるんだろう?

そう思っている中小企業経営者の方って、多いですよね。
私も、父の会社を継ぐことになったので、このことで、よく悩みます。

なので、それとなく、ウチの会社で働いてくださってる人に、いろいろ聞いてみたりするわけです。その中から、ヒントになったエピソードを、いくつか書いてみます。

1つ目のエピソードは、帰り支度をされている30代女性のパートさん(以下、A子さん)との会話です。

私:「お疲れ様です!たしか6月末で産休に入られるので、あと少しですよね?」
A子さん:「はい。」
私:「もし、ウチの働くのが嫌じゃなければ、子供さんが保育園に預けれたら戻ってきてくれませんか?」
A子さん:「実は、奥さん(私の母親)には、出産後、復職したい旨を伝えてるんです。」
私:「えっ、嘘!ホントですか!」

(条件反射的に歓喜の声を上げてしまっている私がいた。)

私:「あと少しですけど、元気な赤ちゃん産んでまた帰ってきてくださいね!同じ世代の方って少ないので、嬉しいです!」

A子さんはマスク姿だったので、表情全体を見ることはできなかったが、私との会話の最中、目元が幾分か和らいでいる印象を受けた。恐らく、戻って来てくれることが嬉しい!と条件反射的だが出てしまった言葉が、A子さんにも嬉しかったのかな、と勝手に想像してしまい、自分も思わずニンマリしてしまった。

最後にA子さんは、「来年4月なので、まだ当分先ですけど…でも、よろしくお願いします!」と制服が出産のためだろうか、若干窮屈そうに見えたが、丁寧に会釈をしてくれ、駐車場に向かう後姿は何とも言えない感情を覚えた。

2つ目のエピソードは、ここ1年近く働いてくださっている40代半ばのパートさんの紹介で入社されたお友達のB子さんとの会話です。

私:「〇〇さんの紹介で入られたんですよね?どんな風に紹介されたんですか?」 
B子さん:「融通が利くので、おススメだよ!」と声を掛けられたんです。」
私:「そうなんですね。確かに、ウチは家族経営だからだと思いますが、ちょっと自由過ぎるというか、緩すぎというか…。実際にどうですか?」
B子さん:「今のところ、休みたい日には休めるし、早く帰りたい日にも帰れるので助かってますよ。」

確かに、ウチの休み希望の申請は単純な仕組みだ。縦軸に自分の名前、横軸がカレンダーになっており、休み希望日に①「休(1日休)」②「◤(午前休)」➂「◢(午後休)」を記入して、担当リーダーへ報告するだけだ。一般的なカイシャでは、上長への承認プロセス等々あるだろうが。ウチにはそんな御大層な仕組みは存在しない。

私:「そうですか。でも、なんで融通利くといいですか?ウチって時給も安いのに・・・」
B子さん「親の介護があるんですよ。自分の子供たちは働き始めたので、嬉しいんですけど...病院への送り迎えとか色々あって、だから、ある程度の融通が利かないと親の面倒が見れないんですよ。」
私:「そうなんですね。大変ですね。」

ニュースや新聞で「高齢化社会」、「介護問題」、「老老介護」等々の社会問題を見聞きすることが多々あるが、実際にウチの会社で働いてくださっている方には、そういう問題と日々リアルに向き合って過ごされているんだな、と現在社会の縮図のような出来事がこんなド田舎の家族経営の会社でも起こっているんだなと思うと、何と言葉にしてよいのか、複雑な感情を抱いてしまった。

さて、最初の質問に戻ろう。

「どうしたら、ウチの会社で働いてもらえるのか?」

2つのエピソードから、「この会社、自由度高くていい会社だよ!」とか、「融通利くよ!」みたいな口コミでの求人効果って求人コストもかからないし最高だな!と感じた。だって、毎月10万円とは言わないけど、ソコソコの求人広告費を費やしても、採用数ゼロ!って月もあるんですもの。

時間給が安くても、それとトレードオフできるような会社の売りを作れれば、地方では人が見つからない、労働者不足だぁ!と巷で連呼されている問題は幾分解消できるのではないか。

無論、労働力不足を解消させるだけで、地方の中小企業が生き残れるほど、会社経営は甘いものではなく(まだ、経営者でもない私が言っても説得力がないが…)、少なくとも、人手不足や後継者不足が原因で、会社を閉めざるを得ない時代に突入する中で、雇用の自由度が高く、自分らしく働ける環境を提供することが、地方企業が生き残っていくためには必要なことなんじゃないか、そんな風に考えさせられた。

最後までお読み頂き、有難うございました。

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