見出し画像

経営とは自己との闘いである

こんにちは、今日もnoteをしたためます。
駄文にお付き合いいただければと思います。

長文になりますので、目次からご興味を引いたところだけお読みいただいても喜びます(^^)

クーデターっていったい?

私、「クーデターで経営権を剥奪された男」なんて言ってますが、読んでその名の通りの事態の中心に居て、見事に会社を去ることになったわけですが、実はこれ。オーナー社長ではなく、外部から取締役に就任した人で会社の支配権のない人(株式支配率の低い人)要するに雇われ社長の方々には実際に起こりうることなんですね。恥ずかしながら私の経験を書き出してみようと思います。

事の発端は「議事録」の未整備

会社法では「株主総会議事録」や「取締役会議事録」は作成して10年間本社に保存しなければならないという規定があります。(条文番号は調べていません)
そもそもの発端はこれ。私が失念していたというよりも「分かっていたけど面倒くさい。誰も問題視なんてしないだろう」という自分への甘えが問題でした。
ある日、出張から帰ると社内の空気が異常。何があったのか社員に聞いても返答は別に何もないですという返事で、明らかに私に対しての敵対心がむき出しでした。

そんな時にオーナーから連絡が入り、私に不正会計の疑いがある。背任行為にも該当しそうだから調査を行う。という事でした。

まさに寝耳に水。何が起こったのか全く分からない状態で、謹慎を指示されました。

納得できないので食い下がると、議事録の未整備は問題だという事。サッパリ分かりませんでしたが、とりあえず謹慎を受け入れました。

設備の更新で癒着の疑い…

昨年、ある設備を更新しました。
知人がその設備をメインに工事する会社を経営していたので、彼に見積もりを出してもらいましたが、知人価格もあって相場の7割くらいの底値で見積もりを出してくれました。私もラッキーなんて思い、当時会社に顔を出すことはほとんどなかったオーナーに電話連絡し詳細を報告。その電話で口頭で承諾をもらい、発注・設備更新・支払という流れになりました。

今になってそれを突然引っ張り出して「承諾した覚えはない、証拠を見せてみろ」「相当価格の設備に対して取った見積もりが1社だけしかも知人の会社とは不透明」「不当に高い見積もりを提示して実は個人的にマージンをもらっているんだろう」と、まぁこんな感じです。

当社の株主はオーナーと私の二人のみ。取締役会=株主総会みたいな感じになりますね。確かにオーナーは「口頭で」承諾してくれましたが、実際証拠となる文書や録音したものなどは残っていなく、証拠の提示を求められても言った言わないの水掛け論にしかなりません。

出張で私が不在の間に会社に来て色々と調べたみたいですね。その際にうちの社員たちにも「あいつは不当な利益を個人的に受けている」みたいなことを言っていたようで、あの空気感になっていた模様です。。。

調査の結果はシロ。でも議事録未整備は事実

色々と調査したみたいで、合い見積もりなしの一社随意契約はいかがなものかと叱責されましたが、更新価格の相場や私への個人的なリベートなどそういったものはありませんでしたという結論に至った訳です。
そりゃそうだ、ないんだもん。やるならもっと賢くやりますってw

でもまぁ、「議事録」の未整備は事実なんですね。これは仕方がない。完全に自分への甘えですよね。もっとしっかりとした倫理観と危機感をもって仕事をしていればこんなことにはならなかったのですよ。身の潔白を証明するためには本当に必要だな。そりゃ会社法で整備しなさいって書いてありますよね。

個人的に私にいい感情を持っていなかった

これはあくまでも私の主観で、妄想の域を脱しないのですが、こうなる前にちょっとひと悶着がありました。

①役員借入金の返済要求
私が代表者になるときに出した条件が、オーナーから借入を行う事。人に会社を丸投げして、立て直しを期待されたって私にも生活もありますし、そのくらいできないならお断りします。という経緯がありました。就任してから約8年、金融機関からの借入はリスケを実施していましたので、金融債務を返済する前に役員借入金を返済するのは筋が違うという事で、数年前から返済要求をされていましたが、頑なにお断りし続けていました。

②役員報酬の要求
これも①とほぼ同じ内容かもしれませんが、オーナーは赤字経営だった訳ですが、私に代替わりしてからちょっと時間はかかりましたが、会社は経常的に黒字体質になり、決算報告の際も納税額がこの位でといった前向きな報告ができていました。会社が黒字といっても資金繰りはそんなに良好ではありませんが、数字を読めないオーナーは「黒字なんだから私にも報酬を払え」といった感じ。金額にもよるのですが、そこは気持ちを察して欲しかった。今までたくさん我慢させてきた社員たちにまず還元したいという事を伝えあと数年待ってほしいという事でこちらもお断りしてきた経緯がありました。

ほかにも細かい事は沢山ありますが、私はオーナーから見ると目の上のたんこぶだった訳です。私が社長をやっている限り同じ轍は踏みたくないという思いから、オーナーとはある程度の距離を保ちできるだけ私の政治に干渉してもらいたくなかったのです。

原石は磨かせて光ったら奪う

赤字体質の会社を引き継ぎ、元々の事業形態を見直し、止めるべきは止めるといった、ドラスティックな構造改革を進めてきました。金融機関とのリスケ交渉も然り。利益率の大幅な改善や新規事業の際には、できるだけお金を掛けない方法を考えて断行してきました。

気が付けば会社は黒字化。金融機関への返済額も毎年増額し、現在は当初の約定よりも多い金額の返済をしています。銀行担当者の話だけなので本当かどうかは分りかねますが、行内での格付けも上がっているとのこと。まさに今年が正念場で完全復活まであと一歩というタイミングです。

しかし、オーナーにはご理解いただけなかった。彼にとっては我慢の限界だったみたいです。
自分がやってて真っ赤な状態で、試しに他人に預けて磨かせてみたら光りだした。光ったのなら自分の持ち物として懐に入れたくなるのは確かに分かります。しかも黒字化できるという事は運営の大枠は間違ってなかったという事ですからね。

しかし、今の社長(私)は言うことを聞かないし、自分の思い通りにはならない。それじゃ出て行ってもらいましょうか。ということだと思っています。

新しいポストを用意するから

私は自分で言うのもなんですが、「お人好し」なんです。小さいことを含めると結構騙されるし、まず他人のことは信用する事から入る完全「性善説」な人間ですから、このような事態になるまでその足音にすら気付きませんでした。

社内の役付き社員たちが中心となって開催された査問委員会ではこんな提案がありました。

「今までの実績は認める。なので役員は降りてもらうが、新しくポストを作るからそこで働け。会社のために貢献しろ」という内容でした。

正直考えました。この会社は好きだし、復活させた自負もある。まだまだ志半ばで金融機関とのやり取りも今年が正念場。でも、無理でした。私の心はポッキリ折れてしまっていました。
提案は固辞。もちろん生活もあるし、再就職のことを考えるとありがたい提案ではありましたが、実際そのポストで働くという事は、窓際の閑職でなんの権限もなく、運営側が困ったときだけそのために働くという形。そんなの私がやりたい仕事ではありませんでした。言葉悪く言うと単なる飼い殺しの奴隷みたいなものですから…

そんなこんなで退任します

さすがに会社そのものを辞めると思っていなかったみたいでしつこい引き留めには合いましたが、ここは自分の中では曲げてはいけないと思い固辞を貫きました。
ちょうど今年登記上の役員改選期という事もあり、対外的な面でもあまり外に出したくないという事だったので、外部から疑問に思われないように3月末の任期満了まで名前だけの「代表取締役」です。
全ての決定権はオーナーに返上しており、今や自分の会社の金庫すら開けることができません。代表取締役閑職です。

それからは、今後の運営に支障を来さないように、各種業務の引継ぎに関する資料を作成し、ご挨拶に伺うところはご挨拶へ。心を殺して、後任の代表者(オーナー)と二人であちこちあいさつ回りを行いました。

引継ぎ資料も大層な量で、誰が見ても問題なく事務処理が完了できるように作っているとすごい量になりました。

3月に入ってから、4月から新しく取締役に就任する社員に言われました。

現場に出るわけでもない、一日中机に座って別にやることもなく過ごしているのは非常に目障りで迷惑だ。という言葉。

私、個人的には必死に考えて一生懸命働いていたつもりでしたが、そうは見えなかったようです。居ることが迷惑だと言われるのなら、居ないほうがいいなぁと思い、オーナーに連絡し「こんな事を言われました。私は居ないほうがいいですか?」と伝えると、さすがのオーナーも気の毒に思ったのか、私の業務の進捗状況などを聞き取った後「もう休みなさい。よく頑張ったのは認めるから。」というお言葉をいただいたので、現在は出社していません。
このままひっそりと役員を退任する運びとなりました。

最後に雇われ社長の皆さんへ

長々と今回の色々なことを書きましたが、世の中の雇われ社長の皆さんへお伝えしたいことは一つ。

経営は自分との闘い。自分の足元をすくわれない様にリスク管理はしっかり行うべき

という事。
どんな小さな決定でも、誰かと相談したなら記録を残す。上場企業などとは違い、地元の零細企業であっても絶対に行うことが必要。
社長という椅子に胡坐をかいているといつか私のような事態に巻き込まれても不思議ではありません。オーナー社長であればそんなことはないかもしれませんが、私のように外部からほんの少しの株式だけ取得したところで、過半数を取れないのであれば一般社員と事実何も変わりません。

自分の行動に責任を持つためにも、社内牽制体制はしっかりと整えいつ自分に火の粉が降り注いでも払いきれる環境整備は必要だと思います。

取り留めのない駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
誤字脱字ございましたがコメントください。

この記事が参加している募集

自己紹介

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?