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乗越たかおダンスマガジン評論集 【お試し版】 13 

本書は2013年11月号から、2023年3月号までダンスマガジン誌(株式会社新書館発行 https://www.shinshokan.co.jp)に掲載された乗越たかおの舞踊評論をまとめた「集成版」のお試し版です。
1パックに評論が4本入って各300円とお値打ち価格で、気になる演目だけ読むのも可。第一弾は全21+1パックのラインナップで約10年間の流れがわかります。
※無断複写・転載を禁じます。この資料は、許可なく公開、書き換え、または再配布することはできません。

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86本全てと特典評論4本収録のお得な「集成版」はこちら。


勅使川原三郎『シナモン 言葉の破片による動体彫刻』


(初出 ダンスマガジン 2019年8月号 約1100字)

 勅使川原三郎が自らの劇場アパラタスで精力的に続けている「アップデイト・ダンス・シリーズ」では抽象的なものから物語的なものまで多彩な作品を生み出している。なかでも目を引くのがブルーノ・シュルツの小説を原作とする一連の作品群であり、その多くがシアターXで上演されている。今作もその1つで、原作は『肉桂色の店』という短編である。
 シュルツはポーランドを代表する作家だが、生前は不遇で作品数も多くはなく、ナチスによって白昼の路上で撃ち殺された。暗く沈鬱な雰囲気を通奏低音としながら、とめどもなく広がっていく妄想が魅力だ。

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