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新しいジャンルを作ってきた会社

ダイソンは掃除機の会社じゃなくて「風」の会社。バルミューダも家電の会社じゃなくて「体験」の会社ですよね。

みたいなことを考えるのが好きなのですが、じゃあ自分が経営している会社(ハイモジモジ)は何の会社かと言われると、なかなか答えに困ってしまいます。

自分のことは、自分が一番よく分からないものです。

なんてことをツイートしたら、お友達メーカーの SUGAI WORLD さんからこんなリプライをいただきました。



なるほど、新しいジャンルを作る会社!

「これからも新しいジャンルを作ってね」という激励の言葉であるとともに、若干プレッシャーも感じています笑


自分自身としては「新しいジャンルを作った」というつもりはないですし、自ら口にするのはおこがましく感じています(noteのタイトルには堂々と書いちゃったけど)。

ですが、モノづくりの経験がない「素人」が始めた会社だからこそ、既成の枠に囚われてこなかったのも事実。そもそも「既成の枠」が何かも分からずに始めたメーカーですから。

そこで、これを機に「ジャンル」という切り口で自社の歴史をかんたんにふり返ってみたいと思います。


ファッション文具


デビュー作は2010年の春に発売した「LIST-IT」という腕に巻けるリストバンド型メモでした。

うっかり忘れてしまう用事や、その日やらなきゃいけない TO DO を書いて、手首にくるっと巻いておけるメモ。


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このとき初めて書いたプレスリリースには「実用性とファッション性の両立」という言葉を書きました。

役に立つ道具でありながら、見た目もいいものを。という考え方で、アクセサリー的に使ってもらいたいなと思ってリリースしました。

なので、とにかくカラーバリエーションが豊富でした。


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コミュニケーション文具


次にリリースしたのが、PCのキーボードのすき間に立てられる伝言メモ「Deng On」でした。


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当時のプレスリリースの言葉をそのまま引用してみましょう。


「Deng On」は、例えば「○○さんから電話がありました」といった伝言を相手のデスクに残せるオフィス向け文具。

お祝いメッセージを伝えたり、席を外していることを自分のデスクに書き置きもできたりと用途は様々です。

書類や小物であふれるデスクで最も目につきやすいキーボードの上を、コミュニケーション・スペースとして有効活用します。


実際、このメモを使うことで「社内が和んだ」という声をよく聞きました。

伝言を伝えるだけならただのメモでも事足りますが、動物のかたちをしていることで、ちょっとした会話のきっかけになる。コミュニケーションにつながる。

この「コミュニケーション文具」という着眼点はそれなりにインパクトがあったようで、発売以降、たくさんの模倣品や類似品が生まれました。


Wearable Stationery


急に英語になりましたが笑、腕に巻けるメモ「LIST-IT」の延長線上で、Wearable、つまり身につけられる文具を立て続けにリリースしました。

まずはメモができるブローチ「Memooch(メモーチ)」

トレーシングペーパーが30枚つづりになっていて、1枚ずつ切り取ることができるメモです。

トレペ部分を付け替えられるリフィル交換式で、洋服にあわせてコーディネートできるというコンセプトでした。


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続いて、指輪のかたちの付箋「RING-IT」です。

実際に指輪のように指にはめることができます。またリングの一部に切り込みがあり、付箋を上に引っ張ると1枚ずつ剥がせて使えるという、地味に便利な付箋。

こちらは現行品で、今でも購入可能です。


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さらには、ジャケットの胸ポケットに差せる本革製の名刺ケースもリリースしました。

マグネットで生地を挟んで固定でき、まるでポケットのフラップのように魅せるところがポイント。

名刺交換がスマートにできる点で実用性も高く、廃番になってしまった今でも個人的に愛用しています。


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ベンチャー文具メーカー


こうした商品をいくつかリリースしているうち、文具界隈では「ベンチャー文具メーカー」なる言葉が聞こえてきました。

だれもが知る大手文具メーカーとは規模や志向が異なる、顔の見える人たちによる文具メーカー。

振り返れば、2013年頃からたくさん増えたように思います。

2010年に刊行された「すごい文房具」というムック本を皮切りに文具ブームが巻き起こったや、ハイモジモジというなんだかよく分からない名前の会社が雑誌やテレビで目につくようになっていたのも一因かもしれません。

実際、あるベンチャー文具メーカーの方からこんなことを言われたことがあります。

「(ハイモジモジとかいう会社の商品が)商品として成り立つなら、ぼくらにもできるよな。って話になって、ぼくらもメーカー業を始めたんです」

とても光栄な話です。


インテリア文具


そして2021年現在。特に力を入れているのが「インテリア文具」です。

文具は文具なのだけれど、インテリアにもなるデザインのもの、と位置づけています。

その筆頭が、書類をプロジェクトごとに整理できる収納ボックス「WORKER'SBOX」です。


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1冊ごとに関連書類をぜんぶまとめて放りこむだけ。というシンプルさが売りで、自分たちのオフィスもこれがないとデスクがカオスになってしまうくらい、ないと困る文具です。

一方で、便利なだけではなくて、使っていないときも見た目がいいものを目指しました。より正確に言えば、空間のノイズにならないもの。

悪目立ちしないことで、インテリアにすっと溶けこむ存在感を意識してデザインしました。

おかげで販売している店舗でもあまり目立たないのが難点なのですが笑、オンライン販売ではリピーターも多く、オフィスや大学の研究室、病院、またご家庭でもたくさんの方に使っていただいています。


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今後はこうしたインテリアのノイズにならないもの、もしくはアクセントになるものをリリースしていこうかなと思います。

次の商品も、まもなく完成しそうです。


以上、私たちハイモジモジのこれまでの経緯を「ジャンル」という切り口でふり返ってみました。


【松岡厚志 PROFILE】

ハイモジモジ代表。書類収納の決定版「WORKERS'BOX」ほか、思わず膝を打つアイデア・プロダクトを発信している。フリーライター、ネーム・デザイナー(ネーミングの専門家)、モノづくりするラジオ局「Quest FM」のDJ Atsushi、御茶の水美術専門学校非常勤講師(-2020)などの顔を持つ。

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