夜型

 道が続く先の街明かりには心が安らぐ。されど人の目は意外にも暗闇の黒さへ順応する。

 冬に生まれたという事もあって、わたしはこの忙しない時期が一番好きなのかもしれない。
 身が凍える程の風を受けて帰宅するも束の間、室内では暖房器具を極力我慢して薄着で過ごす。口を衝いて出る寒さをそのままに、窓からの景色がものの数分と経たたないうち、深い黒色へと塗り替えられる。時には部屋の照明なんかも落としたりで、北風が駆け抜ける轟音に耳を傾けてみる。早い時間から確認できた上弦の月がその風で流されるように、いつの間にか真後ろの山際へと移動していた。

 今夜はいつぶりの晴れとなるだろうか。澄み切って乾いてもいる空気には幾分の心地よさを感じる。わたしが住む離島の冬はいつも雨が降る。

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