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夏休み、世界遺産「ヘーガクステン(Höga Kusten)」へ。

前のブログで朱位さんがアイスランドの氷河に登ったことを書いていらしたので(https://note.com/nordiclanguages/n/n07fb1728951c)、わたしもそれに続いて山に登った話を書こうと思います。

スウェーデンは夏休みまっただなかですが、今年は新型コロナの影響で公共交通機関の利用しての旅行は控えるようにと言われていて、「Hemester」(Hem家+semesterバカンス)が主流です。わが家も普段なら夏休みはスウェーデンの別の地方や海外に旅行に行くのですが、今年は近場の魅力を再発見することにしました。

今回向かった先は、自宅から車で1時間半のところにある世界遺産ヘーガ・クステン(Höga Kusten)。景色がきれいなので、ハイキングやクライミングをしにいく場所として人気です。

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こんな岩場をひたすら登ります。途中、ブルーベリーやスズランが群生する森の中も通りつつ2時間ほど。普段運動不足なわたしたちにはキツかったですが、頂上ではご褒美のような美しい景色に出会えました。

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ただ、これを見ただけではなぜ世界遺産なのかわかりませんよね。
氷河期の間、このあたり地表は氷の重さに押されて海底にありました。氷河期が終わり氷がすべて溶けると、それが次第に隆起していきます。2000年に世界遺産に指定されたときにはなんと294mも隆起していました。それが世界一ということで、世界遺産になったのです。地学に詳しくないわたしが登っているぶんには、ただの「景色のいい山」ですが……。

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同じ山を、わたしたちが登った緩いコースとは別の方向から見ると、切り立った崖になっています。写真では見づらいですが、何人もの人がクライミングの装備をつけて崖を登っています。

その夜は、先ほど山の上からも見えていた島のホテルで1泊。
Ulvönという島で、17世紀に漁業で栄えた場所です。車が1台しか乗らないような小さな船が、本土と島のあいだを往復しています。到着すると、昔の漁村の風景が迎えてくれました。

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海ぞいの小屋の中はこんなふうになっていて、ボートのガレージとでもいいましょうか。当時の漁師さんたちはこれに飛び乗って出動していたのですね(写真ではボートは水から上げられています)。

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発酵させたニシンの缶詰Surströmmingをご存知ですか? この島もかつて工場があり、主要な生産物でした。

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海側からではなく、陸側から通りを見ると、カラフルな可愛らしい一軒家が並んでいます。当時、漁師さんたちが家族で住んでいた母屋になります。今では漁は行われておらず、別荘として人気があります。

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どの家も素敵で、写真をたくさん撮ってしまいました。今インテリアの本を訳しているので、この家は「この外壁と窓は典型的なユーゲント様式だ」とか「この屋根の素材や形はナショナル・ロマンティシズムで流行ったものだ」とか、まるで歴史建造物図鑑を見ているような気分でした。

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夏休みといえば普段はつい遠くまで旅行にいっていましたが、近場にも素敵な場所がたくさんありますね。ここもうちからは近いですが、遠くからわざわざ観光客がやってくるような場所です。詳細はこちらhttps://www.hogakusten.com/en (英語)

今年はこんなプチトリップをいくつかやるつもりです。
皆さんも楽しい夏休みを! Trevlig sommar!

Profile●久山葉子(クヤマヨウコ)
スウェーデン在住。翻訳・現地の高校教師を務める。著書にエッセイ『スウェーデンの保育園に待機児童はいない(移住して分かった子育てに優しい社会の暮らし)』、訳書にペーション『許されざる者』『見習い警官殺し』など。

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