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25年ぶりに映画館でタイタニックを観た話

先日、公開25周年で『タイタニック』の3Dリマスター版が上映されていたので鑑賞してきました。

映画『タイタニック』とは

映画史に残る大ヒット作なので改めて説明するまでもないかもしれませんが、念のため概要をおさらいしておきましょう。

映画『タイタニック』は、1912年に実際に起きた豪華客船タイタニック号沈没事故をベースに、画家志望の青年ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と上流階級の令嬢ローズ(ケイト・ウィンスレット)の身分違いのラブストーリーを描いた物語です。

公開当時の1997年には、巨額の製作費が話題となり、全世界歴代興行収入1位を記録、世界中で大旋風を巻き起こしました。日本でも約1年にわたってロングラン上映され、現在も洋画歴代興行収入1位を保っています。

今回の3Dリマスター版の上映は2週間限定でしたが、どの劇場も満席が続出しており、私が観た平日夜の回もほぼ満員の状態でした。

タイタニックとスウェーデンの関係

映画の序盤、ジャックは港のパブでポーカーをして賭けに勝ち、タイタニック号の乗船チケットを手にします。
この時のポーカーの相手は、スヴェンとオラフという名前のスウェーデン人です。(余談ですが、『アナと雪の女王』にも同じ名前のキャラクターが出てきますね。)

また、船内で相部屋となる人もスウェーデン人ですし(スヴェンたちの仲間なので当然といえば当然ですが)、さらに物語が進むと、三等客室のパーティーでローズが"Talar ni svenska?(スウェーデン語を話しますか?)"と問いかけられているシーンもあります。

映画のところどころにスウェーデン人が登場するのはなぜなのか、少し調べてみると、史実に基づいているであろうことが分かります。

19世紀から20世紀初頭にかけて、スウェーデンは人口増加と食料不足により、貧困と飢えに苦しみます。そこから逃れるために国外へ移住する人が増え、また、その多くがアメリカに渡りました。1世紀ほどの間に100万人以上のスウェーデン人がアメリカに移住したそうです。

実際のタイタニック号にも多くのスウェーデン人が乗船しており、全乗客の1割弱(約1300人のうち123名)を占めていました。そのため、スウェーデン語は英語に次いで船内で2番目に多く話された言語だったということです。その大半が三等客室に乗っていたそうで、救出された生存者は34名でした。

タイタニックの字幕

公開当時、私は中学生で、スウェーデン語や字幕翻訳の知識はおろか、英語すらおぼつかなかったので、こうして改めて映画館で観て初めて分かることや感じることがあり、とても感慨深く思いました。

字幕は当時と同じ戸田奈津子さんの訳でしたが、字幕翻訳を学んだ目で見直してみて、非常に読みやすく、鮮やかだなと感嘆しました。(もしかしたらリマスターやそれ以前のソフト化の際に手直しが入り、公開当時のものからは多少変わっているかもしれませんが。)

例えば、この一等客室での食事シーンでの会話。上の動画の中盤あたりで、ローズがタバコを吸い始めると、母親のルースがたしなめます。(以下セリフ括弧内は筆者ベタ訳)

RUTH:You know I don't like that, Rose.(私がそれを好まないことを知っているでしょう、ローズ)

これに対して、ローズではなく婚約者のキャルがこう答えながら、タバコをひょいっと取り上げて火を消します。

CAL:She knows.(知ってますよ)

この2つのセリフ、字幕だと「おやめなさい」「やめますよ」と、とてもシンプルな訳になっています。答えを見てしまえば何ともないように思えますが、こういう何気ないセリフをさらっと訳すのが難しかったりするんだよな、と思ったのでした。

《参考》
Titanic centenary: Swedish dreams of a new life lost at sea
https://www.bbc.com/news/uk-england-hampshire-17274655.amp

Titanic Norden - Passagerare från Sverige och övriga Norden
https://www.titanicnorden.com/enter.html

北欧諸国の人口政策
https://core.ac.uk/download/pdf/59305191.pdf

(文責:藤野玲充)

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