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北欧フィンテックのグローバル展開:How to Scale Nordic Fintech to the World ウェビナーレポート(9/28/2021)

北欧フィンテック企業のグローバル規模での活躍が注目されています。この度 Oslo Innovation Week 2021の一環として、ノルディックイノベーションハウス5拠点(シリコンバレーニューヨークシンガポール香港東京)共催で、How to Scale Nordic Fintechs to the World と題したウェビナーを開催しました。3名の北欧フィンテック界のパイオニアの方々をお招きし、グローバル市場でのスケールアップについて実体験を語っていただきました👀

まず、ノルディックイノベーションハウスの概要と、各ハウスが実施しているプログラムやイニシアチブを紹介した後、3名のスピーカーをお迎えしました:Greater Than社CEO Liselott Johansson、Meniga社APAC地域責任者のKanika Mittal、そしてEedenBull社チーフ・イノベーション・オフィサー兼共同創業者のErik Ingvoldstad。対談のモデレーターは、ノルディックイノベーションハウス東京のコミュニティ・ディレクター、ニコラス・カルヴォネンが務めました。

多岐にわたるトピックについてお話いただきましたが、ここではそのうちの3つのトピックについて、その内容をご紹介します(全編録画はこちら)。

1:新規参入するマーケットはどのように選びますか?また、現地パートナーや顧客はどのように選定しますか?🌎

Erikは、Eedenbullが最初からグローバルに展開する野心を持っていたと言います。ノルウェーでビジネスを立ち上げた後、「行けるところまで行ってみたい」と考え、個人的な繋がりがあり、ヨーロッパとの文化的な類似性から、オーストラリアを選びました。

Kanikaは、新規市場への参入は何よりも綿密な計画が必要だと指摘。製品の適合性、市場の成熟度(Menigaの場合は、ESGの認識度など)、現地の規制などが、Menigaがその市場に参入するかどうか、参入するなら自力で参入するのか、現地パートナーと組むかを決める上での重要な要素となります。

LiselottはGreater Thanの場合、意思決定は市場よりも顧客主導であると言います。また、顧客は現地市場のリーダーであるべきことの重要性を強調(例えば、同社は日本ではトヨタ、シンガポールではMSIGと協働しています)、そいうすることにより、ローカルオフィスを構えずとも顧客を通じて成長できると言います。

パートナーや顧客の選択について、Liselottは自身が学んだ教訓として、中小企業は一見協働しやすいように見えるが、実際のところ、大企業と協働するときと同等の作業が必要で、且つ大企業と協働した場合ほど幅広いマーケットリーチが難しい言います。ErikもKanikaもこの点に同意しました。

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2:社内の情報共有について。それぞれのマーケットで生まれた新しいコンセプトや教訓などを、グローバルチームで共有するために工夫されていることを教えてください。💡

Eedenbullは、現段階では経営陣が問題なく情報共有できるほどの規模。各マーケットで学んだ教訓、特に規制を巡るものに関しては、金融という業界の性質上、常に注意を払っていると話します。

Liselottは、Greater Thanの技術プラットフォームはレゴブロックのように構築されており、複数のブロックを組み合わせることでカスタムメイドの製品を作っていると説明。毎週、Happy Family Meetingと呼ばれるグローバルミーティングを開催し、チーム全員と最新情報を共有していると言います。

Kanikaは、例えば、6年前に南アフリカで行われた交渉が現在アジアで行われている交渉に大きく寄与する可能性もあると指摘。

3名とも、知識や情報の社内共有は今のところ問題なく行われているが、会社がさらに成長して規模が大きくなると、また新しい方法を考えていく必要があるという点で意見が一致しました。

3:異なるマーケットやビジネス文化に適応するために、サービス仕様や社内プロセスを変更した経験があれば教えてください。
🛠

Menigaの場合は、ビジネスモデルを調整し、アラカルトのオプションを増やしたことで、顧客が既存のサービスへの上乗せでMenigaのサービスを追加できるようにしました。このモジュール・アプローチ(価格も合わせてカスタマイズする)によって柔軟性が生まれ、結果的にマーケット拡大に繋がりました。

またKanikaは、アジアは人と人との繋がりを重視する市場であり、Menigaのビジネス展開にもこの点が影響を与えたと言います。

Lisalotteも同意し、Greater Thanの日本での成功は、創業者が日本に住んだ経験があること、日本でのビジネス経験があること、そして日本に対する深い見識を持っていたことが影響したと話しました。忘れがちになりますが、文化の違いを尊重することはは非常に重要だと指摘します。

全体として、文化の違いが大きな役割を果たしているという点については、全員が同意しました。Erikが締めくくったように、最初から完璧に異文化を理解していることを期待されているわけではありません。ただ、文化の違いに敬意を払い、耳を傾け、新参者であることを心に留めておくことは、ビジネスを大きく前進させることに貢献することでしょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

全編録画はこちらよりご覧いただけます。

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