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我が家流・超低糖度オレンジマーマレード

書いている内に長くなっちゃったので、今回初めて目次をつけてみた♪


そうだ、マーマレード作ろう


信州の夫の実家の庭には大きな杏の木があり、毎年義母が収穫したての杏でジャムを作り、我が家にも送ってくれる。完全無農薬・手作りのそのジャムは滅法美味しくて、市販のもので義母のそれを超える味には未だに出会っていない。
ところが、今年はその杏が不作で収穫が激減したと聞いた。きっと例年のようにあちこちに配るほどのジャムは作れまい、ならば私がいつものお返しに代わりになるものを作ろうと思い立った。

折角作るなら、杏ジャムとはちょっと目先が変わるもので、旬の果物を使ったものがいい。もし人に差し上げるほど上手く出来なくても、自分の好物なら自宅でどんどん食べればいいだろう。ということは・・・
断然、オレンジマーマレードだ。

さっそく、和歌山県のみかん農家から、加工用の国産バレンシアオレンジを取り寄せた。届いたオレンジは、なるほど確かに見た目は艶もなく傷だらけだが、切ってみると果汁が吹き出るほど瑞々しく、完熟なのでとても甘くて美味しかった。何より、新鮮なオレンジの芳醇な香りがキッチンいっぱいに広がり、それだけで気分があがるあがる。これはいい。


あの味に近づけたくて・・・レシピ調査とアレンジ作業


というわけで、久しぶりのオレンジマーマレード作りにとりかかった。
出盛りの苺やリンゴで少量のジャムを作ることはちょくちょくあっても、マーマレードは十年ほど前に頂き物の夏みかんで作って以来なので、作り方も一から調べ直した。
どうせなら大好きな軽井沢の沢屋のママレードの味に少しでも近づけたくて、できるだけ砂糖の分量の少ないレシピを探し、作り方も色々なやり方から吟味してみた。
沢屋のママレードは皮も果肉も形が残らないサラサラタイプで、多分フードプロセッサーを使う工程が入るのだろうが、我が家にフープロは無い。代わりに圧力鍋を適宜活用することにした。洗い物を増やさないため、他に使う鍋はホーローの大鍋ひとつ。

材料について。
その1、オレンジ。沢屋は国産のネーブルオレンジを使っているが、たまたま今回手に入ったのはバレンシアオレンジ。マーマレード作りにおいてあまり扱いに違いはなさそうなので、そのまま使う。
余談だが、届いたオレンジはところどころ皮が緑になっていたが、実は熟していた。これも調べていて分かったことだが、バレンシアオレンジは外皮が一度オレンジ色になっても陽に当たると緑に戻ってしまうという珍しい特徴を持つ果実なのだそうだ。その「回青現象」を防ぐため、色づいたオレンジに一つ一つ袋掛けをしなくてはならないそうで、予想以上に収穫までに膨大な手間がかかる果物と知ってびっくりした。

その2、砂糖。我が家で普段使っているのは生協で売っている精製度の低い「花見糖」という茶色いお砂糖だが、これは使わない。色を綺麗に、また果物本来の甘味を優先させるべく、このときばかりは精製されたお砂糖を使うことにして、お菓子作り用に買ったグラニュー糖のみを使用。
砂糖の量は、通常ジャムを保存食品として作る場合は少なくとも果物の総量の5割は使うらしいが、私はどうしても甘みあっさりのマーマレードを作りたかったので、思い切って二割五分まで減らしてみた。ペクチンが足らず固まらないが、料理にも使うのでサラサラの方がむしろ扱いやすい。
どうせあっという間に食べきってしまうし、今は冷蔵庫もあるので、潔く保存性より好みの味と食感を優先。


「のらうるふのオレンジマーマレード」の作り方


それでは以下に、巷のマーマレードレシピを我が家流にアレンジした
「のらうるふのオレンジマーマレード」のレシピの覚書きを記しておく。

<材料> *ジャム10個分 (広口300ml✗8個+450ml✗2個)
・バレンシアオレンジ(ベスト!) 3kg (ヘタと種を除いた生の皮と実の重さ)
・砂糖 660g(皮+果肉の総量に対し22%)

*オレンジの品種による違い
・バレンシアオレンジ◎ 酸味&甘さのバランスよく、色も一番綺麗。えぐみ少ない。香りも一番好き。生で食べても美味しい!
・温州みかん○ 甘みがやや濃いので砂糖は18%ぐらいでいい
・ネーブルオレンジ△ 香りよく季節的に日持ちするが、しっかり下ごしらえしないとビターな仕上がりになる。砂糖減らさない。やや水分少なめなので実を煮る時焦がさないうよう注意。
・甘夏△ えぐみが強い。砂糖は多めで〜30%でも
・清見オレンジ☓ 大きい種はほとんどないが、ゴマ粒ほどの黒い種を取り除くのがやや面倒。白い内皮がもろくてボロボロ崩れやすく、さらしに時間がかかる。仕上がりはややビターになる。


<作り方>

1.オレンジを洗い、ヘタと汚れをこそぎ落とす(ホタテ貝殻スポンジが使いやすい)

2.4つ切りにして実と皮を別にする。皮は洗って圧力鍋へ。実は房のままぶつ切りにして太い筋や固くなった薄皮と種を取り除き、総量を計り直して一旦冷蔵庫へ。割れていない種はペクチン用に少し残してティーバッグに入れておく。(みかんの場合ペクチンが少ないので皮も筋も実と一緒に煮て種だけ後で取り出す)

3.皮の入った圧力鍋に水をいれて火にかける。沸騰したらザルにあげ、さめたら薄切りにする。みかんの場合は皮が薄くすぐ煮えるので大きめでいい。(皮を薄切りにする際、厚すぎる内皮は適宜削ぎ落とす。甘夏の皮はかなり渋いので白い内皮は半分ぐらいスプーンで削ぎ落とし、袋と種も取り除く。ネーブルもそのままではけっこう渋い。
次の工程に進む前に最終的な皮の総量を計っておく。

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4.薄切りにした皮を鍋に戻し水から茹でこぼし、ザルに上げて水洗いし、水にさらす。最後にギュッと絞る。(甘夏・ネーブル等の場合、ここで水に晒す→しっかり絞る→新しい水に晒す、を水が黄色くなくなるまで3〜4回繰り返す。香りや風味はちゃんと残るのでとにかくエグみを残さぬようきっちりと!)

5.皮の水を切り再び圧力鍋にいれ、かぶるくらいの水を入れて火にかける。5分加圧、5分放置、すぐ減圧して取り出す。(みかんは各3分)

6.再び洗って水にさらす。何度か水をとりかえ、皮を齧ってみて適度にエグみが抜けたらザルにあげて水を切っておく。晒す時間は数時間〜半日ぐらい。甘夏などえぐみの強いものは最低ひと晩。ここで一旦冷蔵庫で保存する場合はしっかり水分をしぼっておく。

7.空いた圧力鍋に実だけを入れ火にかける。水の追加はほぼ不要だが最初は焦げ付き防止のため中火で底部の様子をみて混ぜながら加熱し、水が出てきたら蓋をして強火にする。5分強加圧し火を止め冷めるまで放置。
*ネーブルオレンジは非常に焦げ付きやすいので水分出てくるまで蓋をせず慎重に加熱する

8.実が冷めたらホーローの大鍋に移し、水分を絞った皮と砂糖の半量も加えてよく混ぜ合わせる。水が出てくるまでしばらく放置。

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9.水が出たら火にかけ、焦げないようにかき混ぜながら中火〜強火で煮詰める。品種によっては煮立つとアクが出てくるので丁寧にすくい、残りの砂糖を2回に分けて入れる。冷めると固まるので少しゆるいかな?ぐらいで火を止める。
(この作業の間に空いた鍋で瓶を煮沸ししっかり水を切って乾かしておく。キャップはよく洗って熱湯をかけ同じく乾かす。)

10.温かい瓶に出来上がったジャムを熱いうちに分け入れる。蓋を普通に締め、1分ほど置いてからそっと蓋を緩めて脱気させ、すぐに蓋をきっちり締める(本締め)。さらに洗った大鍋に布巾を敷き、瓶を並べ、熱湯を瓶の肩ぐらいまで注ぎ、20分ほど弱火で煮沸。

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11.瓶を取り出し、そのまま冷ます(逆さにはしない)。冷めて空気が抜けて蓋の中央がポコンと凹んだら脱気成功、完成。

*瓶の脱気の詳しいやり方はこちらを参考にさせて頂きました。
https://www.chuku.jp/page/40

*殺菌・脱気がしっかりできていれば常温で2年は大丈夫・・のはずだが、超低糖度なので、なるべく冷暗所保管のうえ、なる早で消費すべし。ちなみにガッツリ脱気すればこの糖度でも1年は大丈夫なのは確認済みだが、それ以上は食べきってしまうので未確認(^^;)


気になるお味の方は・・・♪


ちなみにお味の方は、オレンジの品種が違うので風味はだいぶ異なるが、沢屋のそれと同じく砂糖の甘味より果物本来の香りが際立つフレッシュな仕上がりとなり、まあまあ狙い通りのものが出来たと満足している。
なにより、沢屋のママレードよりどどーんと気前よく好きなだけパンに載せて食べられるこの幸せよ。丸一日がかりにはなるが、一日中大好きなオレンジの香りに包まれてゴキゲンに過ごせた。

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折角なのでカッテージチーズも作って冷やしておき、翌朝焼いたパンにたっぷり載せて頂いた。激ウマ!!

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