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【Obsidian】ノートの三分類―構造・結論・覚書①

Obsidianには多種多様な情報を格納していくことになるため、完全な無秩序状態を防ぐとするならノートを分類することが必要になります。
最初のヒントとして、私はこちらの記事を拝読しました。

Zettelkastenで作成するノートということですが、ここではZettelkastenというルール内に限定されたものとしてではなく広く「Obsidianで私が扱っている情報」という括りで考えます。

まずZettelkastenを解説したサイトの「PKM Zettelkasten」では、以下の四種のノートが作成されると説明されています。括弧書きで私の解釈を簡単に書き添えますが、正確な理解のため出典のページをご一読ください。

1. Fleeting notes(一日を通して作成される一時的なメモ)
2. Literature notes(仕入れた情報を自分の言葉でまとめたノート)
3. Permanent notes(アイデアを書き、リンクしていくノート)
4. Index or Structure notes(ノートを目的に沿って構造化し、文脈を作るノート)

更に、jMatsuzakiさんは実用的な形で分類を増やし、次の七種としています。

1. Fleeting notes:作業用のメモ
2. Literature notes:文献ノート
3. Word notes:単語ノート
4. Permanent notes:永続的ノート
5. Minute notes:議事ノート
6. Review notes:振り返りノート
7. Index or Structure notes:構造ノート

「議事ノート」や「振り返りノート」について、「Permanent notesの亜種」としながら「特殊なテンプレートを持っているため別種として管理」と解釈されているところが注目すべき点と私は感じました。

さて、これらのことを踏まえて私は以下の三種+一種を大分類として捉えることにしました。

  0. 日誌ノート(とりあえず書く場)
  1. 構造ノート(問題意識に基づいて文脈を作る場)
  2. 結論ノート(ある問題に対しての解答を模索する場)
  3. 覚書ノート(問題意識の伴わない情報を置く場)

これは「PKM Zettelkasten」で示された四種と似た区分ですが、気分が少し違っています。

0. 日誌ノート

日誌ノートは前回の記事でも触れた「デイリーノート」のことです。一日中開いておくもので、その日のうちに発生した事物の記録や考えなどをひとまず書いておく場所になります。
Obsidianに機能として備わっており、テンプレートも自分で設定でき、日毎のページを作るのはとても簡便です。
このノートが必要なのは、その日に属する情報(やったことや食べたものなど)を書き留めたいからというだけでなく、すぐには行き場を決められない思いつきをとりあえず書き込む場所があった方が絶対に良いからです。何かしらの判断をする前に記録する段階がないと、どこにどう書くべきかを考えているうちに思考はどんどん失われていってしまいます。
この日誌ノートは、意味内容を単位として活用するノートではないため、0番としています。

1. 構造ノート

構造ノートは結論ノートや覚書ノートへのリンクをまとめる場所で、自分の問題意識に基づいて複数のノートを構造化し、文脈を与えるために存在しています。
先に挙げた「PKM Zettelkasten」やjMatsuzakiさんの区分ではStructure notesは最後に置かれていましたが、私は「メタ的な位置づけ」というイメージから最初に配置することにしました。
一般的に作業の手順として、アイデアや事実を含む他のノートが先にあって、その後それらをまとめたものとして構造ノートを作る、という順番を想定されることが多いかもしれません。
ただ、私の場合は構造ノートを「自分の問題意識」の文脈に他のノートをリンクするものとして考えているので、具体的なアイデアや情報を得るより先に問題意識が存在している場合には空っぽの構造ノートが先に生まれることになります。シールを集めるための台紙のようなものです。どんなシールを集めたいかが先に決まっていれば、そのテーマ毎の台紙が先に用意されるのと同じことです。
自分の問題意識とは、例えば「情報管理の基地としてObsidianを活用するには」というような「○○するには」の形で表されるものです。主語は自分自身だけでなく、例えば「世界の人々が寛容になるためには」といったものも含まれます。

2. 結論ノート

結論ノートは、二文字に統一するために「結論ノート」という名前をつけていますが、正確にイメージを表すと「結論を出すことを目指すもののノート」という定義になります。或る仮説やアイデアに対して、それが正しいのかを検証したり、どんな手法があるかを考えたり、実現するための道のりを検討したりする場です。
タイトルは初め「○○したい」または「××すべきは誰か?」などという形でスタートし、思索が進んで結論が見えたら「△△する」または「□□は誰それにやってもらう」といった形に書き換えられることになります。例えば「ObsidianとScrapboxで役割分担させたい」でスタートしたノートが「Scrapboxは知識の集積に使う」という名前でゴールする、といった流れです。そして「情報管理の基地としてObsidianを活用するには」や「Scrapboxをゴミ屋敷にしないためには」などといった構造ノートに収録されることになります。状況が変われば結論が変わることもあります。
結論ノートは複数の構造ノートに配置されることがあり得ますし、また結論ノート同士でリンクを貼って繋がりを作ることもあります。繋がりを作れるところは作りたい、と思いながら結論ノートや構造ノートを繰り返し見返すのが肝要だと考えています。そのようにして有機的に進化や変化を経ながら育っていくのが構造ノート及び結論ノートであると言えるでしょう。

3. 覚書ノート

覚書ノートとは、「○○するには」とか「△△したい」といったベクトルを持たない情報全般です。自分の存在とは無関係にある知識や、議事録・観測結果の類、IDのメモや関数の備忘録など種類は多岐にわたります。
例えば読書メモ。本はもちろん著者の問題意識というものがあって書かれていますが、読者にとっては本の中身は自分の問題意識とは別の次元にある「情報」です。「この人はこう言っている」という事実には私の問題意識は関わっていません。これを構造ノートや結論ノートの中にリンクして繋げることで、自分の問題意識の文脈の中に参考資料として位置づけることになります。
名言・格言の類も同様です。自分が見出した教訓なども覚書ノートに含みます。「AとはBである!」と思いついたとして、それは必ずしも自分が抱える問題意識の解決に結びつく種類のものとは限りません。例えば「『わかりやすい要約』はデマの温床である」などと考えついても、直ちにどこかの文脈に置けるわけではないので、いつか何かのタイミングで使うかもしれないものとして(または、自分のポリシーとして覚えておくためのものとして)、問題意識とは無関係に保管することになります。
また、議事録や振り返りのノートもこの区分に含むものとして扱っています。議事録や振り返りは、その時点でどういう事実があってその後どうすると結論づけたか、という記録として解釈しています。議事録や振り返りはあくまで「○月×日■■mtg議事録」とか「○月▲日□□レビュー」といった切り取り方で作られるノートであって、それを思索のパーツとして扱うことはできません。会議やレビューの中で生まれたアイデアは、別途ページを作って検証すべきでしょうし、そのページ(=結論ノート)には事の経緯として議事録のページをリンクして整理するということになるでしょう。
(議事録と振り返りの位置づけを明確にしようというのはjMatsuzakiさんの記事を見て意識したことで、大変参考になりました。)
なお、0番として別枠に位置づけた日誌ノートも情報の中身の性質としては覚書ノートの一種と言えますが、活用の工程が特殊なので別の区分としています。ただ、結果的に残った日誌ノートはその日の記録であり、覚書ノートのひとつとして取り扱われることになります。

以上、Obsidianに作るノートは大きく分けて「構造ノート」「結論ノート」「覚書ノート」そして「日誌ノート」の三+一種類と捉えていますよというお話でした。

今回はここまでですが、次の記事でこれらの情報を具体的にどういう形で分類して整理しているかを書く予定です。

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