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【50代の大学生日記 第19話】恐るべし和紙の世界

 前話でちらっとお話ししたように、先日から久しぶりに働きに出ています。個人的には「学生バイト」のつもりなのですが、57歳のおっさんだとそうは見てもらえない・・・・・・ でも学生だからレポートも試験もあるし、やっぱり本業は学業なんだよ~ 青年の主張でした。

 新しい職場は和紙書道用の紙を扱っていて、店や倉庫で和紙と格闘(肉体労働)しているのですが、これまで生きてきて想像もしなかった和紙の世界に驚きの毎日です。
 まず驚くのは単位が尺貫法!! 紙の大きさが「二八」といえば2尺×8尺「二六」といえば2尺×6尺。えっ?いまさら尺貫法?と思いましたが、これは作品を入れる額の大きさが昔ながらの「二八」「二六」サイズだから、自ずと紙も同じ大きさになってしまうわけで、むしろ額業界のほうに問題があるのですが、さらにややこしいのは「二八」の額に入れたときにまわりにいい感じに空間(余白?)ができるようにひと回り小さくした紙のサイズ「尺八屏=1.75尺×7.5尺」なんていうのもあり・・・・・・ 覚えるのも大変です。
あっ、ちなみに1尺=30.3cmです。私が子どもの頃、祖母が「鯨尺(くじらじゃく)」のものさしを使って裁縫をしており、あれが1尺かと思っていたら、鯨尺の1尺=37.8cmは曲尺(かねじゃく)の1尺=30.3cmとは別物だということを、今日知りました!! 土木工事用のものさしが曲尺、和裁用のものさしが鯨尺だそうです、で和紙は土木用のものさし? 複雑すぎる。いまさら言うことでもありませんが、日本国は「メートル法」を採用しており、「尺貫法」は昭和33年に廃止されています。60年以上も経ってる・・・・・・昭和すぎるにもほどがある!

 さて、紙の厚みの単位は何かご存じでしょうか? 紙は湿度によって厚みが変わるので、現在は「平均〇〇μm」と記載されているのもありますが、「メートル法」の世の中でも一般に、坪量(つぼりょう)=〇〇g/㎡ (1平方メートルあたりの重さ)で表されます。ということで、和紙の世界でもやっぱり厚さは「単位面積あたりの重さ」が尺貫法で表現されるわけですが・・・・・・
単位は「匁(もんめ)」です。1匁=3.75gで、厚さ(秤量)が5匁の紙といえば、2尺×3尺のサイズの紙の重さが5匁=5×3.75=18.75gということです。なんで2尺×3尺やねん。もうわけわからん。

 色付きの和紙もいろいろと揃っており、例えば赤い紙にもいろいろな赤があります。でもこれはいろんな赤を狙って作ったのではなく、ロットによってバラツキがあり、製品になったときにはいろんな赤ができちゃった結果なのだそうで、さらに紙には消費期限がないので枯れ具合にもよって色が変わるわけで、要は買いたいときに店に欲しい色の紙があったらラッキーというぐらいのことなのです。恐ろしき和紙の世界。

 さらに驚いたのは、書道用の紙を小分けにして売るときに入れる袋ですが、一般に尺貫法サイズの袋は売っていないので・・・・・・
紙のサイズの2倍以上大きい袋を買ってきて、半分に切って、切った辺をセロハンテープで貼り合わせて、店で自作しています(驚) 令和の世に尺貫法で生きるのも大変だぁ。

 この職場は平均年齢が異常に高く(60歳を超えているのは間違いなさそう)、ジャイアンの60数年後のような社長がおばさんにボロカスに言って怒っている(令和どころか平成でも完全アウトのハラスメント)と思ったら、次の日にはそのおばさんと和やかにお茶を飲んでいたり、ITやOAとは無縁の(そもそも和紙にはバーコードすらついていないwww)良くも悪くも典型的な「どっぷり昭和の世界」なのですが、私は社会人になった当時のそんな世界も知っていて、ITやOAがなくても要領よく仕事をする術を知っているからか、意外にすんなりと馴染んでいます。平成生まれの人は絶対に馴染めないでしょうな(笑) この会社に若い人が皆無なのも当然といえば当然ですな。私もこのまま20年ぐらいは雇ってもらえそう(笑)まあジャイアン社長にあと20年お元気でいてもらわないといけませんが。
ではまた、次回をお楽しみに。

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