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【50代の大学生日記 第25話】全然知らんかった書道用下敷の世界

 書道用品店のパートのおっさんを始めて2カ月余り。長年書道に親しんできたつもりの私も「へぇ~、知らんかった~」と思うことの多い毎日。
 さて皆さん、書道の下敷の材質に、毛氈(もうせん)、ラシャ(羅紗)、フェルトなどがあるのはご存知でしょうか? さらにそれぞれ厚みが1ミリ、2ミリ、3ミリ等々があり、さらに黒、紺、白、エンジ、ウグイス色、赤などの色や罫線入りのものなどがあって、1つのサイズだけでもかなりの類別があります。私は「下敷なんて墨が机や床まで浸透しなければええだけやん。別にどれでもええやん」と思ってたので自分がどんなのを使っているのかも覚えてません。全紙サイズ(70センチ×136センチ)の作品を書くときに、単純に店頭に並んでいた全紙サイズ下敷のなかでいちばん安いのを買ったような記憶が…
家に帰って下敷の箱を見てみると、『フェルト 1ミリ モスグリーン』とありました。なんかフェルトって毛氈よりも安っぽい感じがする~ 安物を買ったんだな~ と思ってました。

 そんなある日、倉庫で注文品の下敷を梱包する仕事をしているとき、注文品の「毛氈の下敷」の中に「フェルト」が混ざっていたので、これを準備した先輩(師匠)に「毛氈のなかにフェルトが混ざってましたよ~」と報告したところ・・・・・・
「毛氈とフェルトは同じやで。ちょっと前までフェルトて言うてたけど、最近高級感を出そうとしてんのかしらんけど、表示が毛氈に変わっただけやねん」
えっ? 毛氈ってフェルトのことなん?? 個人的に、毛氈は茶席や茶屋に敷いてある和風高級カーペットで、正倉院御物にもあるようにやんごとなき人たちの間では奈良時代から使われていた由緒正しい布地、フェルトは手芸でワッペンなんかを作るときに使う100円ショップで売っている安物の布地というイメージがあったのですが・・・・・・ これって同じものだったのね。
ちなみに、『新明解国語辞典』(三省堂)によると、毛氈は「毛と綿を混ぜて加工し、厚い織物のようにしたもの。フェルト」とあります。今日も私の商品知識の勉強の備忘録として書いておきます。

 毛氈(フェルト)は羊毛に熱を加えたり圧縮したりすると互いに絡み合う性質(縮絨)を使って、羊毛を集めて圧縮してシート状の繊維にした不織布で柔らかく弾力がある反面、石鹸のようなアルカリ性液体に刺激されると縮絨が促進されて縮んでしまうことから洗濯ができない欠点があります。まあ下敷を洗濯しようなんて思ったこともないですけどね。一方のラシャは羊毛を密に織ってできた織物を圧縮し縮絨化した毛織物の一種で、シワになりにくく洗濯もできる反面、触り心地が硬いという性質があります。
厚みは1ミリだと織りジワがつきやすいので、2~3ミリがよいとされているようです。私は1ミリを使っていますが、筒状に巻いて箱に入れてしまっているので特にシワが気になったことはないですが、創作書道で太い筆に墨をたっぷり含ませて「おりゃ~!」と書いたときなど、たま~に墨が紙や下敷を透過して床にまで達することがあります。そのような点でもやっぱり2ミリ以上のほうがよさそうですね。
 結論として、下敷は消耗するものではないので、最初に買うときにいいものを買っておく、大は小を兼ねるので保管場所や使う場所の広さに余裕があるならはじめから大きいものを買っておくのがよいということでしょうか。さあ、今日もパートに出かけてきます。ではまた。


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