ちょっとそこまで #2
とりあえずスニーカーがダメなのは分かる。
その性質は歩くためであり、走るという攻めの姿勢ではない。
それは分かる。
けれども、ランニングシューズってどれを履けば良いんだ?
【ランニングシューズ 初心者 おすすめ】
【ランニングシューズ 人気】
【ランニングシューズ 疲れない】
当然、調べれば調べるだけ膨大な量の情報が出てくる。初心者向けとされる区分だけでも多くのメーカーが出しているし、そのメーカーだって沢山存在している。ざっと見た感じアシックスとかミズノとか誰もが耳にしたことのあるメーカーは間違いなく高評価だし、先ずはその辺を適当に漁ってみる。
アシックスはGT2000、ミズノならウェーブライダー。これらの名前は良く出ているし、まぁ無難な感じだし、お店で安い方を買おう。次の休みに買いに行こう。「OK Google 都内ランニングシューズ店」
ツールドフランスの総合優勝はチームSKYのクリス・フルームだった。彼とそのチームメイトの走りは素晴らしかったけれど、個人的にはチームサンウェブのワレン・バルギルの走りが好きだった。彼はクライマーという登り坂に強い選手で速いのはもちろんだが、何より表情が良い。とても楽しそうに、無邪気な笑顔で走っていた。
気が付けばもう8月になっている。
東京の夏は暑い。故郷の岩手も暑いが、何というか、熱がまとわり付くような感じがする。
新宿駅近くのスポーツショップへ向かう。
自動ドアが開き、店内に入ると、エアコンの刺すような冷気で身体が驚く。
ランニングシューズのコーナーは店の入口付近にあり、壁一面に展示されていた。
黒、白、紺、青、赤、黄、緑、ピンク、、、
蛍光色の色々。
派手派手しさ極まりて洪水目がチカチカ。
モノクロフッション人生の私にとっては刺激が強い。
「何かお探しでしょうか」
こんがり日焼け顔の、いかにも好青年といった出立の店員さんに声をかけられ、
「あ、すみません。初心者用のランニングシューズを探してまして、アシックスのGT2000とミズノのウェーブライダーってありますか」
用意していた台詞を口にする。
「ございますよ。よろしければ履いてみますか」
「あ、すみません。よろしくお願いします」
店員さんに促されるまま、椅子に腰を下ろす。
「初心者用ということでしたが、ランニングシューズの選び方はご存知ですか」
「えっと、まぁ、履いた時に指1本分の余裕あれば良いんです、よね」
「そうですね。サイズに余裕が無いと走っている最中に足を痛めますし、余裕があると安定しません。それと踵がきっちりホールドされるかも大事です。それから、、、」
定員さんから矢継ぎ早に説明をされ、つい納得顔でうなづくも半分しか理解してない私です。
要は踵から爪先までの長さ、横幅、これらに多少の余裕があり、かつ踵が安定していること。そして初心者はソールが厚く膝等に負担がかからない物を選んだ方が良い、とのことだった。
さらに、私の足は疲れてくると内側に傾く形をしているらしく、長距離を走ると膝を痛め、悪化すると鵞足炎なる炎症を起こすらしい。
何それ怖ッ。
ついでにインソールもどうだと勧められたが、元々体力作りの為の道具でしかないし、とにかくお金はかけたくなかった。
インソールは丁重にお断りし、説明を受けながら試し履きをしたアシックスGT2000 NEW YORK 4(型落ち)の購入を決めた。
さて、後は会計を済ませて帰るだけ、、、
「お客様。ウェアやアクセサリー類は大丈夫ですか」
「えっ、、、!?」
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