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デストピア・オリンピックが示す、本当の中国の現状

中国の情報とはメインストリームメディアを見ていても全くわかりません。中国国内だけでなく、欧米や日本メディアでも検閲が行われているからです。今回のオリンピックが大変なことになっているというのは、ちらほら聞こえてくるのですが、それをまとめた動画が出ていました。ニューヨークを拠点とした、China Uncensored(検閲のない中国情報)というチャンネルのものです。

北京オリンピックのディストピア的な側面10選

ディストピアとは、ユートピア(理想郷)と、正反対のものですが、アメリカでこの言葉が使われる時、その背景には、ジョージ・オーウェルの書籍『1984年』にあるような政府による徹底的な管理下、統制下におかれた世界のことをイメージしている場合が多いようです。

10)ウインタースポーツ向けの会場としてふさわしいかどうか?

ディストピアの中のジャンプ大?

産業廃棄物処理場の真ん中に位置するスキージャンプ大と動画で説明されていますが、ロイターの記事の中では”製鉄所跡地に建設されたため、その工業的な外観がSNS上で話題となった”とされています。SNSでの投稿には、「このビッグエアースキーイベントの背景に、ある種の核施設があるなんて、かなりディストピアな感じがする」や、「”The Simpsons”のホーマー・シンプソンの仕事場を思い出した」というものがあったそうです。

全体的に人工雪が使われた初のオリンピック

今回のオリンピックは、同動画によると、人工雪が全体的に使われた初めてのオリンピックだと言います。人工雪には大量の水が必要になります。今回、必要な水の量は、オリンピック競技用のプール約400個分になると言います。そして、これは期間中ずっとではなく、開始時に必要な量だと言いますから、一体、どれくらい必要になるのでしょうか??

中国内で広がる電力不足の問題は?

動画では触れられていませんでしたが、人工雪を作るには当然、電気も必要となります。オリンピックプール400個分の水を雪にするのですから、必要な電気の量も大量だと思います。実は中国は現在、深刻な電力不足にあるようです。
中国で電力の供給制限広がる 景気も減速傾向 現状や見通しは 2021年9月N H K)NHKの記事ではいろいろ言っていますが、主な原因は、オーストラリアとの関係悪化により、同国から輸入していた良質な石炭が手に入らなくなったことだと言われています。記事は9月のものですが、その後、悪化したという話はちらほら出てきましたが、停電の問題が解消されたというのは聞いていない気がします。停電のレベルがかつてないほど深刻ということでしたので、オリンピックに大量の電力を使って大丈夫なのかな?という気はします。

大雪による中止と、クラウド・シーディング(人口消雨/降雨)

この動画の後に起こったことですが、2月13日、開幕後初の降雪が観測されたとのことです。 雪上競技の会場となっている北京市延慶や河北省張家口市では、大雪のため一部の種目などが中止されたと言います。

あれ?中国って、前回オリンピックで天候を操作していなかったでしたっけ?

北京当局は五輪開会式が晴天となるよう、開会式が行われる約4時間前に断続的に「消雨ロケット弾」1104発を雨雲に向けて発射していたことが9日の新華社の報道で明らかになった。消雨のために打ち上げられたロケット弾の数は史上最大規模であるという。(大紀元、北京五輪開会式:晴天確保に「人工消雨」ロケット弾、千発打ち上げ、2008年8月10日)

https://www.epochtimes.jp/jp/2008/08/html/d91619.html

中国、2025年までに国土の半分で人工降雨…生産性向上や自然災害の防止に期待(2020年12月14日、ビジネスインサイダー)によると、”中国国務院は、2025 年までに550万平方kmをこのプロジェクトの対象にするとしている。これは中国の国土の約56%にあたる面積だ。”と言います。

中国政府は、気象改変プロジェクトの対象地域を大幅に拡大して、2025年までに国土の半分で人工的な降雨や降雪を可能にすることを目指すと発表した。「クラウド・シーディング(雲の種まき)」の仕組みは、1946年にアメリカのゼネラル・エレクトリックの化学者によって発見された。中国は1960年代に独自の計画を立ち上げている。

https://www.businessinsider.jp/post-225599

このプロジェクトにそんなに関心がなかったので、すっかり忘れていましたが、そういえば、あと3年あるとはいえ、人工雪に頼らず、このクラウド・シーディングによって大会前に降雪しておけば、大掛かりな人工雪の準備が必要ないですし、今回のような大雪による中止もなかったのではないでしょうか?

2019年1月、中国国営の新華社通信は、新疆ウイグル自治区西部で実施されたクラウド・シーディングにより、農作物の70%が雹害を避けることができたと報じた。

https://www.businessinsider.jp/post-225599

実際、2019年には新疆ウイグル自治区で、このプロジェクトは成功しているようです。ちなみに、ウイグル自治区は、何か実験的なことをすることにも頻繁に使われてきたようです。日本ウイグル協会のサイトによると、中国は1964 年〜1996 年の間に、同エリアの核実験場において、延べ46回、広島原爆の約1370 発分の核爆発実験を行っていると言います。

2021年7月16日の西日本新聞によると、クラウド・シーディングの懸念点もあります。だから、新疆ウイグル自治区で行ったのだと思うのですが・・。

ヨウ化銀は弱い毒性を持つが、中国当局は「使用量はごくわずかで、人体に害はない」と説明している。
人工降雨は世界各地で実施されているものの、中国のように大規模な取り組みが環境に及ぼす影響は未知数だ。周辺国の雨量が減りかねないとの指摘もあるが、中国社会科学院の専門家は「天気に人工的な影響を与えるのは短時間で非常に限定的。世界の気候に影響を与えるというのは誤解だ」と反論している。

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/771095/

考えてみれば、このプロジェクトが成功しているのであれば、1000年に1度と何度も言われた昨年度の豪雨・洪水災害も防げたのでは?それができなかったということは・・・と思ったら、2021年7月の記事で下記のようなものがありました。

世界的な異常気象、中国の気候改変プログラムが影響か…中国全土に豪雨災害、「気象兵器」レベル (ビジネスインサイダー、2021年7月27日)

豪雨を防ごうとしたが、失敗したというよりも、昨年の豪雨そのものがプロジェクトの失敗による結果かもしれないというのです。だとすれば、クラウド・シーディングを使った降雪によって、人工雪の使用量を減らしたり、大会中の大雪を防いだりしなかったことも辻褄が合うような気がします。

9)コロナ対策のため、現実世界から隔離された”バブル”

東京オリンピックの際にも”バブル”はありましたが、バブルの外にもかなり自由に出られたようでした。しかし、中国は違います。一般の中国社会から完全に隔離された世界で、選手村スタッフ以外の一般中国人とは一切の接触がないような運用をされていると言われています。これはコロナ対策とも言えますが、会場周辺にはウイグル人の強制キャンプもあるということでしたので、メディアによる不要なコンタクトを防ぐという目的もあるのではないかと邪推しています。

8)外国人選手のコンディション調整を妨害する環境?

動画では、ロシアの選手がインスタ?に投稿した食事について紹介されます(この投稿をしたアカウントは削除されたようです)。これは・・・アスリートでなくても、お腹いっぱいにはならないような量です。これはネット上にあった情報ですが、(9)で紹介された、ハンバーガーを作るロボットも、故障してしまったため、食べるものがないという話や、ロボットが調理し、配膳されるレストランは、写真撮影したい人が殺到し、なかなか食事をすることができず、冷えた餃子が運ばれてきた・・・という話もありました。ちなみに、冷えた食事というのは、中国では家畜の餌以下のものと考えられていますから、冷えた餃子を出す状況というのは、日本人が思うよりも重大な事故です。

ただ・・・先ほど、電力不足について触れましたが、中国の食糧不足はもっと深刻であるようです。各地を襲った豪雨と水害の被害、そして、バッタやイナゴ被害の問題等々で、農作物が甚大な被害にあっていると考えられるのですが、きちんと報じられていないだけに、より深刻な状態であるのではないかと言われています。豚肉も、2018年の夏以降、アフリカ豚コレラ(豚の伝染病)が蔓延し、豚の大量殺処分が余儀なくされているようです。これにより、豚肉が高騰して、庶民の口に入りにくくなったという話や、そもそも豚肉が売っていないという話を度々目にしました。また、昨年は、洪水被害に遭った水に浮いた豚の死骸を片付ける人の動画も上がっていました。

ネット上では断片的な情報しかないため、断定的なことはいえませんが、やはりかなり深刻なのではないかと思ったのが、動画にある食事の写真が中国のおもてなし文化からかなりかけ離れていることです。

中国でのおもてなしは”もてなす相手が食べ切れないほど食事を出すこと”とされています。お皿の上に料理を残しておかないと、次から次に料理を載せられて(勧められて)しまいます。
やはり本当に食糧が不足しているんだろうなと思ったのは、昨年の秋頃だったと思うのですが、この古くからの習慣を禁止する命令が出ていました。大食いの動画配信も禁止されたようです。ただし、名目は”エコ”だったと思います。このような習慣や、メンツ文化を考えても、オリンピックの選手村で残念な食事を出すというのは、考えにくい気もするのですが。それほど食糧不足が深刻なのか、それとも、それもメダルを取る作戦なのか・・・。

「中国産肉を食べないで」独反ドーピング機構、北京五輪選手に呼びかけ(2022年1月11日、大紀元)という記事もありました。中国産食肉には、クレンブテロールが混入している可能性があり、これがドーピング違反となる恐れがあるということでしたが・・・肉そのものがどれくらい提供されているのか・・・。

7)陽性反応で、さらなるデストピアへ

インターネットは使えない、食事はまずい、部屋は汚い。オリンピック選手たちがCOVIDの検疫で大変な状況にある (2月6日、NPR)動画で紹介されていた、NPRの記事です。

ドイツ、ベルギー、ロシアのチーム関係者(選手を含む)たちは、”検疫ホテルで、選手たちはインターネット接続が不十分、あるいは全くできない、食事がまずい、トレーニング機器がないなど、悪夢のような状況に直面している””部屋は狭く、不衛生で、食事のデリバリーも頻繁に来なかった”ということでした。

3度の金メダルを手にしたベテラン選手も含まれていますし、隔離施設に入れられたため、競技に出られなかった選手もいます。ここでちょっと気になるのは、PCR検査が症状がないコロナ診断にはフェアな検査ではないということです。そもそも結果は、中国政府が依頼した、検査会社しか、真偽がわからないものです。「陽性です」と言われれば、競技出場を諦めなければなりません。

選手は、PCR検査で2回連続して陰性と判定されるまで、この隔離施設に閉じ込められると言います。しかし、陰性が2回出たにもかかわらず、選手村に戻れなかったベルギーの選手もいました。彼女の涙ながらの訴えがインスタに投稿された後、世界中からの批判を受けてか、彼女は選手村に戻ることができたと言います。

NPRの記事では、中国のオリンピック委員会が迅速に動いてこれらの問題は解決できた、とのことでした。実際どうだったのか?は、閉会後、選手が帰国するまでわからないことかと思います。

6)多すぎる疑惑の判定

これはご存知の方も多いかと思いますので、詳細に触れませんが、前回の冬季オリンピックでも同様のことがあり・・・この開催国でオリンピックを行うっていうことは、そういうことがより一層起こりうるというのは、想定内なのでは・・・?という気もしますが。

なお、この動画高梨沙羅選手をはじめとするスキージャンプの失格に関する”疑惑”にも触れられていました。日本選手団としては、異議を唱えないことにしたようですが、どなたかのIOC入りを約束でもされたのでしょうか?おかしなことがあったのであれば、やはりしっかりと意義を唱えるべきです。ポーランド人審判が「日本人の態度は他の違って〜」みたいな発言をしていましたが、あれは完全に”日本人なら何をやっても大丈夫”というネガティブなプロモーションになってしまいます。

アメリカでなぜアジア人差別が横行しているのか?それは、アジア人が”モデル・マイノリティ”だという認識があるからです。モデル・マイノリティは元々は、ある社会の中で少数派でありながら、社会の平均値よりは”成功”˝ーー 勤勉で高学歴、高所得の職に就き、犯罪とは無縁・・・というお手本的な少数派のことを指していました。しかし、これを”どんなに理不尽さでも、それを受け入れ、我慢をする人たち”という解釈がされている面があります。

様々な価値観を持つ人が集まった国際社会の中では、いろいろ文句を言ってくる面倒臭い人に対処するために、文句を言わない人にマイナスを押し付けるということが、残念ながら頻繁に行われます。今回、意義を唱えないのであれば、今後、日本はますますこのようなターゲットにされていってしまうと思います。

オリンピックに、スポーツマンシップが存在すると信じているのは少数派です。そもそもジャンプのルールは身長の低い日本人に不利な形で、板の長さが変更されてしまいましたし、浅田真央選手がいた頃のアイススケートのルール変更は、酷いものでした。ルールやジャッジのことは、選手がなかなか主張しにくいものです。各国のパワーゲームの場であるオリンピックで、JOCは一体何をしているのか?と本当に思います。日本人に有利になるようなルールやジャッジは必要ありませんが、明らかにおかしいことには声を上げていかなければ、人生をかけて取り組んでいる選手たちが報われません。

5)複数選手の二重国籍問題

優勝した選手を含め、複数名の外国生まれ、外国育ちの中華系選手の国籍についてが問題になっています。中国は、二重国籍を認めていません。インスタグラムのアカウントを持っている中国人選手に対し、国籍は実はアメリカのままではないか?という疑惑が上がっています。オリンピックに出場できるのは、自分の国籍がある国の代表としてのみです。これについて問われた選手は、「私はアメリカにいるときはアメリカ人、中国にいる時には中国人」と、精神論とも取れる微妙な回答しかしていませんでした。

他に、中国以外の国籍を疑われている選手の中には、”英語での取材は禁止されている”と回答した人もいたようでした。

党の幹部やその家族でさえ、どうにかして外国籍を取得しようとしている中、外国籍を持っている中華系の人がわざわざ中国籍に変更するということは、なかなかないことかと思います。中国はなぜかウインタースポーツに強い選手がいないようですので、メダリスト候補を獲得するために、特別に永住権を与え、永住権を元に中国選手としてオリンピックに参加しているのではないか?ということが懸念されています。

ちなみに、中国ではこのような特別待遇を”特事特弁”といい、党幹部をはじめとする上級国民は、一般国民と全く別扱いになります。が、近年、このことが民衆の大きな不満となっており、発覚した場合には、処罰を行っているようです。例えば、開会式の総監督を努めた、映画監督の張芸謀は、1人っ子政策下で、子どもが7人いた疑惑が浮上し、本妻との子どもが3人いることだけを認め、1億以上の罰金を支払っています。このことは当局は、元々知っていたことでしたが、”特事特弁”で不問にしていたと言われています。ちなみに、張芸謀の2人の子どもは、戸籍がなかったようですが、北京の”貴族学校”に入学して、全く問題がなかったと言います。

4)彭帥選手、性的虐待投稿を否定

これはご存知の方も多いかと思います。安否が心配された彭帥選手がオリンピック会場に現れたのですが、動画に写り込んだ鏡には、中国人関係者と思われる人がバッチリ写っていました。

ただ、この話がちょっと気になっているのは、元々彼女の投稿が短時間でもネット上に投稿できたという事実です。中国の検閲システムによって、党幹部の名前や中国批判につながるような特定の単語は、投稿できないようになっているというのを聞いたことがあるからです。そのため、当初、中国ウォッチャーの中では、現政権による前政権潰しなのではないか?という声もありました。もし、その見方が正しかった場合、世論が思惑通りにならなかっただけでなく、世界中からの批判につながったのは、想定外も想定外の誤算だったことになります。ただ、この部分に関しては、今後も明らかになることはないかと思います。

ただ、1つ、”IOCってそういう団体”ということだけが、この件で明らかになったように思います。

3)監視社会

オランダのレポーター、スタッフにより放送妨害される

これは見ていただいた方が早いかと思います。7分40秒あたりです。放送中のレポーターに妨害行為と思われることを行う中国人スタッフが写っています。ソーシャルテキサシングの問題があったので、注意したということなのですが、このスタッフの人は、マスクをしていないため、ん?という感じです。

この時には開会式のことを報じていたみたいですが、オリンピック会場に入るすべての人が専用のアプリのダウンロードが義務付けられていますから、もしかすると、禁止ワードをSNSで配信した等、当局に目をつけられるようなことがあったのかもしれません。

専用アプリ

日本でもようやく、”専用アプリのダウンロードを強制されていること”についての問題点について重い腰をあげたようで、希望する選手には帰国後にスマホの検査を行い、パラリンピックに出場の選手には、専用のスマホを貸与するという話が出ているようですが・・・全くしないよりはマシとは言え、遅すぎます。

中共関連企業が製造したアプリについては、数年前にすでにTikTokの危険性が指摘されていました。同アプリを使うアメリカ人兵士の顔や位置情報を不正に流出されているのではないかという話もありました。兵士の位置情報は、実はかなり不味いものらしく、これにより基地の正確な位置だけでなく、密かに実行している作戦の情報が漏れてしまう可能性もあるとのことでした。顔情報はもっと怖くて、画像認識機能のある兵器を使えば、どこにいても攻撃が可能であるため、それが狙いでは?ということでした。
他にも、アプリを通じて、スマホ内の情報が抜かれる危険性についても懸念されていました。

オリンピック・アプリに関しても、カナダの研究機関がその危険性について指摘していました。そもそもアプリに現時点で何の問題がなかったのだとしても、中国には国家情報法があります。当局に命じられれば、企業が集めた情報も提出する義務があるのです。この方がある限り、仮に現在は問題がなさそうに見えるアプリであったとしても、使用は控える方が安全ではないでしょうか。

ナンシー・ペロシ下院議長、選手団に警告

これはこの動画には出ていないことですが、アメリカでは、ナンシー・ペロシ下院議員が選手団に対し、中国にいる間は安全のため、政治的発言を控えるように助言しています。

「あなたたちは競技をするためにそこにいるのです。冷酷な中国政府を怒らせるようなリスクは犯さないでください。意見を言いたくなる気持ちは尊重しますが、彼らが何をするかわからないという懸念もあります」。

どこの国の選手であるかどうか、開催国がどこかにかかわらず、オリンピックはスポーツのイベントですから、そこで政治的な発言を控えるのは当然のことです。ただ、このような警告を発しなければならないほど、危険だという認識があった上で、選手を派遣したのか?ということは、大きな疑問点です。
それは日本政府を始め、専用アプリのダウンロードに懸念を持ち、代替機の提供や帰国後の検査を進める国の政府に対しても同じことが言えます。これが果たして平和の祭典なのでしょうか?

2)開会式でスポットライトを浴びたウイグル人選手はどこ?

ウイグル人問題を巡っては最近、新たなルールが追加されたそうで、家族間で行う”宗教的な挨拶”、例えば「神の御加護がありますように」の”神”の部分を、共産党や党トップの名前を入れなくてはならなくなったようです。亡命したウイグル人の方が中国にいる家族とテレビ電話通話した時に、思わず従来通りの”宗教的な挨拶”をしたところ、画面の向こうの家族の表情が凍りついたと言います。おそらく見張り役がいたのではないか?と言われています。

ウイグル人家庭の中に、”見張り役”が入り込み、一緒に生活しているという話は、BBCの放送だったと思うのですが、取り上げられています。ただし、このことを現地で取材しようと試みたところ、ウイグル人の顔が強張り、すぐに”見張り役”と思われる人が取材を止めにきたと言います。

1)メダル獲得のためだけの選手

動画で紹介されていたのは、帰化選手の中でも、メダル獲得できミスした帰化選手に対するネガティブキャンペーン。彼女の父親がAI分野の教授で、いわゆる”特権階級”だったから、選ばれたのではないのか?という点と、中国語が話せないことで、より一層炎上してしまったようです。私は試合を一切見ていませんので、本当は北京出身の選手が上だったのではないか?等々の件については、わかりません。

また、動画では、オリンピック選手を遺伝子で選別して、小さな頃から育て上げるという話題が出ていましたが、こちらは元記事の方が詳しいかと思いますので、少し紹介させていただきます。

子どもたちは殴られ、選手はDNA選別で選ばれる、中国の恐怖の五輪マシンの内側(2月4日、ニューヨークポスト)

この記事は大きく2つの問題点、虐待的な指導と遺伝子検査による選別について報じられています。

屈辱的な罰から侵襲的なDNA検査まで、オリンピックの舞台における中国の実力は、何千人もの子どもたちに多大な代償を強いてきた。(中略)このシステムは、スポーツを共産主義体制の威信を集める方法と見なしたソビエトのモデルに根ざしている。国家はスカウトマンを送り込み、2,000以上の政府運営のスポーツスクールでフルタイムのトレーニングを受ける何万人もの子供たちを狩る。(中略)国家が支援するトレーニングキャンプに入隊した若者たちは、すべてを犠牲にして中国の国旗の下で栄光のために訓練することが期待されるのである。
【中国で生まれ育ち、同トレーニングを受けたフィギュアスケート選手が語る具体的な虐待事例について、本人が受けたものと、本人が見たこと等が語られていますが、かなり辛い内容でしたので省略させていただきます】
"このような虐待がまだ起こっていることを知り、本当に心が痛みます。多くの選手やコーチは、中国ではこのような行為が必要であり、正常であると信じています"
"中国のアスリートが声を上げるのも難しいことです。居場所を失い、キャリアが終わってしまうかもしれないのですから”

https://nypost.com/2022/02/04/inside-chinas-horror-olympics-machine-where-children-are-beaten-athletes-picked-in-dna-selection/

次の引用は、DNAによる選手選別です。ただ、この選別にすごく疑問があるのは、WGS(全ゲノムシークエンス)等、検査自体は急速に発展した遺伝子の分野ですが、例えば、遺伝子の変異によってもたらされた病気についてでさえも、研究はまだまだ始まったばかりの段階。現在は、とにかくデータを集め、ビッグデータを解析し、いかに創薬に結びつけるのか?というところを各社、各国が競って研究している段階です。

才能や能力の分野は、さらに時間がかかるのではないでしょうか? 以前、赤ちゃんや子どもの研究(子育ての影響等)の難しさが、”結果が出るまで時間がかかる(子どもが成長してみないと結果がわからない)”ということを述べている本を読んだことがあります。

中国ではDNA検査を利用した、未就学児に対する才能検査がとても流行っていますが、その内容はまだ星占い程度と言われています。仮に遺伝子検査に科学的な根拠があったとしても、本人の意思を無視したスポーツの種目選びや、強化選手の選定は、その子にとって幸せなことだとは思えません。ましてや、根拠が不十分なことをもとに、無理やり厳しい練習を強いて、期待された結果が出なければ酷い罰を受けるというのは・・・。IOCは、オリンピックのために不幸な子どもたちが出てしまうことを容認しているのでしょうか。

(中略、アメリカのインディアナ大学パデュー大学インディアナポリス校のダイビングコーチであるヨハンナ・ドーケ氏によると)そして、もう一つの野蛮な動きとして、2022年の冬季オリンピック出場を目指す選手たちは、遺伝子に「時限爆弾」がないことを確認するため、正式な選考プロセスの一環として遺伝子検査を受けることを余儀なくされたのだ。中国科学技術省は、「スピード、持久力、爆発力」を検査するために、選手たちに「完全なゲノム配列決定」を実施すると発表した。
サウスチャイナ・モーニング・ポスト紙によれば、この遺伝子検査は、中国が世界大会のために最高の選手だけを選んだことを確認するために、ここ2年間続けられてきた。ある匿名の政府研究者によると、「身体検査報告がほぼ完璧な子もいるが、その遺伝子には時限爆弾がある」。
「もしそれが爆発したら、お金や長年の努力、そして命さえも奪ってしまうかもしれません」。

https://nypost.com/2022/02/04/inside-chinas-horror-olympics-machine-where-children-are-beaten-athletes-picked-in-dna-selection/

アメリカの下院議会は昨年末、IOCの対応について「北京オリンピック・パラリンピックに参加する選手の権利を守る能力と意志に疑問を抱かせる」と批判する決議を、全会一致で可決しました。この決議には賛同しますが、そんな疑問だらけのオリンピックに、選手を派遣した各国政府にも疑問だらけです。

予言は当たっていく・・・?

前回、北京オリンピックの危険について、中国ウォッチャーなら普通に心配になる事柄についてまとめていました。

オリンピックのリスク:本当にそんな危険なところに行かせるの?? 

このコラムでは、建物の安全についても触れていたのですが、残念ながら、選手村で大量水漏れの話がインスタに投稿されていたようです。投稿はすでに削除されたようです。

北京選手村で「大量水漏れ」...投稿動画に波紋 中国当局が削除要望?各国メディアで情報錯綜

ダウンロードすることを求められているアプリを調べたカナダの研究機関は、禁止ワードの設定ができるような設計になっている(ただし、検査時はOFFになっていた)と言います。今後、これらの”不都合な事実”が次々に禁止ワードに追加されていく可能性もゼロではなく、また、このような投稿をした選手が安全で健康な状態で競技に出場できるのかについても心配です。

余談ですが、フランスのマクロン大統領がロシアのプーチン大統領を訪問する際、「DNA情報を取られたくない」という理由から、入国時のコロナ検査を拒否したようです。国のトップの考えとして、コロナ検査により自分のDNAが検査を行った国に盗まれてしまう懸念があると言っているわけです。それがわかっていながら、優秀なアスリートのDNAは、どんな目的で使用されるかわからないまま、中共に取られ放題の状態でも、問題にしない大統領。日本も他国のことを言える立場ではありませんが、各国のトップがどういう人たちなのか、よくわかるエピソードだと思います。

先ほどの記事にあったように、中共は、オリンピック選手の選出に使うほど、DNA
検査を重視しているようです。先日のコラムにあげたコロナ検査を通じた、超一流アスリートのDNA収集が行われている疑惑について、「やっぱり本当かも」と思える要素がどんどん増えています。そうなってくると・・・オリンピック終わった後に、また違う病気によるパンデミックが広がりませんように。


■アメリカでは様々な理由からオリンピック視聴が激減しています。
視聴ボイコット?アメリカ人の関心が低下しつつあるオリンピック


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