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大谷選手・記者会見に対する疑問点に関する、アメリカ在住者なら誰でも考えつく可能性

本タイトルの記事の前に、以前よりこのノートを読んでくださっていた方・・・ずっと更新できずにすみません。仕事に忙殺されていました。英語で文章を書かなくてはならない時に、日本語の文章が書けなくなる、切り替えがうまくできないポンコツなのです。仕事が落ち着いたわけではないのですが、表題の件、アメリカ在住者で普通に社会人生活を送っている人であれば、通訳の方が選手の口座振り込みを勝手に行うということができたということが容易に想像できるため、この点に言及しなかったことで、大谷選手が疑われるということはちょっとと思いましたので、久々にノートを開くことにしました。

前提として、ここでご紹介することは、あくまでも、「アメリカの銀行や会社組織は、こういう仕組みだから、通訳者が選手の口座にアクセスし、勝手に送金したとすれば、こういう可能性がありますよ」っていうものであり、今回のケースを断言するものではありません。おそらくですが、この点は、犯行の手口となるので、捜査段階である現在、大谷選手サイドも公表できないのではないかと思いますし、ここは捜査している側がその都度アップデートする内容ではないかと思います。(やっぱりちょっと日本語に不安・・・わかりにくい部分があったらご指摘ください)

通訳は選手・口座へのアクセスが可能と考える理由

❶通訳ならば、口座開設や振り込み等の手続きを手伝っているはず

これは野球選手に限ったことではなく、例えば、駐在として派遣される人にも起こることですが、現地の言語や生活習慣に精通していない場合、仕事だけではなく、生活にもサポートが必要になります。仕事を始める前に必要な手続きの1つが銀行口座開設。日本と微妙に勝手が違うので、ちょっと面倒です。銀行側としては、相手の資産状況をそれとなく確認しながら、あわよくば投資用の口座等も開かせたいという思惑もあるかと思うので、そうなると、さらに面倒。それでも、私のような一般人は自分で対応するしかないのですが、外国人選手であれば、そのために雇った通訳でしょうし、会社都合で派遣された駐在員であれば、秘書や現地スタッフがある程度のサポートをしてくれる・・・というのが普通かと思います。

「振り込みするなら、本人の生年月日や住所、電話番号の他にソーシャルセキュリティナンバーが必要だ(だから、通訳者が選手の口座から振り込みすることは不可能)!」という批判がありましたが、それらの情報は口座開設時に必要なものとなりますので、開設サポート時に知り得る情報です。ソーシャルセキュリティナンバーについては、大谷選手は手術や入院、通院経験もありますので、その手続きの時にも必要ですし、何かと記入を求められる数字になります。通訳の人がこの数字を手帳に控えていたり、覚えていたりしても、何の不思議もないことです。

これは何も2人の友情が!とかいう話ではなく、業務遂行に必要な個人情報という感じではないでしょうか。例えば、会社で海外出張する際のビザが必要になった際、出張者のビザを会社が取得する場合、出張者は会社の担当者にパスポートを預けることになるかと思います。

さらに、口座開設時には、代理人をつけることも可能です。これは何も現地語がわからない外国人向けのサービスというわけではなく、例えば、企業の銀行取引を社長ではなく、経理が行うような感じかと思います。ここで忘れてはいけないのが、大谷選手の資産が一般人とはレベルが違うという点です。

❷あれだけの資産があれば、複数口座持っていて当然

一般人でも、複数の銀行口座を持つことは特に珍しいことではないかと思います。

子どもの学資用とか、自分たちの老後資金用とか・・・

「6億円相当のお金が盗まれたのに、なぜ気が付かない!」という疑問もありますが、例えば、学資用口座や老後用口座から、数十万円単位のお金が勝手に引き下ろされていたとしても、毎月の入金にしか注力していないという方は、記帳するまで気が付かないものではないでしょうか。

一般人レベルの資産でも、複数口座ある方が便利なのに、大谷選手ほどの資産がある人が1つの口座しか持っていないということは、なかなか考えにくいことです。さらに、複数ある口座の中に、大谷選手自身が日常的に残高を確認しない口座というのがあっても、それはあり得なくはない話かと思います。

さらに、野球選手の場合、一般人とは違い、大谷翔平というのが一般企業のようなものです。従業員への給与に当たる、大谷選手の生活費の他にも、商品・大谷翔平のクオリティを維持するためのトレーニング費等の経費も必要です。背番号を譲ってくれたチームメイトの奥さんにプレゼントした自動車や、日本の小学校に送ったグローブ等、これらは本人の善意から行われたことだとは思いますが、商品・大谷翔平という視点で考えれば、これらは宣伝広告費にあたります。

何が言いたいかというと、企業・大谷翔平が商品・大谷翔平で利益を上げていくためには、各方面についての予算を組むことが必要です。ここは税理士等とも相談しながら本人が決めることかと思います。一方、予算を執行するということになると、ここは企業・大谷翔平の代表である大谷選手自身が全て行う必要のないことかと思います。

どのような管理をしているのかはわかりませんが、予算ということを考えた時に、少なくとも、生活費と経費(例えば、上記に挙げた後者2つのような・・・)は、別口座で管理していても不思議ではありません。この場合、例えば、「今年は広告宣伝費に年棒の10%を当てよう」と思えば、その金額を広告宣伝費(経費)用の口座で管理することになります。ここで代表・大谷選手の関心事がどこにあるか?といえば、記帳された口座の残高ではなく、予算の執行状況の報告書の方かと思います。仮に予算執行率が、グローブで3%、自動車で1%だとすると、「あと7%を何に投資しよう」ということは考えるでしょうけど、通帳残高に7%残っているか?という確認をするのは、おそらく大谷選手ではなく、大谷選手のマネジメント会社なのか、税理士等の仕事だと思います。

ですから、「寄付金用の口座から勝手に送金されたのでは?」という報道もありましたが、これはとてもあり得る路線かなと思います。そして、このような口座を大谷選手本人以外が管理し、大谷選手の名義で振り込むということは、特に驚くことでもないかと思います。

もちろん、予算外の振り込みがあれば、税理士やマネジメント会社は気が付くもので・・いや、それをチェックするのが、彼らの仕事なわけですが、ここで”通訳”という特殊な立場が通訳者に有利な働きをします。特に、通訳の方は大谷選手だけではなく、周囲からの信頼を得ていた方です。会見から推測するに、通訳という立場と、周囲からの信頼を背景に、本来、疑惑が生じるであろう支出も”説明”できてしてしまっていたのかもしれません。ここはあくまで憶測ですが。

また、もう1つの憶測として、”残高の増減がわかりにくくなる口座”として、株式等の、投資用の口座からの引き出しという方法もあるかなというのもあります。インフレが前提となっているアメリカでは、現金をそのまま貯金するということは、賢い方法ではないとされています。手っ取り早いのがインデックス等のファウンドを買うことです。そして、心穏やかに過ごすためには、残高の増減を一切気にしないことです。そこには、アメリカならではの神話があります。

アメリカ株は、どんなに下降しても、最終的には上昇する。

過去を振り返れば、これは事実です。ドルの力が下がったり、国際ルール作成の権限がアメリカ以外の国に移るようなことがあれば、今後、どうなるかわからない・・・というのはさておき、アメリカ人の多くは、アメリカ株は最終的に上昇すると考えています。コロナ禍の時も、政府からの補助金を貯金に回した人が多かったのではないか?という日本に対し、アメリカでは、補助金を使った、にわかオンライン・デイトレーダーが増加したほどです。

持っておけば価値がどんどん上がっていく・・・とはいえ、お金が必要になれば、ファウンドを売却することも普通に行われます。・・・あくまで可能性があるかどうか?という話になりますが、このような長期投資用の口座からお金を引き出された場合、そもそも保有しているファウンド自体の額が増減しているため、残高の増減に気が付きにくいということもあるのではないでしょうか。そもそも売却の予定が直近にない場合、口座の残高は気にしない(気にしても仕方がない)ものですから、残高の確認をしていなかったのかもしれません。

実際には、どのような口座からお金が盗まれたのかはわからないところです。とはいえ、日本でもアメリカでも、「通訳が勝手に送金できるわけがない」とか、「6億円消えているのに気が付かないわけがない」と決めつけている方に尋ねてみたいのは、「富裕層のお金の管理は一般人とは全く違うと思いますが?」ということ。そもそも・・ですが、大谷選手レベルの資産を持っている人に、富裕層向け銀行がターゲットにしないわけがありませんリスクマネジメントの観点からも、複数の金融機関にわけて、運用なりをしているはずです。
そして、各金融機関において、大谷選手担当の営業がついていないというのも考えにくく、当然、特別待遇を行なっていることと思います。そして、大谷選手の資産をより多く任せられるようにしたいと思えば、窓口となっている通訳の水原さんへの配慮が重要になるかと。この路線だった場合、上記にあげた”一般的な送金方法”とは全く違うフローも考えられます。もちろん、これもあくまでも”可能性がある”というだけで、結局は、捜査の結果を待つしかわからないのではないかと思います。

いずれにせよ、税理士やマネジメント会社は何しているのか!と言われれば、全くの同感です。職務怠慢でしかない!わけですが、彼らだけではなく、広報や代理人が行った最初の対応の不味さ(職務怠慢)も、今回、大谷選手が通訳にギャンブルの責任転嫁を行なっている疑惑を生む原因となってしまいました。

一流選手には、一流のマネジメントがついているだろうということで、一流のプロフェッショナルがこのような職務怠慢を行うはずがあるか?という声ばあることは最もだと思いますが、これについては、水原さんの、”通訳”という立場の特殊性なしには語れないかと思います。

❸言葉を理解する人は、大きな権限を持ちがち

今回の記者会見では、水原さんが通訳という立場を利用して、平たくいえば、情報操作していたという問題が明らかにされました。ひどい話だとは思いますが、結構、あるある・・・(まではいかないかな?)、何度か聞いたことがある話です。例えば、現地法人のトップが現地の言語を理解できず、本国の言語を理解する現地スタッフが1名いた場合、トップはこの現地スタッフに仕事の割振を指示することになります。トップは、全従業員に平等な仕事量を振っていた場合にも、通訳したスタッフが割振を変えることは、簡単にできます。自分が言いたい文句を、別の従業員の言葉として、トップに伝えることも可能です。通訳の上司が本国の言語がわからない場合、通訳役のスタッフが悪意を持って情報操作すれば、業務フローや現地法人の中での人間関係が複雑化してしまいます。

大谷選手に限らず、日常的に特定の通訳を使う人は、そのような”通訳が持ち得る権限”について知り、おかしなことになっていないか?観察することが不可欠です。

さらに、気をつけないといけないのは、通訳が入った人間関係(業務フロー)を構築する場合、”コミュニケーションの取りやすさ”に流されないということです。人間は怠惰な生き物です。ついつい楽な方に流されます。ある件についての承認の有無を確認をしたい場合、本来であれば、その件の決裁権限者に確認を取るのが正式な手続きです。先ほどの通訳スタッフが権限を持ってしまった事例でも、本来は、関係者全員が集まった席で、トップが本国語で話した内容を、その都度、本国後がわかる現地スタッフが現地語に通訳していけば、”意図的な誤訳”を行ないにくくなります。

大谷選手が「ESPNの取材が入っていることについてさえも知らなかった」と言った件でも、本来は、広報や代理人が大谷選手とのミーティングを設定し、水原さんに通訳させるべきでした。大谷選手は全く聞き取りができないわけではありませんから、このようなミーティングに参加していれば、「あれ?取材って何?」と、この時点で自分の身の回りに、何か起きているということに気がつけた可能性は大きかったと思います。(もっと言ってしまえば、本件では、利害関係のない通訳を当てるべきだと思いますが)。なぜそれをしなかったのか?と言われれば、職務怠慢の一言ですが、複数言語が存在する人間関係の中では、コミュニケーションがとりやすい人に確認を取るということは、起こりがちなものです。

ひどい体験談をシェアさせていただくと、私は日本人に対する通訳だけではなく、ロシア人に対する通訳をさせられたこともあります。ちなみに、通訳は私の仕事ではないし、ロシア語なんて全く話せません。ではなぜ、ロシア人の通訳をやらされたか?といえば、相手がロシアンアクセントの英語であっても、コミュニケーションを取ろうとするからです。念のため、ロシア人の同僚も、私の酷い日本アクセント英語に付き合ってくれたわけですが。

さらにひどい話としては、仮にロシア人同僚と私が割と親しい場合、ロシア人同僚に確認すべき個人情報を、私が知っている前提で、本人ではなく、私に直接尋ねてくるケースもあります。このような場合、トラブルを避けるために、私は必ず本人を呼んできて、私はあくまでコミュニケーションの補助をするのみで、私自身が直接的な回答をするということはしません。そういう時に、「日本人って真面目ね」みたいなことを言われます。こういう反応をするアメリカ人は、私が融通が効かないとか、合理的ではないと考えられているんだろうな・・・とは常日頃、感じていることです。逆にこれを今回のケースに当てはめると、「大谷選手に確認したいことを、通訳に聞いてみたら知っていたので、そのままテレビ局に伝えた」というのは、担当者にとっては合理的で、フレキシブルな対応のつもりだったというのは、大いに考えられます。

仕事として、どうなの?ではあるのですが、あり得るかどうか?という点では、アメリカでは、あり得る話かなと。

ずいぶん、話が長くなりましたが、以上のようなことを踏まえて本題に。税理士やマネジメント会社が「あれ?この使途不明金は何?」という疑問を持っていたとしても、そこに大谷選手本人を呼んで、水原さんに通訳を頼む形式を取らない限り、水原さんに都合の良い回答で物事が進んでしまうということは大いにあり得る話です。

最後に

しつこいようですが、このコラムはあくまでも、「”通訳が選手の口座に無断アクセスした”ということがあり得るかありえないか?」ということを検討した時に、あり得ると思う理由を、アメリカ在住者ならではの視点で語ったものです。ここにあげたようなことが必ず起こったという風には断言できないですし、大谷選手本人が振り込んだということを完全否定するものでもありません。

大谷選手は、日本人、またはアジア人差別がないわけではないアメリカで、大きな影響力で変革をもたらしている人物。こんなことでその歩みを止めないでほしい!っと思っている時に、日本の友人から「アメリカの銀行って、母親の旧姓とか、かなり踏み込んだ個人情報を尋ね、本人確認するから、他人が送金するのは難しいんでしょ?」と、びっくりする質問を受け、日本のメディアの中には、相変わらずテキトーなこと言っているところがあるんだなぁと。

番組の中でどのような紹介をしたのかは分かりませんが、多分、それは2段階認証の1つで、最初に「母親の旧姓は?」「最初に飼ったペットの名前は?」みたいな質問に、予め回答を設定しておく機能のことかと。銀行振り込みだけだけではなく、財産運用系のアプリ等でも同じような認証機能が使われています。質問は事前にいくつか用意されていて、その1つが”母親の旧姓”。セキュリティを高めるための機能の割には、こんな情報、ちょっとSNS調べたらわかっちゃうんじゃない?と思うので、私自身は、全部嘘の回答で登録しています。質問を自由に設定することもできるのですが、残念ながら色々な個人情報がダダ漏れになっている昨今ですから、個人情報に基づいた質問を設定する方がかえって危険な気がして。

そして、通訳が口座開設をサポートしていれば、この認証機能の設定についても当然手伝っているはずですから、選手の”踏み込んだ個人情報”を尋ねるまでもなく、知っているということになります。



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