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【詩】残暑

上下に揺れる天井がクジラのおなかの中みたい
生臭い湿った熱気が肌を包んでる
カーテンには勾玉形のプランクトン
月明かりに照らされて布団に大きな陰を落としてる
見ないように目をつぶれば聞こえてくるのは雨音ばかり
しとしと 泣いているような

足の裏が熱くてモゾモゾして眠れない
折り畳まれた布団の隙間で冷やす
ちがう段へちがう段へ 忙しくって眠れない
どくだみでいっぱいの庭にやってくるのは不気味なキリン
胴が座布団のキリン
ぼくをおどかしてる

雨は水を打つ音に変わった
ぴちゃぴちゃ 外は水びたし
窓を破って流れ込んでくる大水に備えて
深呼吸してる

畳の船で旅に出たっていいよ
百鬼夜行に参列したっていいよ
噴き出す汗をぬぐっていいよ
準備はもうできている
膝小僧をすりむいて
漏れ出す膿に甘えてぼくは
あれから一歩も動けない
明けない夜が続いてる

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