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【左ききのエレン】“原作版”と“リメイク版”どっち読むべきか問題。

(2024.2 加筆修正しました)

漫画家のかっぴーです。「左ききのエレン」など書いてます。

「左ききのエレン」についてよく聞かれるご質問に「“原作版”と“リメイク版”って何が違うの?」「どっち読めばいいの?」というものがあるのですが、その辺について改めて書こうと思います。

・エレンには“原作版”と“リメイク版”があります。

まず、現在は少年ジャンプ+版「左ききのエレン」しかご存知ない方が過半数だと思うので、そもそもの経緯からお伝えすると「左ききのエレン」は原作者かっぴーがWEB媒体cakesで連載していた“原作版”が存在します。(現在はcakes廃刊につき、ここnoteで連載中です。)

それを集英社にお声がけ頂き、作画nifuniさんを迎えてリメイクした作品が少年ジャンプ+で連載している“リメイク版”という位置づけです。恐れ多いですが「ワンパンマン」と同じ流れだと思って頂ければ分かり易いかと思います。

・“原作版”にも種類があるのか?

“原作版”は様々な漫画アプリで配信しているため混乱する方も居るかも知れませんが、noteで掲載しているものと、その他アプリで配信しているものに大きな差はありません。noteで連載している漫画を、電子書籍で単行本化し、その単行本を様々な漫画アプリでも配信している、といった具合で基本的には同じものです。

また、noteは連載雑誌の様な位置づけなので、まだ単行本化されていない最新エピソードも読む事ができます。(現在、第三部DOPEを連載中)

ですので、リアルタイムで読むならnote、まとめて読むならKindleがオススメです。手軽に立ち読み感覚で読むなら、その他アプリって感じです。

・“原作版”と“リメイク版”どっち読めばいいの?

たまに聞かれるのですが、正直どちらでも読んで頂けるのであれば最高に嬉しいです。「建前ではそうでも、本音では原作版じゃないの?」と思われるかも知れませんが、マジでどっちか片方しか読まんぞ!さぁ、どっち!?と聞かれたら、私は“リメイク版”を読んで欲しいです。

“原作版”と“リメイク版”の違いは、作画が違うのは明らかですが、内容も異なります。異なると言っても、別の物語というよりかは“リメイク版”の方にエピソードが追加されている感じです。変な話ですが、後から生まれた“リメイク版”の方が、ノーカット版というイメージです。ぼくの作画では表現しきれず、カットしたエピソードを入れ込んだ完全版が“リメイク版”だと考えています。あと、作画はもちろんですが、ぼくのネームも今の方が上手いはずです。

“原作版”を評価して頂ける際に、必ずと言っていい程使われるキーワードに「熱量」があります。確かに、原作版はぼくが思いの丈をボールペンでコピー用紙に殴り書きしたものです。その「熱量」を評価して頂ける事は本当に有難い事です。絵の拙さが気にならず、そのライブ感を楽しめる懐の深い方には、原作版もオススメさせて頂きます。

原作とリメイクどっち読むべき話で、ぼくも大好きな漫画「累-かさね-」の松浦先生が超絶ありがたいツイートをして下さっていたので引用させて下さい…!(松浦先生、すみません…!)

・オススメしない読み方

「リメイク版を読んでて、続きが気になるから原作読んだ!」という嬉しい声もたまに耳にしますが「途中までリメイク版で読んで、その続きから原作版を読む」という読み方はオススメしません。物語の内容に大きな差は無くても、構成は変えています。原作版は原作版、リメイク版はリメイク版で、流れが成立する様に作っているので、途中から別バージョンを読み始めると繋がりが悪い箇所が出てきます。もし原作版に興味を持って頂けましたら、どうか1話から順にご覧下さい。逆も同じです。

(2024.2 加筆)
また、現在連載中の第三部DOPEは、リメイク版と原作版の差分が、大きな相違点として如実に現れます。

以前どこかで「リメイク版は全てが美しく帰結する最高のハッピーエンドで、原作版は考えうる最悪の展開を描く」と言いましたが、それがどういう事か今後分かってくると思います。

ですので、今後の展開を最大限楽しんで頂くには「リメイク版の世界線を知った上で、原作版を読む。」です。

逆に、最も混乱する読み方は「原作版の第一部を知らずに、リメイク版の続きを原作版で読む。」です。


以降は、今後のネタバレを匂わせる文章なので、
知りたくない方は読まないで下さい。



過去の動画でもお話しましたが、ジャンプ+のリメイク版でストーリー上最も大きな相違点が「岸あやの」と「神谷真里」の存在です。

この二人の存在が巡り巡って、私が考えうる最も美しい結末に導いてくれていました。裏を返せば、この二人が原作版にこれまで(ほぼ)登場しなかったせいで、原作版はハードモードに突入します。

また、この「原作版では存在しないのに読者は知ってしまっている世界線」というもの自体が、今後のギミックというか、読書体験に関わってくると思います。この演出は、リメイク版が存在する漫画にしかできない試みなので、上手く描けるか分かりませんが挑戦したいと思います。


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