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解決する鍵はなにか

前回、環境によいと思われている事が実は大してよくないと書いたけど、ではどうすればいいのだろうか。

省エネはもちろん効果がある。冷暖房であれば、断熱をするのはエネルギー使用量を減らすことができるのでよい。ドイツで暖房費を減らすための方法はこちらに書いた。

日本の場合は断熱性が悪い家が多い。それでも、二重窓にしたり、断熱性の高いカーテンを使うなどの対策をするだけでも、けっこうな効果があるはずだ。

しかし以前にも書いた通り、効率がいい機械に買い替えるのは、少しの性能差しかなければ環境にはかえって悪影響になる。ドイツでは、20年近く使っている暖房用のボイラーを交換したら、経済的にもエネルギー的にもかなり節約になったという話はよく聞く。こういう場合には効果があるだろう。

以前、私は製品のエコデザインに関わっていたことがある。エコデザインとは、環境に配慮した製品デザインのことだ。エネルギー量がより少なく、有害物質を減らし、リサイクルしやすい製品を作ることを目標としている。

でも私は、なんだかんだ言いつつ消費を促す一端を担っていることにジレンマを感じていた。一緒にプロジェクトをしていた企業は当然ながら、自社の製品をエコな製品として宣伝して販売していた。もちろん、製品の環境負荷は少ない方がいい。しかし利益を上げることは重要であっても、不必要な買い替えを促すことには私は納得できなかった。

その後、私のこの分野のキャリアは一度途絶えてしまったので今更ではあるが、今思えば違う方向に舵を切ることもできたかもなとは思っている。

例えば、私の夫は製造プロセスの環境影響に関する専門家だが、こちらは同様の経済活動を対象としていても、今実際にある環境負荷を減らしていくという種類のものなので、より意義を見いだせそうだなとは感じる。

ただ一方で、残念だけどそういう様々な技術的アプローチには限界があるとも思う。と言うのも、いくら製品や製造段階の環境負荷を減らしても、このまま大量消費がされていては効果は少ないからだ。

話がだいぶ逸れてしまうけど、こんな風に現在の環境問題は経済システムと深く関わっている(そうでない種類の環境問題もあるが)。資本主義が常に経済的成長をしていくことを求め、消費を是とする社会となった。それが規模の大きい環境問題を引き起こしたというわけだ。

そういう意味で、経済システムへのアプローチをせずに環境問題の解決をすることはできないだろうなと、個人的には考えている。とは言え、社会主義もよくなさそうである。さらに別の社会システムを選ぶか、資本主義に何らかの修正を加えるか、何がよいかは分からない。

私は経済・社会の分野は詳しくはないのだけど、知っている限りではこの分野の研究も多くされている。そんな話はまたいずれ。


この記事は別ブログに書いたものを移行したものです。

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